新着記事
-
読書日記
『ライフログ分析官』- すべてが証拠になる世界で、人間だけが壊れていく。我孫子武丸が描く未来ミステリの正体【読書日記】
我孫子武丸という作家は、やはり油断ならない人だと思う。 新本格の旗手として登場し、『殺戮に至る病』のような強烈な作品を残した作家が、2026年に何を書いたのか。 そう思って手に取った『ライフログ分析官』は、いわゆる「鮮やかなパズル」を前面に押... -
読書日記
『暗黒の瞬間』- ミステリの顔をした、救いのない人間の限界の話【読書日記】
リーガル・ミステリを読んでいて、いちばんぞくっとするのは、犯人がわかる瞬間ではない。 むしろ、法に従えば正しいはずなのに、それで本当にいいのかと思わされる瞬間のほうが、私はずっと怖い。 証拠はある。手続きも踏まれている。判決も出る。けれど... -
ホラー小説
モキュメンタリーホラー小説おすすめ25選 – フィクションが現実を侵食する25作品の報告書
近年のホラー小説で、ひときわ勢いを増している形式がある。 それが「モキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)」だ。 これは簡単に言えば、フィクションをあたかも実在する事件記録のように見せる手法である。 作中には、インタビューの書き起こし、... -
読書日記
信国遥『未館成の殺人』- 館がないのに館ミステリという美しい矛盾、その先にある新しい本格【読書日記】
館ミステリというジャンルには、どうしたって抗いがたい魅力がある。 奇妙な建築。閉ざされた空間。そこに集められた人物たち。そして、その舞台そのものが犯罪の論理を支えるという、あの独特の美しさ。 綾辻行人『十角館の殺人』以後、この形式は単なる... -
読書日記
『夜が少女を探偵にする』- 死骸を愛でる少女はなぜ探偵になり、なぜ真実だけを信じたか【読書日記】
ミステリにはいろいろなタイプの探偵がいる。 天才型、変人型、社交的な名推理型、あるいは傷を抱えた孤独な観察者。 だが、マリー・ティアニー『夜が少女を探偵にする』の主人公エイヴァ・ボニーは、そのどれにもきれいには収まらない。 十三歳の少女で、... -
読書日記
『愚者たちの箱舟』- 青春の誤解が崩れるとき、衝撃の真実が立ち上がる【読書日記】
綾崎隼(あやさき しゅん)という作家を語るとき、私はずっと、この人は感情を書く作家だと思ってきた。 しかも、ただ切なさをきれいに並べるのではなく、若さゆえの未熟さや、取り返しのつかないすれ違いまで含めて物語にしてしまう。その感情の扱い方が... -
読書日記
四島祐之介『アナヅラさま』- 都市伝説は人を食わない。人が都市伝説を使い始めるとき、本当の地獄が始まる【読書日記】
ミステリとホラーの境界線というのは、もともとかなり曖昧なものだと思っている。 怪異のように見えたものが論理で説明されることもあるし、逆に理詰めで追い詰めたはずの先に、どうにも説明しきれない嫌な感触だけが残ることもある。 だからこの二つのジ... -
読書日記
『サプライズ・エンディングス 罠』- どんでん返しの魔術師、その短編の切れ味と騙される快感【読書日記】
ジェフリー・ディーヴァーを読むたびに思うのだが、この人はやはり、人を騙して驚かせることに異様な情熱を持った作家だ。 しかも、その騙し方が雑ではない。ただ派手に話をひっくり返すのではなく、きっちり論理を積み上げたうえで、こちらが当然だと思っ... -
読書日記
『封鎖館の魔』- 鬼才・飛鳥部勝則がガチ館ミステリを書くとこうなる【読書日記】
館ミステリというジャンルには、どうしたって抗いがたい魅力がある。 奇妙な建築、閉ざされた空間、そこで起きる不可能犯罪。 この三点がそろうと、それだけで機嫌がよくなってしまう。だが、ときどきその楽しさを飛び越えて、これはいったいどこまで行く... -
読書日記
『ハレー彗星の館の殺人』- 古典の形式を更新する、本格館ミステリの理想系【読書日記】
読む前から、これは設定の勝ちだと素直に認めたくなる瞬間がある。 トリックでもキャラクターでもなく、あるいは仕掛けのための舞台ではなく、舞台そのものが事件の論理になっている作品だ。 ロス・モンゴメリ『ハレー彗星の館の殺人』は、まさにそのタイ...
