短編集– category –
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蘇部健一『六枚のとんかつ』- くだらなさの皮をかぶった、恐るべきバカミスの怪物【傑作ミステリエッセイ】
ミステリを読んでいると、たまに理性が変な方向へ全力疾走する作品に出会う。 緻密なロジック、美しい伏線、鮮やかな解決。 そういうものを期待してページをめくっていたはずなのに、気づけば目の前に出されているのは、とんかつである。 しかも六枚である... -
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ジョン・ディクスン・カー『妖魔の森の家』について長々と語るだけ【傑作ミステリエッセイ】
ジョン・ディクスン・カーの『妖魔の森の家』を読むたびに、短編ミステリという形式の恐ろしさを思い知らされる。 長編なら、寄り道もできる。人物の過去を語り、館の見取り図を広げ、容疑者を何人も並べ、探偵にたっぷり講釈をさせる余裕がある。 ところ... -
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『乙一デビュー30周年記念自選短編集1996-2026』- 乙一の30年を、暗闇の中でたどり直す【読書日記】
乙一という名前には、青春の記憶と、物語に足をすくわれる予感が一緒にまとわりついている。 怖い話を書く人。切ない話を書く人。ひねりの効いたミステリを書く人。 白乙一、黒乙一、中田永一、山白朝子。いろいろな呼び方や名義があり、そのたびに作風も... -
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真門浩平『ぼくらは回収しない』- 伏線回収という言葉の向こう側にある、回収されない感情【読書日記】
伏線回収という言葉は、いつの間にか物語を褒めるための便利な合言葉になった。 あれも回収された、これも意味があった、すべてが最後につながった。もちろん、それはミステリを読む大きな楽しみのひとつである。 だが『ぼくらは回収しない』は、その快感... -
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芦沢央『あなたが正しくいられたとき』- いいことをしているつもりの怖さについて【読書日記】
芦沢央は、人が善意の顔をしたまま誰かを傷つけてしまう瞬間を、ミステリの仕掛けで鮮やかに見せてくる。 どこかで視界がひっくり返されるかもしれない。信じていた人物の印象が変わるかもしれない。何気なく読んでいた場面が、あとから別の意味を持って迫... -
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『フレドリック・ブラウンSF短編全集2 星ねずみ』- 小さなねずみが宇宙へ飛び、活字機械が世界を書き換える【読書日記】
フレドリック・ブラウンの短編を読むと、毎回脳内に小さな爆竹を投げ込まれたような気分になる。 しかも、その爆竹がやたら精密に作られている。導火線は短い。火花は一瞬。 だが、鳴ったあとに残る煙の形が妙に忘れがたい。本来、短編SFってこういう危な... -
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米澤穂信『倫敦スコーンの謎』- 甘いお菓子の皿には、苦い論理がきれいに盛られている【読書日記】
日常の謎という言葉には、どこか軽やかな響きがある。 だが〈小市民〉シリーズに限って言えば、その日常は案外やわらかくない。 表面は甘く整えられていても、ひと口かじると、人間の見栄や憧れや意地が顔を出すからだ。 小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、小市民... -
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筒井康隆『ジャックポット』- 言葉が暴走し、死の川辺までたどり着く前衛短編集【読書日記】
小説というものは、ふつう何かを伝えるために言葉を使う。 物語を進める。人物を描く。世界を立ち上げる。まあ、だいたいそういうものだと思っている。 ところが筒井康隆『ジャックポット』を開くと、その前提がいきなり足元から外される。 言葉が意味を運... -
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『法月綸太郎の不覚』- 令和の名探偵は、まだ論理で世界に抗えるのか【読書日記】
名探偵という存在は、もしかすると現代社会でいちばん肩身の狭い職業なのかもしれない。 いや、もちろん現実に「名探偵」という職業欄があるわけではない。 だが本格ミステリの世界では、事件が起これば名探偵が現れ、警察が拾いきれなかった違和感を拾い... -
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『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』- 死の向こう側ではなく、生きた時間の内側を覗き込むキング中編の凄み【読書日記】
https://300books.jp/stephenking/ スティーヴン・キングという作家を、いまだに「ホラーの帝王」という肩書きだけで語るのは、さすがにもったいないのではないかと思う。 もちろん怖い。そりゃ怖い。墓の下からスマホが鳴るなんて、普通に考えて嫌すぎる...
