短編集– category –
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小田雅久仁『禍』- 怖いのに目をそらせない、奇妙に美しい災厄【読書日記】
新刊情報を追っていて小田雅久仁の名前が見えると、私の中の空気が毎回ちょっと空気が変わる。 待ってました、という気持ちもあるし、今度はどこまで連れていかれるのかという妙な緊張もある。 この人はたくさん書くタイプではない。むしろ寡作で、そのぶ... -
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トマス・リゴッティ『悪夢工場』- 世界そのものが悪夢として立ち上がる、文学的ホラーの黒い到達点
ホラー小説には、読んだあと電気を消すのが嫌になるタイプの作品がある。 背後が気になる。カーテンの隙間が気になる。廊下の暗がりが、やけに意味ありげに見えてくる。 まあ、それはそれで困るのだが、まだ生活に戻れる恐怖ではある。 だがトマス・リゴッ... -
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マルセル・シュオッブ『黄金仮面の王』- 博識が悪夢の仮面をかぶったら、幻想文学はここまで濃くなる【読書日記】
幻想文学にはときどき、何を食べたらこんなものが書けるんだ?と言いたくなる作家がいる。 マルセル・シュオッブは、まさにそのタイプだ。 歴史、神話、古文書、伝説、犯罪史、終末幻想、海賊、仮面、死体、顔の喪失、奇跡。材料だけ並べると、だいぶ物騒... -
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『呪いの☒☒』- 令和の呪いは、井戸からではなくインフラと紙と職場からやってくる【読書日記】
呪いという言葉を聞くと、古びた藁人形、丑の刻参り、封印された村の祠、絶対に開けてはいけない箱、みたいなものを思い浮かべがちだと思う。 もちろん私はそういうタイプのホラーも大好物だ。できれば旧家の蔵から、何かよくない巻物の一本くらいは出てき... -
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2026年4月に読んでに特に面白かった本29冊 – 高原英理『抒情的恐怖群』ほか
2026年3月に読んだ本の中から、特にこれは面白い!と思った29冊の記録である。 他の月はこちら 2026年3月に読んでに特に面白かった本17冊 – 飛鳥部勝則『封鎖館の魔』ほか 2026年2月に読んで特に面白かった本23冊 – 飴村行『粘膜大戦』ほか 2025年11月に読... -
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『サプライズ・エンディングス 嘘』- ひっくり返される快感、そして疑うことの楽しさ【読書日記】
https://300books.jp/surpriseending/ ミステリを読んでいて、最後の数行でこちらの頭の中の家具配置が全部変わってしまう瞬間がある。 さっきまでテーブルだと思っていたものが実は扉で、壁だと思っていたものが実は床で、犯人だと思っていた人物が、そも... -
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『フレドリック・ブラウンSF短編全集1 未来世界から来た男』 – ショートショートの神様が、未来からではなく過去から殴ってくる
短い小説が好きだ。 もっと言うと、短いのにやけに後を引く小説が好きである。 たとえば、ほんの数ページで世界の見え方が反転する。 油断して読んでいたら、最後の一行で足元の床板がすっと抜ける。 しかも、その抜け方が大げさな悲鳴ではなく、妙に乾い... -
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山白朝子『スコッパーの女』- 創作という名の呪い、あるいは発掘という名の加害、あるいは小説家という名の怪異について【読書日記】
山白朝子の新作が読める。その事実だけでうれしいはずなのに、同時に少し怖くもなる。 しかも今回は『スコッパーの女』である。題名だけでもう、何か掘り返してはいけないものを掘り返しそうな気配が濃い。 そして実際そうだった。かなり怖い。だが、本作... -
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『サプライズ・エンディングス 罠』- どんでん返しの魔術師、その短編の切れ味と騙される快感【読書日記】
ジェフリー・ディーヴァーを読むたびに思うのだが、この人はやはり、人を騙して驚かせることに異様な情熱を持った作家だ。 しかも、その騙し方が雑ではない。ただ派手に話をひっくり返すのではなく、きっちり論理を積み上げたうえで、こちらが当然だと思っ... -
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G.K.チェスタトン『ブラウン神父シリーズ』徹底解説|おすすめや読む順番の話
ミステリの歴史には、「必ず一度は通る名前」というものがある。 1874年にイギリスで生まれた、ギルバート・キース・チェスタトンも、その一人だ。 作家として、そして世の中を独特な目線で見つめる批評家として、20世紀初頭の文学界にしっかりと足跡を残...
