新着記事
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読書日記
麻耶雄嵩『木製の王子 新装版』- 奇怪な館とアリバイ地獄と理性の崩壊【読書日記】
麻耶雄嵩という作家は、どう考えても危ない。 本格ミステリを誰よりも愛しているのに、その核心を平気で壊しにくる。デビュー作『翼ある闇』の時点で探偵の存在そのものをぐらつかせた人だが、『木製の王子』はその延長線上にある、やりすぎの一本だと思っ... -
国内ミステリー小説
折原一『異人たちの館』- この館は建物ではなく、文章でできている。
叙述トリックという言葉に、私は何度騙され、何度酔わされてきただろうか。 1980年代後半から90年代にかけての新本格ムーブメントは、論理の純度をひたすら高め、読者の盲点を突くというゲームを洗練させていった。 その流れの中で、クリスティ『アクロイ... -
海外ミステリー小説
2026年2月に読んで特に面白かった本23冊 – 飴村行『粘膜大戦』ほか
2026年2月に読んだ本の中から、特にこれは面白い!と思った23冊の記録である。 ・2025年11月に読んで特に面白かった本16冊 – 小川哲『火星の女王』ほか ・2025年10月に読んで特に面白かった本15冊 – 『本好きに捧げる英国ミステリ傑作選』ほか ・2025年9月... -
ホラー小説
異常性の極み。飴村行『粘膜シリーズ』を語ったりする【読む順番】
飴村行『粘膜シリーズ』の読む順番 『粘膜人間』(2008年) ──シリーズの原点。戦時下×河童=粘膜世界の基礎設定が提示される。 『粘膜蜥蜴』(2009年) ──ヘルビノ(爬虫人)登場。粘膜世界の地政学が一気に拡張される。 『粘膜兄弟』(2010年) ──田... -
国内ミステリー小説
折原一おすすめミステリー小説10選 – 騙される快感にハマる、叙述トリックの混沌へ
叙述トリックの魔術師。 折原一(おりはら いち)を語るとき、この呼び名を避けて通ることはできない。 でも、ただの「意外な結末がすごい人」で終わらせるには、あまりにももったいない。あの人の本当の怖さは、読者の頭の中そのものをひっくり返す、物語... -
国内ミステリー小説
詠坂雄二『遠海事件』- なぜ首を切断したのか?という圧倒的な魅力。佐藤誠が導き出した戦慄のホワイダニット
この『遠海事件〜佐藤誠はなぜ首を切断したのか?〜』というタイトルを目にしてまず胸に生まれるのは、強い興味と抑えられない期待だ。 通常のミステリが、犯人は誰か、どうやったかを競い合うのに対し、本作は冒頭から「犯人は佐藤誠であり、彼は首を切っ... -
短編集
江戸川乱歩の短編ベスト10 – 乱歩が仕掛けた退屈と異常の装置を覗く
江戸川乱歩。 もはや〈日本の探偵小説の開祖〉なんて堅苦しい肩書きよりも、一種の都市伝説として捉えたほうがしっくりくる。 大正末期〜昭和初期、東京がモダンになっていくほど、影も濃くなる。その影のほうにピントを合わせて、退屈と異常をごく自然に... -
国内ミステリー小説
『猫間地獄のわらべ歌』- 探偵が密室を捏造するとき、愛すべきバカミスは時代を越える【エッセイ】
ミステリ好きというのは、つくづく困った生き物だと思う。 安定した面白さを求めながら、心のどこかでは「まだ見ぬ奇書」や「ルールを破壊する劇薬」を待ち望んでいるのだから。 幡大介の『猫間地獄のわらべ歌』は、まさにそんな私たちの飢えを、これ以上... -
読書日記
本物の横溝正史を浴びる幸せ – 『死仮面』オリジナル版という名の劇薬【読書日記】
横溝正史の金田一耕助シリーズといえば、ミステリ界ではもはや語り尽くされた感があるけれど、この『死仮面』だけは、ファンにとって極めて特殊な、あるいはもどかしい存在であり続けてきた。 昭和24年の連載当時、雑誌の一部が行方不明になってしまったせ... -
読書日記
五条紀夫『流血マルチバース』- 孤島×マルチバース×本格推理!これが特殊設定ミステリの最前線【読書日記】
本格ミステリというジャンルは、長い時間をかけて「論理」という名の鋼鉄の骨格を鍛え上げてきた。 誰がやったのか、どうやったのか。整然と積み上げられた手がかりが、やがてひとつの真相へ収束する。 その美しさに魅せられてきたひとりの人間として、私...
