【殿堂入り】最強に面白い国内ミステリー小説おすすめ50選【名作選】

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ミステリー小説が好きすぎる私が本当に面白いと思った「とにかく面白いおすすめの日本国内ミステリー小説」の名作をご紹介させていただきます。

ここでおすすめさせていただく名作は、推理小説およびミステリー小説が好きな人ならすでに読んでいる作品が大半だと思います。

それだけ有名な人気作や名作ばかりが揃っています。つまりは【殿堂入り】な作品たち。

ミステリファンから見れば「いまさらそんな有名作品オススメされても」とか言われちゃいそうな作品が多いでしょう。

しかし、多くの人に読まれているということは結局それだけ面白いからなのです。どの作品も読みやすいし、「やられたあ!」と叫びたくなるし、どんでん返しも凄まじいです。

ただ一言、

とにかく読んでない作品があれば、何も言わずに読んでみてください。

そんなわけで今回は

《死ぬまでに絶対読むべき本当に面白いおすすめ国内名作ミステリー小説》を50作品に厳選しました。

正直言ってまだ読んだことがない作品がある人は本当に羨ましいくらいです。

これからどれだけこの衝撃を味わえるのかと。出来ることなら記憶を消してもう一度衝撃を味わいたいミステリー小説ばかりです。

もしもこの中のおすすめ作品を読んであなたが面白くないと思ったとしましょう。

ですがそれでいいのです。面白い面白くない関係なしにミステリー小説好きとして読んだことに意味があるのですよ!

一応ルールとして「作家さん1人につき2作品まで」と「国内ミステリー小説のみ」と決めております。ジャンルは様々です。

あとランキングも付けていません。全部1位のようなものです。

それでは!

前置きが長くなりましたが、どうぞご参考にしていただければ幸いです(๑>◡<๑)

2024年最新版のミステリー小説おすすめ記事ができました!

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目次

1.『十角館の殺人』

もやは説明不要の傑作ミステリー小説。

綾辻行人(あやつじゆきと)さんによる〈館シリーズ〉の記念すべき1作目です。

海に囲まれた孤島に建つ「十角館」に訪れた大学生7人が、何者かによって次々と殺害されていくという王道ミステリ。

犯人以外の全員が被疑者となり被害者となる本書の構図によって、謎解きの醍醐味を存分に楽しめます。

中村青司という第三者の存在もチラつかせることで、犯人探しに広がりを持たせているのもまた良い。

ミステリ好き必読の書

アガサ・クリスティの傑作『そして誰もいなくなった (クリスティー文庫)』のオマージュ作品としても有名であり、脱出不可能な地での殺人を描いた「クローズドサークル」ものの代表作です。

ミステリー小説のおすすめは?と聞かれたら、ほとんどの人がこの作品をあげるでしょう。

もちろん私もその一人。〈おすすめ〉というより〈必読〉です。

唯一問題があるとすれば、あまりに衝撃的すぎてこの作品の後に読むミステリー小説に物足りなさを感じてしまうのではないか、という不安。

とにかく、ミステリがお好きなら絶対に読みましょう。

これぞ、本格ミステリ!を存分に味わうことができます。

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十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。

2.『迷路館の殺人』

綾辻行人さんの〈館シリーズ〉3作目。

「迷路館」という奇怪な館に招かれた作家たちに降りかかる連続殺人を描いた、初期「新本格」を象徴する傑作です。

まさかのトリックで読者を騙す

警戒しながら読んでいても、最後にとんでもない衝撃を与えられても思わず笑ってしまうレベルの面白さ。

テンポよく起こる殺人とトリックに翻弄されながらも、中盤でトリックや犯人がわかった!と思ったのに、事件解決の先のエピローグでまたもどんでん返しが待っています。もうお手上げ。

今作も綾辻先生らしく、伏線が張り巡らされていて大小様々なトリックが使われていて素晴らしいものとなっています。

基本的に〈館シリーズ〉は安定して面白いため全作読むことをおすすめしますが、その中でも衝撃度でいうなら『十角館』と『迷路館』ですかね。(時計館も傑作なので悩みますが)

ですが迷路館を読むなら1作目の『十角館』と2作目『水車館』は必ず順番に読んでおきましょう。

この〈館シリーズ〉は、ミステリー小説がお好きであれば全部読んでおいて間違いございませんので。

奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた四人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった。

3.『殺戮にいたる病』

読めば納得。我孫子武丸さんの最高傑作!

我孫子武丸(あびこたけまる)さんの最高傑作といえば、やはりこの作品でしょう。

犯人がかなりぶっ飛んでいる猟奇的な作品で、殺人シーンは気持ち悪すぎて読み飛ばしたくなる衝動に駆られます。

しかし当然ただのグロい小説というわけではなく、ミステリー小説として一級品の面白さを誇ります。

どんでん返しで有名なので、かなり警戒しながら読み進めていていたのに全く見破れませんでした。ラストはポカーン( ゚д゚)。

たとえグロテスクな表現が苦手だとしても、ミステリー小説が好きであれば我慢してでも読んでおくべき作品です。

ただのどんでん返し小説ではなく、ストーリーテリングが巧みで、普通に読んでも手に汗握る物語として読めます。

※過激なシーンや性描写が含まれいますので、苦手な方はご注意ください。

4.『イニシエーション・ラブ』

乾 くるみ(いぬいくるみ)さんの代表作です。

合コンで僕はマユに出会い恋に落ちる。

そんな男女二人の甘酸っぱい青春恋愛小説、かと思いきや。

「必ず2回読みたくなる」のキャッチコピーで有名な作品

一見普通の恋愛小説としか思えないストーリー展開。どこがミステリー小説なの?と疑いたくなるなるほどです。

しかし、すべて読み終われば自分が騙されていたことに気が付きます。そしてその事実が信じられずに、気がつけば2回読み返してしまうという不思議。

いろんな伏線が敷かれているのに初読では気づかず、ラストでしばらく意識飛ぶくらいの衝撃が襲いかかってくる。もう一度読めば「あーなるほど!」となります。

ネタバレを食らう前にさっさと読んでしまいましょう。

※性描写が含まれいますので、苦手な方はご注意ください。

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。

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5.『向日葵の咲かない夏』

道尾 秀介(みちお しゅうすけ)さんの代表作。

本格ミステリという枠の中でもかなりの変化球である、ファンタジー要素を取り入れたミステリー小説です。

夏休み前の就業式の日に、首を吊って死んでいたS君を発見。しかし数日後、S君はあるものに生まれ変わって目の前に現れ、「僕は殺された」と言う……。

強烈なトリックで読者を唖然とさせる

ミステリーとファンタジーを組み合わせることで面白さがこんなに膨れ上がるとは。

あまりの奇想さに賛否が分かれることでも有名ですが、やられた!の一言では済まされない読後の感情は格別。ぜひ味わっていただきたいです。

本当、この世界観は道尾さんでしか味わうことができないので、好き嫌いが分かれるからと言って読まないと損です。

結末を知りながら読み返してみると、ストーリーの構成やそれぞれのキャラの狂気みたいなものを感じることができて二度美味しい。

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。

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6.『アヒルと鴨のコインロッカー』

引っ越し先のアパートで出会った謎の少年に「一緒に本屋を襲わないか」などと言われ、なぜか本当に協力することになってしまった。

この本屋を襲うことに一体何の意味が?

バラバラだったパズルのピースが、パチパチと組み上がってできる大きな物語を心ゆくまで堪能してください。

清冽な余韻を残す傑作ミステリ

ユニークなセリフ回しに魅力的なキャラ、ストーリー展開や伏線回収の爽快感は格別。この独特の世界観は伊坂幸太郎さんでしか味わえないでしょう。

ミステリー小説であることを忘れてグイグイ読んでしまいますが、終盤に明らかになるまさかの真実に唖然。

物悲しくて、切なくて、ミステリーとしても良くて、物語が始まるような終わり方、読後感、全てが好きな作品です。

初読の時にはよくわからなかった部分も、読み返してみるとすべてちゃんと繋がっていることがわかります。

意味不明な台詞も、ちょっと引っかかる描写も、実はまったく無駄がないことに驚かされるでしょう。

この小説の大きな仕掛けは再読では味わえないので、初読の方が羨ましく思えてしまう。

この作品を読んで伊坂ワールドにハマっちゃったなら他の伊坂作品は全部読むべきでしょう。同じような世界観を堪能できます。

伊坂幸太郎さんのおすすめ小説の紹介記事もあるので、ぜひ参考にしてください。

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?

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7.『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』

森博嗣(もりひろし)さんによる〈S&Mシリーズ〉の1作目にして最高傑作と名高い作品。

孤島に佇む研究所を訪れた大学助教授・犀川創平と、学生の西之園萌絵が殺人事件に巻き込まれる。

この二人が〈S&Mシリーズ〉の主人公となります。

森博嗣さんの天才っぷりがよくわかる一作

事件の裏にある膨大なトリックや、犀川と西之園の天才ならではのやり取りが興味を掻き立てられ、ページを捲る手を止めさせてくれません。寝不足を覚悟しましょう。

研究所の中の特殊な状況での殺人事件にただワクワクしていたら、ラストで明らかになる壮大なトリックには本当に衝撃をうけました。そんなのアリかと。

シリーズを読み進めていくたびにどんどん犀川創平と西之園萌絵に愛着が湧いてきて、最終作の方では「うわああ!」となります。

そしてこの作品に登場する天才・真賀田四季も素晴らしい。本当に大好きです。

ミステリーとしてはもちろん「シリーズ作品として」本当に面白いので、ぜひシリーズ全作品を読むことをおすすめさせていただきます(*´エ`*)

シリーズ全部読んで思うことは、森博嗣さんは天才なんだな、ってこと。

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。

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8.『占星術殺人事件』

島田荘司(しまだそうじ)さんのデビュー作であり、名探偵『御手洗潔(みたらいきよし)』がこの世に登場した日本のミステリー小説の歴史に名を残す名作です。

40年以上前に起こったとある事件。それは、6人の女性を殺して各自の完璧なパーツを寄せ集めて一つにし、一人の完璧な女性を作るというかなり猟奇的なものだった。

以後40年以上も解かれることのなかったその事件に御手洗潔が挑みます。

一度味わえば忘れられない伝説のトリック

作品自体はかなり濃厚で読み応えがありますが、面白すぎるので一気読みしてしまいたくなるでしょう。

なにより衝撃的なのはやはりそのトリック。日本のミステリー小説の歴史に名を残す、と言われるだけの真実が待ち構えています。

ただ序盤の序盤、とある手記の部分が少々読みにくいので頑張ってください。そこを乗り越えればあとはもうページをめくる手は止まりません。

間違いなく死ぬ前に一度は読むべき小説です。

怪事件は、ひとりの画家の遺書から始まった。その内容は、6人の処女から肉体各部をとり、星座に合わせて新しい人体を合成する、というもの。画家は密室で殺された。そして1カ月後には、6人の若い女性が行方不明のあげくバラバラ死体となって…。

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9.『異邦の騎士』

名探偵〈御手洗潔シリーズ〉の三作目。

記憶喪失になった男性が、出会った女性と暮らしながら御手洗と知り合いになり、とあるきっかけで記憶を取り戻し失った大切な存在のために復讐を誓う物語。

この作品を読むにあたって、前2作『占星術殺人事件』『斜め屋敷の犯罪』を読むことをおすすめします。

御手洗潔シリーズを読むにあたって、絶対に読んでおかなくてはいけない作品

この作品は、なるべく他の人のレビューや感想などは見ないで知識ゼロの状態で読んでください。

ネタバレになってしまう重要なキーワードがサラッと書いてあることが多いのでかなり危険です。

私は作品を読んだ後にいろんなレビューを見ましたが、「ええ!それ書いちゃダメでしょう!!」みたいなレビューが結構ありました。

とはいえ、島田荘司最高傑作だと言う方も多くいる作品なので面白さは折り紙付きです。

この作品を読めば御手洗潔シリーズをもっと読みたくなるでしょう。

その気持ちは大正解です。御手洗潔シリーズは本当に面白いので全部読んでください。

失われた過去の記憶が浮かび上がり、男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活に忍び寄る新たな魔手。

10.『ハサミ男』

〈どんでん返しミステリ〉としてほぼ間違いなく名前があがる作品です。

少女殺しの犯人である「ハサミ男」が次のターゲットを決め犯行に及ぼうとするも、その少女はすでに他の誰かに殺された後だった。

自分以外の誰がなんの目的で?そこでハサミ男は自ら推理を始めます。

精緻にして大胆な長編ミステリの傑作

どんでん返しがある、とわかっているのに騙されるので推理するのは諦めましょう。

終盤真相が明らかになった時、読んでいてわけがわからず、何度かページを戻って物語を確認してしまったほどです。

作品から伝えられる情報をストレートに受け止めてしまうと必ず騙されるでしょう。

とりあえず騙されることを楽しむ作品なので、いろんなレビューなど読まずに新鮮な気持ちで読んでください。

たまに絶対言っちゃダメなネタバレを書いているレビューなどあるので気をつけて!

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。

11.『葉桜の季節に君を想うということ』

歌野晶午(うたの しょうご)さんの代表作。初めて読んだ時の衝撃は忘れもしません。

かつては探偵事務所で働き、いまは「何でもやってやろう屋」を自称して気ままな生活を送る「俺」成瀬将虎。

ある日、高校の後輩の頼みで、彼が密かに惚れている久高愛子の祖父の不審死と、高額で布団や健康食品を売りつける蓬莱倶楽部の調査を引き受けるが……。

とりあえずラストは驚きます。それも深夜、眠気と戦いながら読んでいた私が「うわあああ!」と声をあげてなぜか立ち上がってしまったほどに。

二度読み必至の究極の徹夜本

しかしこれほどまでに騙されるのも気持ちがいいものです。

とはいえ最後の驚愕ポイントだけでなく、普通のミステリー小説として読み進めていっても面白いんですよ。ストーリー展開も人間描写も世界観も。

まあ読んでいて確かに違和感は感じるのですが、それが何かは分からず、気付いたら完全に歌野晶午さんの手のひらの上で転がされていたという。

至るところにヒントはあるので、どのような「どんでん返し」なのかは是非とも読んで確かめて頂きたい。

私的にはとても評価が高いのですが、賛否両論ある不思議な小説。あなたはどちらでしょうか。

※性描写が含まれいますので、苦手な方はご注意ください。

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。

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12.『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

続いても歌野晶午さんの作品。『葉桜の季節に君を想うということ』と比べるとやや知名度は劣りますが、ミステリー小説としての面白さは変わらず。

チャットを通じて5人の参加者のうち1人が殺人を犯し、他のメンバーでそのトリックを当てる殺人ゲームを描いた作品。

《私はこの現場でこういう人を殺しました!さてどうやって殺したでしょうw?お前らにわかるかいww?》みたいなかなり軽いノリで人殺しをします。

茫然自失のラストまでページをめくる手がとまらない!

不謹慎な設定なのはわかっているのですが、テンポもよく、物語も面白い。

犯人は最初から分かっているので、トリックやアリバイの話に片寄りがちなところを、後半、驚かせる展開に持っていくところが見事。

普通のミステリ小説には欠かせない「犯人」を当てる必要がなく、その「トリック」のみを推理することに特化したこの設定がかなり面白いポイントですね。

それぞれのキャラの個性もよく出ているし、テンポよく進むので休憩する暇を与えてくれないほど。

この作品を面白いと感じていただけれたなら、続編『密室殺人ゲーム2.0 (講談社文庫)』も読むことをおすすめいたします。

“頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をしあう。ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのである…。

13.『儚い羊たちの祝宴』

『バベルの会』と呼ばれるサークルがすべての話に絡む、一貫性のある5編からなるミステリ短編集です。米澤穂信さんの作品の中でも1,2を争うほどに好き。

『氷菓』のような日常にあるような謎を解く、温かい青春小説とは全くの別物です。

短編ミステリの最高峰

どれも奇妙でホラーでブラックユーモアの効いた短編で、特に「玉野五十鈴の誉れ」は秀逸でゾクゾクしました。間違いなく傑作です。

後味は決して良くありませんが、そこが良いんです。

ゴシックホラーのような、重くて暗い雰囲気がまず素敵。上品ながらどこか奇妙な味付けの物語に酔いしれてしまいます。

そしてこの作品をより楽しむコツは、必ず最初から順番に読むこと。

どの話も普通にミステリとして面白いです。そう、普通にです。

ですが最初の4編を読んだ後、最後話の『儚い羊たちの晩餐』を読むと……( ゚д゚)

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。

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14.『折れた竜骨』

続いても米澤穂信(よねざわほのぶ)さんの傑作。

「魔法」が普通に存在する十二世紀のヨーロッパを舞台にした、ファンタジーミステリーです。

ファンタジーとミステリの見事な融合

第64回日本推理作家協会賞受賞というだけあって当然面白いのはさておき。

「魔法」があれば、どんな不可能と思える殺人でもできちゃいそうじゃないですか。難しいトリックもやり放題じゃないですか。

と、思っていました。読むまでは。

もうね、すごいお上手なんですよ。魔法がある世界でしっかり本格ミステリを見せてくれるんです。

「いやー、ミステリー小説に魔法とかそういう設定いらないわー」とか言う人にこそおすすめの作品です。この世界観はハマりますよ。

あまりにも完璧な伏線回収と、爽快感と切なさの混ざったラストに、読んだ後しばらく余韻に浸れることでしょう。

犯人は意外な人物であったし、そこに至るまでの推理も本当によくできています。

あくまでベースはミステリー。そこにファンタジー要素を加えることによって、この作品でしか味わえない絶妙な面白さが体感できるのです。

ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。

15.『七回死んだ男』

本人の意思とは関係なく、同じ日を9回繰り返す体質の主人公が祖父の死を食い止めようとするが、何度軌道変更しても祖父は殺されてしまう。一体どうずれば良いのか。

これが伏線なんだというのは分かるのですが、それがどう繋がるのかが全く予想できないものが多く、最後はまんまと騙されました。

時空の不条理を核にした、本格長編パズラー

本格ミステリーに「ループ」というSF的要素を取り入れた作品ですが、まあ面白い。この「ループ」の設定が非常にキモです。

なんと言いますか、普通のミステリでは得られないワクワク感があって、その上パズルとして綺麗なので満足度が高い。

同じ日をただただ繰り返す訳ではなく、その中展開が二転三転するのも面白いポイントですね。

殺人は当然起きますが重い雰囲気はなく、むしろ楽しめながら読めるのも魅力的。文章もとても読みやすく、主人公に感情移入しやすいです。軽い口調なのにロジックはかっちりしててなお良し。

伏線の貼り方、回収の仕方も素晴らしく、最後の展開に、完全に西澤さんの手のひらで転がされていた事に気づく。

どうしても殺人が防げない!?不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう。渕上零治郎老人―。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは。

16.『慟哭』

貫井徳郎(ぬくい とくろう)さんの代表作ですね。

連続幼女誘拐事件を捜査している警視庁捜査一課長・佐伯と、新興宗教にハマっていく松本をメインとして物語は進んでいきます。一見何の関係もなさそうな2人ですが……。

人間の内奥の痛切な叫びを描いた本格長編

この作品の魅力的な部分はトリックだけではなく、ストーリーが純粋に面白いということ。

ラストに向かうにつれての展開は凄まじく、引き込まれ感がすごいです。

冒頭からの二層構造は何を見せてくれるんだろうとハラハラしながら読み、想像以上に最悪の結末に思わず声が出てしまう。

「やり切れない」という言葉では足りない。「慟哭」というタイトルはまさにぴったりです。

ミステリー小説だからといって構えすぎずに、単純に「面白い小説」として読んでください。

そのラストは、まさに『慟哭』。

連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。

17.『双頭の悪魔』

有栖川有栖(ありすがわありす)さんによる《学生アリスシリーズ》の第三弾。

シリーズ最高傑作との呼び声が高く、実際私もそう思います。

2つの場所で同時に起こる殺人をそれぞれの場所で推理する、という面白い設定を描いた「これぞ本格!」という感じの作品です。

読者への挑戦が三度添えられた、犯人当ての限界に挑む大作

この作品から読んでも十分に面白いのですが、前2作の『月光ゲーム』『孤島パズル』を読んでおくとさらに楽しめるのでおすすめ。

約700ページという濃厚なボリュームのなかでじっくり忍ばせられた伏線の数々。

脱出不可能な地での殺人を描くクローズドサークルものであり、さらには三度にもわたる「読者への挑戦状」が。

ミステリ好きにはたまらない要素が存分に盛り込まれています。

かなり長い物語にも関わらず飽きずに楽しめるのは、アリスパートの望月、織田たちとの討論による推理と、マリアパートの江神による名探偵ぶりという、2種類の謎解きが交互に展開されるからなんですね。

私はアリスパートの望月、織田たちとの討論が大好きなんですよ。ミステリ好きな仲間と推理し合うって最高だなあ。

他人を寄せつけず奥深い山で芸術家たちが創作に没頭する木更村に迷い込んだまま、マリアが戻ってこない。救援に向かった英都大学推理研の一行は、大雨のなか木更村への潜入を図る。江神二郎は接触に成功するが、ほどなく橋が濁流に呑まれて交通が途絶。

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18.『ロートレック荘事件』

とある洋館で美女が殺されていく、というミステリー小説らしい展開。

ちょっとしたレビューもネタバレになってしまうミステリ作品は多く存在しますが、これもその中の一冊。

この作品をネタバレなしにどうレビューしろというのでしょうか。言えるのは「ミステリー小説として超面白い」ということだけです。

とにかく騙されるための小説

読んでいて見取り図や文章に違和感を覚える部分はあったものの、その正体が掴めないまま解決編へ。そしてあの一行が出てきた瞬間、思わず感嘆のため息が漏れました。

しっかり違和感を残しながらこのレベルに仕上げるさすがの力量。

今までどんでん返し系の作品はたくさん読んできましたが、ここまで抜かりなく親切丁寧な伏線回収をする作品も稀ですね。

文庫にして約220ページほどと、ミステリー小説のなかでもかなり短いので長編が苦手な方にもおすすめ。

ぜひ予備知識ない真っ白な状態で読んでみてください。

夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。

19.『星降り山荘の殺人』

倉知淳さんの傑作。

ちょっとクセのある登場人物たちが集まった雪の山荘で連続殺人が起きます。ミステリの王道である「雪の山荘」モノです。

探偵役、ワトソン役をしっかり指定して進んでいくストーリーで、読者にもしっかり謎解きさせていくスタイル。

あくまでもフェアに、真正面から「本格」に挑んだ傑作

これぞミステリー小説!と言わんばかりのベーシックな設定ながら、伏線の回収や強烈なトリックは神がかっています。

また、各章の始まりに著者からの前置きがある構成が面白い。

「この章ではこういう事が起きます」「この出来事は事件とは関係ありません」みたいに、わざわざ読者が推理しやすいように丁寧に説明してくれるのです。

なのに。

どうして。

あなたは。

騙される。

雪に閉ざされた山荘。ある夜、そこに集められたUFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女流作家など、一癖も二癖もある人物たち。交通が遮断され、電気も電話も通じていない陸の孤島で次々と起きる殺人事件…。

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20.『仮面山荘殺人事件』

数ある東野圭吾さんの作品の中でも1、2位を争う傑作。

男女8人が集まる山荘に逃亡中の銀行強盗がやってきた。強盗に拘束され、脱出しようにもなかなか脱出できず、しまいには殺人事件まで起きてしまう。

しかし、どう考えても犯人は強盗たちではない……。

どんでん返しへの持っていきかたが巧みな傑作

東野圭吾作品らしい安定のストーリーでどなたにもオススメできます。

気になる展開が次々起こるので全く退屈するところがありません。

東野圭吾作品はいくつも読んできましたが、こんなにも満足感のあるラストを見せつける作品は少ないでしょう。

何と言ってもこの読みやすさ。東野圭吾さんの小説の良さは読者の懐にスッと入ってくる文章力にあると思います。

計算しつくされたストーリー構成、巧妙なトリックは本当に見事です。

21.『ある閉ざされた雪の山荘で』

続いても東野圭吾さん。

オーディションに合格した7人の劇団員たちが、とある雪の山荘で殺人劇を行います。そう、「劇」なのです。あくまでお芝居の練習なのです。

しかしどうやら様子がおかしい。

それは芝居なのか、それとも……。

謎解きに至るまでの展開は秀逸で、一体何が起きているのか分からず、グイグイ物語に引き込まれていく。

タイトルからしていかにも「本格」ですが、オーディション合格者という立場を逆手に取った心理的クローズド・サークルの作り方がお上手。

最初からヒントが提示されていて、途中に何度かひっかかるところがあったのに、最後までトリックに気付けませんでした。

東野圭吾さん安定の読みやすさ、伏線、驚愕のラスト、細かい人間描写。傑作です。

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した若き男女七名。これから舞台稽古が始まるのだ。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇である。

22.『殺しの双曲線』

正体不明の招待状が届き、雪の山荘に集められた6人の男女たち。

深い雪に囲まれた山荘は、彼らの到着後、交通も連絡手段も途絶した陸の孤島と化す。

そして殺人事件が起きる、という王道ど真ん中の物語。

クリスティの『そして誰もいなくなった』に挑戦した、本格ミステリー

雪に覆われた山荘に閉じ込められて連続殺人が起きる、という王道設定ながら完璧な面白さで、西村京太郎先生の作品の中でも最高傑作との呼び声高い一冊です。実際に私もそう思います。

冒頭で「本作のトリックは双生児であることを利用したものである」と宣言され読者とフェアな関係からスタートするにもかかわらず、読者は真相にたどり着けない。

「西村京太郎さんって、2時間ドラマとかでよくやるトラベルミステリーの人でしょ?タイプじゃないなあ」という方にこそおすすめです。イメージが覆りますよ。

本格ミステリーがお好きなら絶対に読んでください。

引き込まれるストーリー展開、魅力的な謎、伏線の回収、トリックの巧妙さにすべてに舌を巻くことでしょう。

差出人不祥の、東北の山荘への招待状が、六名の男女に届けられた。しかし、深い雪に囲まれた山荘は、彼らの到着後、交通も連絡手段も途絶した陸の孤島と化す。そして、そこで巻き起こる連続殺人。

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23.『クリムゾンの迷宮』

主人公・藤木芳彦が目を覚ますと、そこは見たこともない異様な世界。

そしていきなり、この未知の土地で生死をかけたサバイバルゲームが始まります。

日本ホラー界の新たな地平を切り拓く、傑作長編

最初から最後までハラハラドキドキが止まりません。とくに後半の方は手に汗握る展開の連続で心拍数上昇は確実です。

相変わらず貴志祐介さんは人間を追い込む描写が非常にお上手ですね。

現地の動植物や地理、サバイバル術などの詳細な描写によって、現実離れした状況にも凄まじいリアリティが感じられる文章に仕上げています。そのうえ疾走感があり、ページをめくる手を読めさせてくれません。

ミステリー小説というよりはホラーサスペンスですが、間違いなく貴志祐介さんの傑作の一つですのでここにおすすめさせていただきます。

極限に追い込まれた人間の心理描写や、恐るべき行動の描き方が上手すぎて恐怖せずにはいられません((((;゚Д゚)))))

藤木芳彦は、この世とは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を、深紅色に塗れ光る奇岩の連なりが覆っている。ここはどこなんだ?傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」それは血で血を洗う凄惨なゼロサス・ゲームの始まりだった。

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24.『青の炎』

続いても貴志祐介(きしゆうすけ)さんの作品。

母の元結婚相手である曾根というとんでもない男から家族を守るため、完全犯罪を計画した高校生・櫛森秀一(くしもりしゅういち)の孤独な闘いを描きます。

倒叙ミステリーの最高峰

犯人である櫛森秀一の視点で語られていく、いわゆる「倒叙(とうじょ)ミステリー」というジャンルです。

秀一の生々しすぎる心理描写や感情に、胸が痛くなるほど切なくなって見ていられなくなります。

こっちまで苦しいんです。逆にもう読みたくないってくらいですが、一度は読むべき名作です。

もっとあのときああしていればよかったのにとか、母親がもっとしっかりしていればとか、まるで実際にあった事件かのように、読み終わった後にやりきれない気持ちになってしまいます。それくらいリアリティがあるんです。

これほどまでに犯人の完全犯罪を願ってしまう小説が他にあるでしょうか。

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。

25.『クラインの壺』

現実世界とほぼ同じ感覚を体感できる〈リアルダイブ型バーチャルシステム〉をメインとした作品。

最近ではよく知られるようになった、頭に機械をはめて非常にリアルな仮装現実世界に行ける、みたいなヤツです。

しかしこの作品が発売されたのは1989年。

そんな前からこの設定を描き、今読んでも全く色褪せることのない面白さを誇るのは本当に凄いことです。

現実が歪み虚構が交錯する恐怖を描いた傑作

まず驚くのは、この本が30年前に書かれたということ。

携帯すらないあの時代に、仮想現実という概念が当時あったのかどうかもわからない中、ここまでリアリティに落とし込めた作者の想像力に脱帽するしかありません。

VRゲームを題材に選ぶだけでも凄いのに、軽快なテンポとスリル溢れる展開にページをめくる手が止まらない。

表と裏の境界がないクラインの壺のように、現実と虚構が区別できなくなり、現実が侵食されていく恐怖を存分に味わえます。

ミステリーとしてもサスペンスとしても最高に面白い。とにかく先が気になって仕方ないストーリー展開とテンポの良さで一気読み必須ですので、ある程度のまとまった時間を確保してお読みください。

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。

26.『そして扉が閉ざされた』

続いても岡嶋二人さん。

とある4人の男女が事故で死亡した女性の遺族にシェルターに閉じ込められ、脱出を図りながらも女性の死の真実を推理していきます。

あの事故の真相は何だったのか……?

極限状況の密室で謎を解明する傑作推理長編

「密室からの脱出」を目指す一方、「女性の死は本当に事故なのか?殺人なのか?だとしたら犯人は誰なのか?」という完全な密室での推理合戦は最高に面白いです。

閉鎖空間での現在と事件のあった3ヶ月前の回想が交錯して、テンポ好く展開していくので読み易い。

30年前の作品ゆえの古さはありますが、推理の愉しさは色褪せていないし、被害者を含めた5人の舞台劇を見ているようで楽しめる作品となっています。

また登場人物も少なく、推理のみに特化しているのでかなり読みやすいのもオススメする理由の一つ。

嬉しいことに、2021年2月16日に新装版が登場しました。この機会にぜひ。

富豪の若き一人娘が不審な事故で死亡して三カ月、彼女の遊び仲間だった男女四人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた。なぜ?そもそもあの事故の真相は何だったのか?四人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?

27.『リラ荘殺人事件』

鮎川哲也(あゆかわ てつや)さんの最高傑作とも呼び声高い名作。

芸術大学の学生男女7人が訪れた「リラ荘」を舞台とし、次々と発生する連続殺人事件を描きます。

本格ミステリの金字塔

次々に人が殺されていく中、一つ一つのトリックや殺し方が素晴らしく、質の高いトリックばかりを詰め込んだ贅沢極まりない作品です。

トリックが全然分からないまま、どんどん登場人物が減っていく。警察が現場にいても事件は起きる。捜査は遅々として進まず。

しかも「死体のそばにはトランプのカードが置かれている」という魅力的なホワイダニット(なぜそんなことをしたのか)にも注目。

シンプルでテンポの良いストーリーがページをめくる手を加速させます。古き良き本格ミステリーが好みな方には特におすすめです。

名作はいつまでたっても名作なのだなあ、と実感させられました。

残り少ない暑中休暇を過ごすべく、秩父の『りら荘』に集まった日本芸術大学の学生たち。一癖も二癖もある個性派揃いである上に各様の愛憎が渦巻き、どことなく波瀾含みの空気が流れていた。一夜明けて、りら荘を訪れた刑事がある男の死を告げる。

28.『倒錯のロンド』

「叙述トリックの名手」と呼ばれる折原一(おりはらいち)さんの作品。

とある男が全身全霊をかけて書き上げた「幻の女」という小説が盗まれてしまった。

しかもその盗まれた「幻の女」が別の著者名で新人賞獲得してしまう。

違う!それは俺の作品だ!

ってなわけで、原作者と盗作者の痛快なやり取りが楽しめます。

叙述トリックの名手・折原一の”原点”に位置づけられる名作

叙述トリックの名手と呼ばれるにふさわしい、まさに「やられた!」感を味わえる名作。特に終盤のどんでん返しの嵐は圧巻です。

叙述トリックだとは分かって注意深く読んでいても、やっぱり騙されるのでご安心を。

折原さんの掌の上で転がされまくってください。

嬉しいことに、2021年1月に「完成版」が登場しました。この機会にぜひ。

精魂こめて執筆し、受賞まちがいなしと自負した推理小説新人賞応募作が盗まれた。―その“原作者”と“盗作者”の、緊迫の駆け引き。巧妙極まりない仕掛けとリフレインする謎が解き明かされたときの衝撃の真相。

29.『姑獲鳥の夏』

著者・京極夏彦(きょうごくなつひこ)さんによる、主人公「京極堂」が活躍する《百鬼夜行シリーズ(ひゃっきやこうシリーズ)》の名作中の名作です。

妊娠二十ヶ月の妊婦、密室から消えたその夫。陰陽師である中禅寺秋彦がある一族の呪いを解いていく。

古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾

語り手の精神状態が不安定なので、何らかのトリックは予想していましたが、予想以上の大胆さ。しかも序盤の蘊蓄でちゃんと伏線を張っていて抜け目がありません。

しっかりミステリーでありながら、どことなく不気味なホラーっぽい雰囲気の漂う作風。

この独特の雰囲気が癖になるんです。

文庫で約630ページとやや分厚いですが、長いだけでなくその分ホントに面白い作品なのでご安心ください。

そして続けざまに百鬼夜行シリーズを一気に読んじゃいましょう!

このシリーズ、読み続けていくとミステリーとかどうでもよくなってくるほどハマっちゃうんですよねえ。

この世には不思議なことなど何もないのだよ―古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。

30.『人形はなぜ殺される』

名探偵「神津恭介シリーズ」の一つにして、高木彬光(たかぎあきみつ)さんのマイベスト。『刺青殺人事件(光文社文庫)』と迷うけど。

古典的なミステリーらしいミステリー小説が好きな方にぴったりな作品。

まず人形を被害者に見立てて破壊した後、その人形と同じように殺人が行われていきます。

つまり殺人予告をしているわけですね。犯人は一体なぜ、リスクを犯してまでこんなことをするのでしょうか。

タイトル通り、人形はなぜ殺されるのか?が見所

もちろんラストには驚きの真相が待ち構えています。

名探偵がいるのに何人も殺されるし、ある程度人が死なないと名推理が炸裂しないのはお約束。これぞ本格推理小説です。

とにかくトリックは素晴らしいので、読めばミステリーとして傑作の部類に入ると納得していただけるでしょう。

衆人環視の中で、施錠されたガラス箱から突如消えた“人形の首”。その直後の殺人現場には、無惨な首なし死体と、消えたはずの人形の首が転がっていた。それは名探偵・神津恭介への挑戦状なのか…。

31.『マリオネットの罠』

赤川次郎最高傑作と呼ばれるだけあって当然面白いミステリー。

ある姉妹の館に家庭教師として雇われた主人公。しかし、館の地下に監禁されていた女性を発見。助けてしまう。すると次々に狂気的な殺人が起こり始めて……。

やはりあの女性が犯人か。助けてあげたのが間違いだったのか。

日本ミステリ史上に燦然と輝く赤川次郎の処女長篇

赤川次郎さんの作品は本当に読みやすい。初っ端からグイッと引き込まれる展開と、それを飽きさせないテンポの良さでスラスラ読めちゃいます。

場面転換の数々にハラハラし、最後の最後まで続くスピード感に鳥肌。

で、あのラスト。

昔から愛されている作品は、時代関係なく人を魅了するものだと感じさせてもらえる一冊です。

これが昭和52年の作品ですからね。名作はいつまでも名作ということです。

“私の事を、父は「ガラスの人形」だと呼んでいた。脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。その通りかもしれない”…森の館に幽閉された美少女と、大都会の空白に起こる連続殺人事件の関係は?

32.『厭魅の如き憑くもの』

ホラーとミステリーを融合させた独特の雰囲気が魅力の《刀城言耶(とうじょうげんや)シリーズ》の第一弾。

古き因習がいまだに残る不気味な「神々櫛村」に訪れた主人公・刀城が奇怪な殺人事件に巻き込まれます。

シリーズ3作目まで一気に読んでいただきたい

どんでん返しがすごい!ということでも有名なこのシリーズ。

不気味な雰囲気の村で起こる殺人事件、という設定だけでたまらないのに衝撃の真相は圧巻。最後はまさにベストな終わり方です。

無駄のない伏線回収の小説とは異なり、ミスリードを多用した感じでとても贅沢さを感じさせます。

雰囲気だけでなくしっかりミステリー小説としても本格的。この一作目が気に入っていただけたなら、ぜひシリーズを読破してしまいましょう。後悔はさせませんよ。

特にシリーズ三作目にして最高傑作と呼ばれる『首無の如き祟るもの(講談社文庫)』は必読です。

順番に読むのが面倒であれば、いきなり『首無の如き祟るもの』から読んでも良いです。

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神々櫛村。谺呀治家と神櫛家、二つの旧家が微妙な関係で並び立ち、神隠しを始めとする無数の怪異に彩られた場所である。戦争からそう遠くない昭和の年、ある怪奇幻想作家がこの地を訪れてまもなく、最初の怪死事件が起こる。

33.『獄門島』

『犬神家の一族』や『八つ墓村』など、名作をあげたらキリがない横溝正史(よこみぞせいし)さんによる《金田一耕助シリーズ》の一作。

おなじみの名探偵・金田一耕助が獄門島で出会った不気味な三姉妹。そして怪奇な連続殺人。

ストーリー構成もトリックも犯人も結末も世界観も全て素晴らしい!という「完璧」と言って良いほどのクオリティの傑作です。

後世の推理作家に多大な影響を与えたミステリーの金字塔

横溝さんの凄さ、というものが全部詰まっているというか。このドロドロ感と悲惨な感じがたまりません。文章・構成も素晴らしく、プロットも良くできており、さすがの一言。

また獄門島という外界から隔てた集落の気質や、俳句を取り入れた見立て殺人も本作の魅力の一つ。

時代背景と閉鎖的な村という空間が相まって、いい意味で不気味さが醸し出されていますね。

「なぜ、殺人が行われてたのか」という部分が、壮大な物語を更に深いものにしており、面白いポイントです。

数ある名作を生み出している横溝さんですが、この『獄門島』を最高傑作にあげる方も非常に多いですね。

そりゃそうですよ。こんなに面白いのですから。

獄門島――江戸三百年を通じて流刑の地とされてきたこの島へ金田一耕助が渡ったのは、復員船の中で死んだ戦友、鬼頭千万太に遺言を託されたためであった。『三人の妹たちが殺される……おれの代わりに獄門島へ行ってくれ……』

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34.『13階段』

元刑務官・南郷がわずかな情報を手掛かりに、冤罪だと思われる囚人の死刑執行を阻止するべく調査していく物語。

テーマを「死刑」とし、人を裁くということの重要さ、人を殺すということの重さがこれでもかと伝わってくる作品です。

江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編

テーマは重いのですが、読みやすさは抜群。エンターテイメント小説としても優れています。

死刑執行まで残り時間わずか。はたして南郷は間に合うのか!とドキドキしすぎて物語への引き込まれ感が半端なく、時間を忘れて読みふけてしまいます。

これがデビュー作ですからね、ただただ舌を巻くしかありません。伏線回収も見事。

予想できない複雑な事件の真相に加え、死刑制度の正当性や更生施設の意義、そして司法の限界などの問題提起も含まれた、ミステリーの枠を越えた作品です。

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。

35.『噂』

『女の子の足首を切り落とすレインマンが出現!しかしこの香水をつけていれば狙われない。』というような噂を流し口コミで流行らせ、自社の受け持つ香水の売り込みを狙う広告会社。

しかしただの噂だったはずが、本当に足首を切り落とされた少女の遺体が発見される……。

衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス

ミステリーというよりサスペンスかな?いえ、やっぱりミステリーなのです。

衝撃のラスト一行で有名ですが、意識しないで気楽に読んでみてほしいです。と言われても意識しちゃいますよね(●´I`)

グロテスクでおぞましい事件、明らかに怪しい商法、あちこちにちりばめられた伏線、怪しい人物たち。犯人を知って読み直すと、全然違う情景が浮かんでゾッとできます。

綺麗に終わったかなと思ったんですけどね、あのラストはもうびっくりです。

やっぱり最後の一行が評価されがちですが、内容自体も評価されるべき作品でしょう。

レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。

36.『夏と花火と私の死体』

乙一(おついち)さんの数ある名作の中の一つ。

殺された主人公の死体視点で物語が進んでいく、というのが面白いところですね。

死体となった主人公を隠そうと様々な案を考える幼い兄妹。スリル満点のストーリー展開や伏線の貼り方も絶妙。

乙一さん独特の世界観も相まってクライマックスはゾクゾクしっぱなしです。

才能に溢れた乙一さんのデビュー作

この作品を書いたとき、乙一さんは16歳であったというから驚きです。どれだけ天才なのでしょう。

冷静に考えたら怖い話なんだけれど、読んでいる間は子供たちの夏休みの冒険を見ているような、少しドキドキした気持ちになります。

客観的に見ると大変後味の悪いラストのはずですが、そこまで後味悪く感じさせない、不思議な読後感の作品です。

読み終わったあと、集英社文庫さんの表紙を見たら震えましたよね。楽しそうな夏のイラストに見えますが……∑(゚Д゚)

九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか?

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37.『アリス・ミラー城 殺人事件』

『鏡の国のアリス』をモチーフにした「アリス・ミラー城」を舞台とし、そこに集まった探偵たちが様々な方法で殺されていきます。個人的に大好きな設定(●´∪`)

こんな状況で一体誰が連続殺人を行えたのか?そう考えながら読み進めて、ラストはああ、そう言うことか、と。

読者を選ぶ、大胆で強烈なトリック

ストーリーやアリスの世界観ももちろん良いのですが、なにより衝撃だったそのトリック。

読み終わった後の「そ ん な 馬 鹿 な」という感情は今でも覚えています。

凄すぎてちょっと理解が遅れました。

これを騙されたと思うか、ズルイと思うか、あなた次第!わたし的には全然アリの素晴らしいラストだと思っております。

今作は「城シリーズ」の3作目となりますが、この作品から読んでも問題なく楽しめます。でも、「お城で起こる殺人事件」がお好みならシリーズ全部読んでください。

鏡の向こうに足を踏み入れた途端、チェス盤のような空間に入り込む―『鏡の国のアリス』の世界を思わせる「アリス・ミラー城」。ここに集まった探偵たちが、チェスの駒のように次々と殺されていく。

38.『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』

麻耶雄嵩(まやゆたか)さんの傑作。

雰囲気のある館で起きた連続殺人。首なしに密室に見立て殺人!そこに名探偵・メルカトル鮎が登場!といういかにも王道な感じですが……。

ミステリー界を騒然とさせた衝撃のデビュー作

本格ミステリの中に意外性をぶち込んだ衝撃的な作品。

とにかく凄い展開というか「そんなのアリか!」ってなります。

もはやハウダニットがどうでも良くなるほど世界観に引き込まれる。

これこそ麻耶雄嵩さんの作品の魅力なんです。このクセの強さにぜひハマっちゃってください。

「ミステリをある程度読んできた人のための作品」と言われますが、まさにその通り。

多くの人がバカミス(そんなバカな!と思わせてくれるミステリ)と評したするのも納得。推理は当然のように二転三転、さあ、思いっきり翻弄されましょう。

京都近郊に建つヨーロッパの古城のような館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、既に惨劇は始まっていた。首なし死体、不可解な密室、奇妙な見立て殺人、そして蘇える死者…。

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39.『神様ゲーム』

続いても麻耶さんの作品。

連続猫殺害事件で騒然とする中、転校生の鈴木太郎は自分は「神様」であり猫殺しの犯人も知っている、と言いはじめた。

そして今度は彼の予言通りに殺人事件が……。

子供には読ませられない、非情なラスト

ミステリに全知全能の神様を登場させてしまうという発想が麻耶さんの凄いところ。

子供向けに書かれたミステリ小説らしいのですが、どう考えても子供向けじゃないですよ、麻耶さん。

設定もストーリー展開も非常によく練られているし、クライマックスのあの衝撃の威力といったら。

最高に後味の悪いラストですので注意してください。読んだ人の感想を聞きたくなる一冊です。

神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか、謎の転校生・鈴木太郎が犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。

40.『名探偵に薔薇を』

この作品は2部構成となっており、第1部ではメディアに届いた「メルヘン小人地獄」という毒薬にまつわる童話と事件について語られています。

2部に入ってからは二転三転と予想できない展開に振り回されながら、名探偵ならではの苦悩を味わうことになります。いやあ辛い。

第八回鮎川哲也賞最終候補作にふさわしい本格で、二部構成で別の事件、と思わせて実は一部が二部の伏線になってる。しかも最後に見事などんでん返しが待っています。

あまりにも悲しいラストに胸を打たれる

他のミステリではなかなか味わえない感情に浸りながらも、ラストの展開に驚きましょう。

タイトルの通り、名探偵に薔薇を授けたくなるような作品です。

「推理小説」でありながら「名探偵の小説」なんですよね。これを描いた作品にはなかなか出会えません。

名探偵の苦悩が切なく、彼女に救いの手をさしのべてくれる誰かが現れることを、祈らずにはいられなくなります。

城平京さんといえば『虚構推理』が有名ですが、この作品もぜひ読んでみてください。

始まりは、各種メディアに届いた『メルヘン小人地獄』だった。それは、途方もない毒薬をつくった博士と毒薬の材料にされた小人たちの因果を綴る童話であり、ハンナ、ニコラス、フローラの三人が弔い合戦の仇となって、めでたしめでたし、と終わる。

41.『盤上の敵』

『空飛ぶ馬』などの「円紫さんシリーズ」で有名な北村薫(きたむらかおる)さんの名作ミステリー小説。

妻を人質に取られマイホームに殺人犯が立てこもった。妻を救出するべく、夫の末永純一はどのような行動をとるのか。

誰もが驚く北村マジックが炸裂!

重めのストーリーで爽やかさは全くないのですが、「やられた!」と言わざるを得ないストーリー構成。

ミスリードされていることに薄々気付くのですが、私には全く真相は見抜けませんでした。細部まで非常に考え抜かれた作品となっています。

伏線の張り方は絶妙ですし、物語としての面白さも十分の申し分ない本格ミステリー小説です。

他の北村作品の読後感とは正反対な読み味。だがそこがいい!

何よりラストの「そうくる?!」っていう展開がとても好み。完全に予想外です。

我が家に猟銃を持った殺人犯が立てこもり、妻・友貴子が人質にされた。警察とワイドショーのカメラに包囲され、「公然の密室」と化したマイホーム!末永純一は妻を無事に救出するため、警察を出し抜き犯人と交渉を始める。

42.『頼子のために』

法月綸太郎(のりづき りんたろう)さんの代表作です。

愛娘を殺された父親は、警察を信用せずに自ら真犯人を見つけ出し復讐をする、という内容の手記を残していた。

そこで名探偵の法月が登場し、この手記に基づきながら事件の驚くべき真相が明らかにしていくという展開です。

一度読んだら忘れることのできない後味

この「手記」を名探偵・法月が紐解いていくわけですが、真相が明らかになったときは鳥肌モノです。そういうことか!と。

こんなもの法月綸太郎さん以外に書ける人なんていません!素晴らしい!と拍手したくなります。

最終的なオチと綸太郎の最後の行動には驚愕するしかありません。

とっても完成度の高いミステリー小説ですが、後味はめちゃくちゃ悪いです。

どこが「頼子のために」やねん!ってツッコミたくなります。でもこの結末、嫌いじゃない。

「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて相手を刺殺、自らは死を選ぶ―、という手記を残していた。

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43.『火車』

宮部みゆきさんの名作。『模倣犯1 (新潮文庫)』と迷いました。

休職中の刑事・本間は知り合いから、失踪した女性を探して欲しいと依頼を受ける。

しかし彼女の行方を追っているうちにどんどん明らかになる女性の真実。これはサラ金地獄に飲まれたとある女性のお話。

山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作

ミステリー要素を交えながら「自己破産」など消費者金融をテーマにした作品で、社会問題に対して一石を投じるような意図を感じさせます。

ちょっと分厚いので手に取りにくいですけど、読み始めたら最後。読みやすい文章とわかりやすいストーリーで一気読み出来るほどの面白さを誇ります。

真相が一つ一つ解明される度に、真実を求めたいが為に夢中でページをめくることになるでしょう。読者が求めてしまう期待を見事にバランスよく丁寧に応えてくれるんです。

ミステリー小説というより一つの小説としておすすめ。読み応えもガッツリで良い意味で疲労感が残ります。

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?

44.『生ける屍の死』

アメリカの片田舎を舞台とし、死者が蘇るという謎の現象が起こる中での連続殺人事件を描きます。

死んだ人間が蘇る?ハア? などと言いたい気持ちもわかりますが、まずは読んでみてくださいな。この不思議な世界観だからこそ楽しめるミステリー小説なのです。

こんな展開は他のミステリ作品ではまず味わえませんからね。それだけでも希少な作品です。

日本ミステリ史を代表する革新的な名作

「死んだ人間が蘇る中でどうやって本格ミステリするの?」と、少しでも疑問に思ってしまったなら読みましょう。

かなり幻想的な設定ですが、しっかり本格ミステリとして驚けますのでご安心を。怪奇小説として、ミステリー小説としてどちらにとってもおすすめできる作品です。

ボリュームたっぷりですが、非常に読みやすい文章なのでスラスラ読めるのでありがたいですね。

『生ける屍の死』と言う恐ろしげなタイトルからはシリアスでダークなストーリーを想像するけど、実はドタバタのコメディ要素の方が強く、楽しく読めるのもポイントです。

ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで甦った。この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔手が伸びる。死んだ筈の人間が生き還ってくる状況下で展開される殺人劇の必然性とは何なのか。

45.『丸太町ルヴォワール』

円居 挽(まどい ばん)さんによる《ルヴォワールシリーズ》の一作目。

京都で行われる《双龍会》という裁判で、祖父殺害の容疑をかけられている城坂論語。

事件当日、非常に怪しい女がいたと証言するのだが、現場にそのような女がいた痕跡は全くなかった。

小説ならではの仕掛けを楽しめる傑作

法廷を舞台にしたリーガル・ミステリというと、一見地味なイメージがあるかもしれないですがこの作品は少し特別。

裁判というよりなんでもありの討論ゲームとでも言うのでしょうか。とにかく相手を納得させてしまえば勝ちなのです。

純粋なロジックより、いかに華のある論理の展開が出来るかが勝負の鍵になる、そこが面白いのです。

しかも、どんでん返しに続くどんでん返しで笑っちゃうほど気持ちがいい!かなり贅沢してます。

他のシリーズ作品でもどんでん返しが炸裂してますので、どんでん返しがお好きならぜひシリーズ全作品読むことをおすすめします(´艸`*)

祖父殺しの嫌疑をかけられた御曹司、城坂論語。彼は事件当日、屋敷にルージュと名乗る謎の女がいたと証言するが、その痕跡はすべて消え失せていた。そして開かれたのが古より京都で行われてきた私的裁判、双龍会。

46.『眠りの牢獄』

恋人の亜矢子が階段から落ちて昏睡状態となった。

その5年後。亜矢子の兄から呼び出された主人公と友人は、その兄に地下室に閉じ込められ「犯人がわかるまでここから出さないぞ!」的な展開に。

読みやすくコンパクトにまとめられている名作

登場人物も少なければページ数も少ない。だからとても読みやすくて分かりやすいので、長編小説が苦手な方にもおすすめできます。

ありきたりなミステリかと思いきや、何段にも連なるどんでん返しで読む手が止まらない。なんとなく先行きが読めているつもりだったぶん驚きを隠すことができません。

トリックの詰め合わせ具合が素晴らしく、どれか一つだけでも1冊書けるのに、これだけ詰め込んでよく250ページにまとめたなあ!という感じ。

しかしまあ、この短さでこれだけの面白さと衝撃を味わせてくれるとは。ありがたいことですね。

階段から落ちた恋人・亜矢子は意識不明のまま昏睡状態に陥る。それから五年、浦賀は亜矢子の兄に呼び出され、友人の北澤・吉野と共に階下の地下室に閉じ込められてしまう。解放の条件は彼女を突き落とした人物自身の告白だった。

47.『連続殺人鬼 カエル男』

警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに。

無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは?

ややおふざけっぽいタイトルと表紙ですが、実に猟奇的な殺人犯「カエル男」を描いた本格ミステリー小説です。殺し方がいちいちエグい。

もちろんただグロいだけでなく、奇抜なトリックや伏線回収、二転三転する展開はお見事です。

どんでん返しにつぐどんでん返しで最後の一行まで目が離せない!

読者を楽しませてくれる要素盛りだくさんで最後の最後まで目を離せません。

残虐なシーンが多く、内心読むのをやめようかと思いつつも、続きを読みたい気持ちが勝っちゃうんですよねえ。

途中までは単純なサイコミステリーだと思っていたんですが、まさかあんな展開を迎えるとは。最後まで犯人が分からず、アッと驚かせるのはさすがの一言。

もちろんどんでん返しもありますのでご安心してお読みください(●´∀`●)

続編の『連続殺人鬼カエル男ふたたび』もありますので、続けてどうぞ。

※過激な暴力シーンや性描写が含まれいますので、苦手な方はご注意ください。

口にフックをかけられ、マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。街を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の犯行だった。

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48.『殺人鬼フジコの衝動』

イヤミスでおなじみの真梨幸子(まりゆきこ)さんによる名作ミステリー。

真梨幸子さんのおすすめ作品はたくさんありますが、まずはこの作品をおすすめしましょう。

タイトル通り、殺人鬼フジコがどんどん人を殺していきます。

彼女はなぜ殺人鬼となってしまったのか?

最後の一行を読んだとき、著者が仕掛けたたくらみに戦慄する!

それには暗く重い真実があり、なんとも嫌な気分になります。しかし、後味が悪いとわかっていても読む手は止まりません。

イヤミスである事は重々承知した上で身構えて読みましたが、想像の遥か上を行くえげつなさと胸糞悪さ。

しかしミステリーとしての構成やさりげない伏線の張り方は巧みで、上手いと言わざるをえません。

そして、この作品は「あとがき」も必ず読んでください。もちろん最後にですよ。

※過激なシーンや性描写が含まれいますので、苦手な方はご注意ください。

一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして新たな人生を歩み始めた十一歳の少女。だが彼女の人生はいつしか狂い始めた。「人生は、薔薇色のお菓子のよう」。呟きながら、またひとり彼女は殺す。何がいたいけな少女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか?

49.『ダレカガナカニイル・・・』

井上夢人(いのうえ ゆめひと)さん〈らしさ〉が存分に味わえる、奇妙な味つけのミステリー小説。

新興宗教団体の施設の警備員となった西岡が、教祖焼死事件に巻き込まれる。その日から西岡の頭の中で誰かの声が聞こえ始め……。

ミステリー、SF、恋愛小説、すべてを融合した奇跡的傑作

ミステリーでありSFであり恋愛小説でありオカルトであり。いろいろな要素が楽しめる作品ですね。

SF的な設定の上に魅力的な謎をミステリとして展開し、更には哀切な物語へと変容する衝撃のクライマックス。

文庫にして約700ページほどと分厚いですが、物語への引き込まれ具合が半端なく一気読みできます。

井上夢人さんはミステリ以前にストーリーの作り方がめちゃくちゃお上手なんですよ。

とにかく読ませるし伏線の敷き方もお見事。そしてラスト2ページでの展開に衝撃を受けてください。

警備員の西岡は、新興宗教団体を過激な反対運動から護る仕事に就いた。だが着任当夜、監視カメラの目の前で道場が出火、教祖が死を遂げる。それ以来、彼の頭で他人の声がしはじめた。

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50.『開かせていただき光栄です』

皆川博子(みながわ ひろこ)さんの作品の中で一番好きなミステリー小説。

18世紀のロンドンを舞台とし、解剖室から発見された残虐な死体を皮切りに物語は始まります。

まるで翻訳小説のような華麗な文章に酔いしれる

次々に起こる奇怪な謎、トリックなどのミステリ要素はもちろんですが、18世紀のロンドンという時代設定ならではのストーリーと世界観がとても魅力的。

なんか日本の小説というより翻訳小説っぽいんですよ。それがまたロンドンという舞台にバッチリ合っていて、つい雰囲気に酔いしれちゃうんですよね〜。

18世紀のロンドンを見てきたのかと思うほど、臨場感ある描写は圧巻。真相が明らかになるにつれて、パーツがはまっていく様子も見事で、読みだすと止まらず。

四肢切断や顔の無い死体など、起こった事件は凄惨だけど、登場人物たちがユニークでとても面白く読めます。

伏線の散りばめ方、二転三転する展開、どんでん返しも申し分ありません。あとタイトルと表紙絵も美しくて大好き(o´ω`o)

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男。戸惑うダニエルと弟子たちに治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には詩人志望の少年の辿った恐るべき運命が…

おわりに

というわけで『最強に面白いおすすめ国内ミステリー小説50選』をご紹介させていただきました。

どの作品も胸を張っておすすめできる本当に素晴らしい作品ばかりです。

未読な作品があればぜひ読んでいただければと思います(●>ω<)ノ

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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