【傑作選】海外ミステリー小説おすすめ100選!一度は読むべき名作たち

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今回は『ぜひ一度は読んでおきたい名作海外ミステリー小説のおすすめ』をご紹介です!

どれも人気の名作や有名な作家さんが多めなので知っている作品も多いとは思いますが、もし未読な作品があったらぜひ読んでみてほしいです。

特に「海外ミステリー小説をほとんど読んだことがない」という方は、是非これらの作品を読んで海外ミステリー小説の面白さにハマっちゃってくださいな!

どれもこれも古典ミステリの名作だ!最高傑作だ!などと言われているだけあって本当に面白いです。

やっぱり死ぬ前に一度は読んでおくべきでしょう!

参考にしていただければ幸いです(=゚ω゚)ノ

目次

1.『カササギ殺人事件』

このミステリーがすごい!2019で第1位、本格ミステリベスト10でも1位となった『カササギ殺人事件』です。

アガサ・クリスティへの完璧なオマージュと称され、旧時代の推理小説アップデートして現代にタイムスリップさせたような古き良き作品。

久々にこのような作品を読むことができて最高に嬉しかったです。

見事な二重構造になっていて、とにかく見せ方が上手い。とにかく読者をワクワクさせてくれる要素が満載なんですよねえ。

上・下巻に分かれている長編なのですが、読めばなぜこんなに長いかがわかります。しかも抜群に読みやすくて長さを感じさせません。

下巻を読めば「このために上巻があったのか!」と納得。終盤のグイグイ読ませる感じも最高。

ミステリ好きならば絶対読むべき素晴らしい作品です。

2.『メインテーマは殺人』

続いてもアンソニー・ホロヴィッツ氏。

『このミステリーがすごい! 2020年版』海外編第1位

〈週刊文春〉2019ミステリーベスト10 海外部門第1位

『2020本格ミステリ・ベスト10』海外篇第1位

〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 海外篇第1位

と、ミステリーランキングを制覇した素晴らしき一冊。

自分の葬儀の手配を終えた夫人がその日のうちに殺される。夫人は殺されるのを予期していたのか?

著者であるアンソニー・ホロヴィッツ自身が作中の語り手となり、ワトソンの役割を果たしている英国ミステリです。現代版シャーロック・ホームズといった雰囲気ですごく良い。

犯人当ての最高峰ですね。しかも読者に対してフェアプレイなところもいい。しっかり見込んでいれば犯人はわかるはず……なのですが。

カササギ殺人事件を読んで面白いと感じたならぜひこちらも。

3.『その裁きは死』

3連続アンソニー・ホロヴィッツ氏。面白いのだから仕方ありません。

前作『メインテーマは殺人』に続くホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズの2作目です。

今作も非常にクオリティが高く、フェアな伏線の張り巡らせ方と意外な犯人などとても楽しませてくれます。

読者に対してフェアプレイであり、納得のいく真相。これがアンソニー・ホロヴィッツ作品の魅力ですね。

今後は全10作のシリーズとなる予定とのこと。絶対に見逃せないシリーズです。

4.『ストーンサークルの殺人』

ゴールド・ダガー受賞作。

英国カンブリア州に点在するストーンサークルで次々と焼死体が発見された。

犯人は死体を損壊しており、三番目の被害者にはなぜか停職中の国家犯罪対策庁の警官ワシントン・ポーの名前と「5」と思しき字が刻み付けられていた……。

非常に魅力的な事件ですね。これだけでワクワクしてしまいます。

伏線が至る所に張り巡らされており、それらを見事に回収していく様は読んでいて気持ちが良い。

華麗なる謎解きと犯人が明らかになる終盤は一気読み必須。最後の最後まで楽しませてくれる満足度の高い作品です。

謎解きはもちろん、主人公ポーを含めた登場人物のキャラが良いのもこの作品の魅力の一つ。

5.『おしゃべり時計の秘密』

ジョニーとサムは、ミネソタ州の田舎町で一文無しになり、浮浪者と化していたため牢屋送り。

なぜか同牢の青年がジョニーに「質札」を渡してきた。しかし翌朝になると、青年は殺害された状態で発見。

2人は殺人容疑をかけられるが、同牢だったもう1人が行方不明。

犯人と思われる同牢者を探すため、彼らは牢屋から脱走。

警察に追われながらニューヨークに辿り着いたが、青年から渡された「質札」によりある事件に巻き込まれ!?

青年はなぜ殺されたのか…

なぜジョニーに質札を渡したのか…

犯人は何者なのか…

約250ページという長いとは言えない物語のなかで、何かが起き続けるスピーディな展開で読み進めたくなる1冊です。

主人公のジョニーは好奇心旺盛で様々な事に首を突っ込みにいく一方で、サムはそんなジョニーにいやいや付き合っているコンビです。

そんな2人の掛け合いが、惜しみなく描かれています。

物語の途中からジョニーはお金目当てではなく、殺された青年のために殺人事件を解き明かそうと奮闘。

この姿がとても格好よく、トキメキます。

ユーモアミステリーならではの笑いもありで、気楽に読めるミステリとなっています。

6.『黒い睡蓮』

抜群の衝撃度。

とある村で、女好きで絵画コレクターでもある眼科医が殺される。動機は女性関係か、絵画の取引関係か。という、一見よくある推理小説。

ですが、巧みな構成と技と仕掛けでアッと言わせてくれる名作です。

とにかく「騙されるのが好き!」という方はぜひ読んでみましょう。

2018年版このミステリーがすごい!の5位ですが、私的にはこの作品が1位。

7.『湖畔荘』

ある問題を起こして謹慎処分となったロンドン警視庁の女性刑事。

ロンドンを離れてコーンウォールの祖父の家で謹慎の日々を過ごすうちに、偶然、打ち捨てられた屋敷・湖畔荘を発見する。

そして、70年前にそこで赤ん坊が消える事件があり、迷宮入りになっていることを知る。

興味を抱いた彼女は、この事件を調べ始めた……。

上巻で広がった伏線と謎をシュルシュル回収していって、下巻の終盤は「圧巻」の一言。

謎解きの醍醐味ってのを堪能できます。

上巻の終盤から、もう止まらなくなり、慌てて下巻を手に取り一気読み。

うわーそうくるかー!と唸ってしまうラストの展開。

ケイト・モートンにしてやられた。

8.『そしてミランダを殺す』

『このミステリーがすごい! 2019年版』第2位

『週刊文春ミステリーベスト10 2018』第2位

『ミステリが読みたい! 2019年版』第2位

という人気作。

妻の浮気に気付いたテッドは、空港でたまたま会ったリリーに妻を殺したいと願望を打ち明ける。リリーはテッドと協力してその妻ミランダの殺害を企てるが……。

スリリングな展開の連続でハラハラしながら一気読みできる良質なミステリです。

途中で予想外の方向にストーリーが転がり、あとはもう作者の手の内。特に終盤はページをめくる手が止まらなくなります。

はたして、最後に笑うのは誰か。

9.『ホッグ連続殺人』

新聞記者のビューアルは車を運転している最中、目の前を走る車に大きな看板が落ち、そのうち二人が死亡し一人が重傷を負うという事故を目撃した。

不運な事故を思われたが、その後『HOG』と名乗る者から「あれ私が殺した」という内容の手紙がビューアルのもとに届く。

その事件を皮切りに、ニューヨーク州スパーダ町では連続殺人事件が発生する。

不可能としか思えない状況であっても、姿を見せることなく確実にを犯罪を行っていく『HOG』。

事件が起きた後には、かならず『HOG』から手紙が届く。

『HOG』とは何者なのか。その目的は。

物語の途中にある『HOG』の意味に関しての仮説合戦も見所なわけですが、特に「犯人はなぜ『HOG』と名乗るのか」の意味が明かされるラスト一行の美しさはたまらないですね。

正直メイントリックより震えました。これを味わうだけでも読む価値アリなくらいに。

10.『ウッドストック行最終バス』

モース主任警部の一作目にして代表作。

なかなか来ないウッドストック行きへのバスにしびれを切らした二人の娘は、ヒッチハイクを始めた。

その晩、娘の一人は死体となって発見される。もう一人の娘はいったいどこに消えたのか?

イギリス・ミステリを代表するコリン・デクスター氏の最高傑作と呼ばれる作品。

日本ではあまり知名度が高くないモース主任警部ですが、イギリスではホームズと並ぶ国民的探偵です。

唯一の難点としては、翻訳がちょっと読みにくいことでしょうか。まあそれも古典の良い雰囲気ととらえていただければ^_^

意外な新事実が最後にビシッと明らかになるのは見事ですし、しっかり推理しながら読めばいたるところにヒントが散りばめられているのがわかり、とても丁寧に作られた作品であることがわかります。

11.『キドリントンから消えた娘』

「モース主任警部シリーズ」の代表作。

2年前に行方不明になった少女バレリーから届いた手紙。「心配しないで」とのことだが、なぜ今更?果たして彼女はどこにいるのか?そもそも生きているのか?

一人の少女の失踪という地味な事件ですが、推理が組み立てられては崩壊するという課程が繰り返され 、一体真相はどこにあるのかと気になって仕方なくさせます。

まるでバークリーの『毒入りチョコレート事件』を一人でやっていうかのよう。一人多重解決です。

いやそれは無理でしょう!とツッコミたくなるような、勝手な読みを積み重ねていく推理が見所。読む手を止めさせないストーリー展開も素晴らしい。

2年前に失踪して以来、行方の知れなかった女子高生バレリーから、両親に手紙が届いた。元気だから心配しないで、とだけ書かれた素っ気ないものだった。

12.『Xの悲劇』

エラリー・クイーンといえばこの作品。俳優のドルリー・レーンを探偵役とした「悲劇」4部作の第1作目。

1932年に発表された作品ながら、今なお読み継がれる色褪せぬ傑作です。

内容はいたってオーソドックスにして王道。これぞ本格推理小説!といったような安心感のある作品です。

なにより解決編が素晴らしく、第一の事件、第二の事件、第三の事件の矛盾点、それぞれ、たった一つずつの謎から犯人を導き出すロジックの美しさに、思わずため息が漏れるほどです。

伏線回収もお見事。有無を言わさず必ず読んでおきたい海外名作の一つです。

しかも新訳版が出たことによって大変読みやすくなっております。

翻訳小説なのにこんなにスイスイ読めるのは、翻訳の良さだけではなく、やっぱり物語そのものが面白さに溢れているからですね。

満員電車の中で発生した殺人事件。被害者のポケットからは、ニコチンの塗られた針が無数に刺さったコルク球が発見された。

13.『Yの悲劇』

「悲劇」4部作の第2作目。

クイーンの『Xの悲劇』を読んだならば、続く『Yの悲劇』を読まずにはいられません。

プロットと文体が秀逸で、奇をてらうトリックはありませんが、読者を引き込む力が半端なく、最初から最後まで一気に読ませます。

クイーンの妙味のロジックはもちろん、設定がミステリとして単純に面白い。

一見バラバラで繋がらないように見えた不可解なものの数々が、一人の犯人を浮かび上がらせることで繋がっていく解決編は圧巻。

初めて読んだときは犯人がわかったと思って喜んだのに、何度も惑わされ結局最後までわからなかったのを覚えています。

クイーン作品の中でも特に傑作と言われているこの作品。あなたはXが好き?それともY?

大富豪ヨーク・ハッターの死体がニューヨークの港で発見される。毒物による自殺だと考えられたが、その後、異形のハッター一族に信じられない惨劇がふりかかる。

14.『エジプト十字架の謎』

またまたエラリー・クイーン。

様々な国名をタイトルに取り入れた「国名シリーズ」の第5弾。その国名シリーズの中で最高傑作とも言われるのがこの『エジプト十字架の秘密』です。

首なし死体を貼り付けにするという奇怪な連続殺人にエラリーが挑む。

クイーン作品では珍しい猟奇的殺人で賛否もある作品ですが、今となってはミステリーの王道となったシチュエーションや謎解きやミスリード、ロジックの構成など、あらゆる要素が盛り込まれていてワクワクが止まりません。

いくつものミスリードの果てに、ようやく真実が見えてくる。 そこから犯人の目星がつき、殺害の動機がわかったと思っていると、ラストに大どんでん返しがある。最高です。

ハラハラするストーリー展開も、その意外性も文句なく素晴らしい。

ウェスト・ヴァージニアの田舎町、アロヨで不可解な“T”だらけの殺人事件が発生。死体はT字路にあるT字形の標識に磔にされ、その頭部は切り落とされていた。

15.『ギリシャ棺の謎』

国名シリーズ最高傑作との呼び声も高い一作。

時系列的には一番最初で、大学を卒業したばかりのクイーンが初めて手がけた事件を描きます。

伝統あるハルキス画廊の創立者が亡くなり、遺言書を開封しようと金庫を開けたら遺言書がなくなっていた。

しかし遺言書は家のどこにもなく、ついにハルキスの遺体を入れた棺を探してみよう、ということになる。

だが、棺から発見されたのは遺言書ではなく、別の何者かの死体だった!

これもまた論理パズル好きにはたまらない作品です。ロジックを徹底的に追求した作品であり、その最高峰。ため息が出ます。

推理小説の一つの完成形と言ってもいいでしょう。それくらいに神がかっています。

伏線の張り方は可憐だし、物語としての面白さも増しています。

もちろん国名シリーズはどれも面白いのですが、この作品は桁が違います。読めばわかる。

16.『災厄の町』

エラリイ・クイーンのライツヴィルシリーズ。

結婚式の直前に失踪したジムが突如ライツヴィルの町に戻ってきた。

彼の帰りを3年間待っていた婚約者ノーラは式を挙げることに。

幸せな日々の始まりかと思われたが、発見した奇妙な手紙には妻の死を知らせる文面が記されていた―。

ライツヴィルの町を舞台に巻き起こる事件。

単純に思われた事件から救いのないような真相が導き出されていく様は圧巻。

どうしようもないほどの悲痛さを感じさせる解決編には注目です。

本作はミステリももちろんですが、人間模様の描かれ方が秀逸な作品でもあります。

人の愛憎や絶望、忍耐などが非常に丁寧に描かれており、それがこの物語を深く彩っていることでしょう。

複雑でありながら確実に面白さを感じさせている点はさすがの一言です。

おぞましさすら感じてしまう“町”で起こった事件の真相をぜひその目で確かめてみてください。

大人のほろ苦さを感じるような傑作ミステリとなっています。

17.『フォックス家の殺人』

作者と同名の探偵が登場するエラリイ・クイーンシリーズの名作です。

今回もライツヴィルという架空の街を舞台に、探偵エラリイ・クイーンが事件を解決します。

今回解決する事件は12年前に起きた殺人事件で、犯人もほぼ確定しています。

本人の「自分は無実だ」という証言だけで冤罪である証拠がなく、どのようにして真犯人を導き出すのかが最大の見所。

派手な殺害方法や連続殺人などはなく、一見すると地味な印象がありますが、エラリイ・クイーンが少ない情報から謎を解き明かすまでの方法が非常に秀逸です。

ほんのささいな日常の動作から過去の謎が解き明かされていく構成に驚かされることでしょう。

地味な展開が続くのにグイグイ読まされるし、後半の二転三転するあの展開は数あるクイーン作品の中でもトップクラス。ぜひご堪能ください。

18.『九尾の猫』

ニューヨークに“猫”と呼ばれる連続絞殺魔が出没した。

すでに犠牲者は5人も出ているが依然として手がかりは掴めない。

ただ事件現場にはいつも死体と首に巻きついたシルクの紐だけが残っていたのだ―。

本作はすでに事件が5件起こっているところから始まります。

目撃者や証拠もないなかで殺人犯を見つけていく点は大きな見所でしょう。

被害者にも接点がないため、ここから犯人に辿り着いていく展開には注目です。

奇抜さや意外性を感じさせるような新鮮な推理を楽しむことができます。

ミステリとしてはサイコキラーもののような部分があるため、序盤から街を恐怖で包んだような空気感が感じられます。

ストーリーが進むうえでさらなる謎が提示される点は楽しめること間違いなしでしょう。

事件を解決していくプロセスや、そこに至るまでに張り巡らされている伏線も素晴らしいです。

何度読んでも面白いと思わせるようなすごさがあるので、ぜひとも1度手に取ってみてほしい作品となっています。

19.『そして誰もいなくなった』

この作品を読まずして何を読めというのでしょうか。

アガサ・クリスティといえば、いえ、ミステリー小説といえばこの作品という方も多いはずです。

孤島に集められた男女10人が童謡になぞらえて殺されていく「見立て殺人」かつ「クローズドサークル」ものの超名作。

犯行の動機、その方法、登場人物の心理描写まで、非常に細かく作り込まれていながら、物語の筋に不自然さもなく、次々に人が死ぬのに残虐さを感じさせないのも凄いところです。

複雑で陰惨な事件であるにもかかわらず、驚くべきはそのシンプルな描写と軽妙さとテンポ感の心地よさ。

良い意味で読後の不快感がないというとても巧妙な仕上がりになっています。

ミステリー小説がお好きであれば、何が何でも読まなくてはいけません。

その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が響く…

20.『アクロイド殺し』

同じく、アガサ・クリスティの作品の中でトップクラスに人気のある名作。

クリスティお馴染みの名探偵「ポアロ」が難事件に挑みます。

出版当初、このトリックには賛否両論あったそうですが、騙される楽しさを思う存分味わえます。

そのトリックと仕掛け、終盤での衝撃は計り知れません。

詳しいことは調べたりせず、予備知識なしで読むことをおすすめします。ぜひ犯人当てを楽しんでください。

初めて読んだときは大胆なトリックと予想外の結末に興奮が収まらなかったのを覚えています。

できることなら一度記憶を消して再読してみたい、そこまで思わせてくれる作品です。

深夜の電話に駆けつけたシェパード医師が見たのは、村の名士アクロイド氏の変わり果てた姿。容疑者である氏の甥が行方をくらませ、事件は早くも迷宮入りの様相を呈し始めた。

21.『オリエント急行の殺人』

同じくアガサ・クリスティの最高傑作候補の一つ。人気のポワロシリーズ不朽の名作です。

豪華列車オリエント急行の車内で起きた殺人事件。しかし、乗客には全員アリバイがあった。

各人の証言と残された手掛かりから真実を導き出す推理の鮮やかさに痺れます。

なによりも「意外な犯人」という大前提の要素を根底から覆すトリックが、これだけ昔に編み出されていたという事実が、クリスティの偉大さを物語っていますね。

初めて読んだときはそのトリックと真実にかなり驚愕したものです。ドラマ版など見た方もいるとは思いますが、原作の素晴らしさをぜひ味わってください。

アクロイド殺しと同じくあまりに有名なので、ネタバレに出会う前にさっさと読むのがベストです。

数日がかりでヨーロッパを走り抜ける豪華寝台列車、オリエント急行。さまざまな国の客が乗り合わせたその日の列車は、雪の中で立ち往生してしまう。

22.『ABC殺人事件』

またまたクリスティ、ポワロシリーズ。

Aで始まる街で、Aの頭文字で始まる人物が殺害される。それがABCの順で繰り返されていく。犯人は何故、どうして、ABCに拘るのか。

安定感抜群の面白さで人を選ばず楽しめます。あまりに有名な作品ですが期待を裏切りません。そしてやっぱり騙される。

例によって、登場人物それぞれが怪しさを匂わせながら進んでいく。そして悔しいことに、真相が明かされた時にはアッと言わされるのです。

犯人が分かっている状態で読んでも、所々に仕込まれた伏線やミスリードに気が付き、やはり面白いのが凄い。

緻密に練られたプロットと巧みな展開。文句のつけようがありません。

今でこそ、トリックやABCなどは使い古されたネタに感じますが、これが約100年前に書かれたと思うと、なんと素晴らしいことでしょう。

注意することだ―ポアロのもとに届けられた挑戦状。その予告通り、Aで始まる地名の町で、Aの頭文字の老婆が殺された。

23.『五匹の子豚』

有名な「名探偵ポアロ・シリーズ」でありながら、他の作品に比べて知名度はやや低め。

なのに面白さは一級品!隠れ傑作というやつでしょうか。

言わゆる「回想の殺人」と呼ばれるジャンルの作品で、過去に起こった事件を当時関係者のわずかな証言や回想から解決していく、というもの。

で、その「回想の殺人」モノのミステリの中でこの『五匹の子豚』がずば抜けて面白いんです。

その見事な構成と伏線にクリスティの凄さを改めて実感しました。

24.『火曜クラブ』

ポワロに次ぐ名探偵「ミス・マープル」をメインとした13編からなる短編集。ミス・マープルものを読む上で欠かせない作品です。

甥のレイモンドを中心に様々な職業の人々がミス・マープルの家に集まり、過去に起こった事件を語ってそれぞれ推理をしあう「火曜クラブ」をでの出来事を描きます。いわゆる「安楽椅子探偵」モノ。

ミス・マープル作品を読むなら、まずこの作品で彼女の魅力と素晴らしさを堪能してください。きっとファンになっていただけることでしょう。

そして「もっとマープルを読みたい!」と思っていただけた方も、「短編集はちょっと物足りないなあ」と思われた方も、続けて長編を読んでみてください。

ミス・マープルの長編でどれを読むか迷ったら、とりあえず『予告殺人』をオススメします。

25.『ジェゼベルの死』

定番の古典ミステリ。クリスチアナ・ブランドの最高傑作とも呼ばれています。

大勢の観客が見守る舞台上で、一人の悪女が殺される一種の密室殺人もの。

伏線の回収もそうなんですが、特にミスリードが旨すぎて脱帽。あっぱれです。

終盤の二転三転する展開も素晴らしく、推理合戦ならぬ自白合戦も見もの、と面白要素ありすぎの作品です。

ミステリ好きなら読まなきゃ損。

26.『黒後家蜘蛛の会1』

安楽椅子探偵の決定版とも呼ぶべき、SFの巨匠アシモフの短編集です。

「黒後家蜘蛛の会」の会員6人が、毎月1回開いている晩餐会に持ち込まれる不思議な出来事の話題について議論し、謎を解いていく、というもの。

要は、みんな集まって謎解きゲームをするわけですね。

おいおい、そんなのアリかよ!と叫んでしまうオチもいくつかありますが、とにかくミステリとして大変面白い12編が揃っています。中でも「会心の笑い」は特に傑作。

しかもミステリ要素だけでなく、会員たちのキャラクターが面白すぎる。

彼らの雑談を見ているだけでも楽しいので、ぜひ一度読んでみてほしいです。

27.『ザリガニの鳴くところ』

幼い頃家族に見捨てられ1人で生きてきた少女カイア。

村人たちに“湿地の少女”と蔑まれながらも懸命に生きてきた彼女だったが、そこに降りかかったのは沼地で死んでいた青年テイトの殺害容疑だった―。

こちらの作品は不幸な生い立ちの少女を巡るヒューマンミステリーです。

昔恋い焦がれた少年と別れ、新たに近づいてきた裕福な青年。

彼らと少女との関係、想いはとても魅力的ですから、ぜひとも注目してもらいたい部分の1つですね。

ロマンスとも言える部分が、読者を物語の世界観へと連れて行ってくれるでしょう。

本作は物語としての内容が深いため、その人間模様にグッと惹きつけられる部分があります。

ミステリ要素のみならず、湿地での暮らしなども臨場感があり情景が目に浮かぶようで読み応えは抜群でしょう。

感動と衝撃を与えてくれる超大作となっていますし、胸が締め付けられるようなラストシーンは必見です。

28.『あの本は読まれているか』

冷戦下、CIAの女性たちはとある小説を武器にソ連と戦うことを画策する。

それはソ連での出版が許されなかった禁書『ドクトル・ジバゴ』であった―。

言論統制や思想弾圧の過酷さの中、繰り広げられる愛の物語です。

こちらは史実ベースに描かれている作品だけあって非常にリアリティがあります。

どの部分がフィクションなのか、物語にのめり込んでいくと分からなくなってしまうほどの凄まじい描写力は圧巻。

CIAと聞くとスパイものを連想する方も少なくないと思いますが、こちらはとあるカップルの切ない恋愛模様も描かれており、臨場感のある作品に仕上がっています。

異なる人物の視点で語られていくストーリーは、読み進めるごとに全貌が見えてくるためワクワクが止まりません。

当時の社会情勢なども垣間見える圧巻のミステリ作品です。

29.『指差す標識の事例』

17世紀後半、王政復古によりチャールズ2世が統べるイングランド。

オックスフォードの大学教師が毒殺される事件が発生する。

単純な動機に思われた事件の真相は意外なもので―?

本作は4つの視点で物語が綴られていきます。

しかしそれらには矛盾を感じる部分があるため、読み手としては真実がどこにあるのか非常に興味深く読むことができるでしょう。

第1の手記を読んで驚き、さらにそこから第2の手記を読んだときの異なる様相。

それぞれの手記の違いが面白いポイントの1つになっています。

4人4通りの物の見方にぜひ注目してみて下さい。

内容としては歴史ミステリとなっていますので、当時の情勢に詳しければより楽しめる部分も存在するでしょう。

英国の文化が好きな方には特におすすめです。

全編を通してシリアスな重厚感が魅力的な1冊となっていますので、その衝撃的な結末をぜひとも目撃してみて下さい。

30.『念入りに殺された男』

小説家の夢破れ、ペンションを営む女性アレックスは、滞在客の大物作家・ベリエに乱暴されそうになり抵抗するうちに殺してしまう。

家族の平穏を守るため、彼女は作家に“正しく死んでもらう方法”を画策する―。

意図せず殺人鬼となってしまった女性をメインに展開されていく本作品。

主人公が小説家を目指していたという設定が非常に活かされています。

彼女のその普通ではないとも思える発想は物語を面白くさせており、読者としても楽しめる部分の1つとなっているでしょう。

そして何よりこちらの作品は一気読みしたくなるようなストーリーの流れが魅力的。

作者の手腕のおかげかとても読みやすく、テンポの良い仕上がりとなっています。

ミステリとしてのアイデアも非常に奇抜で惹かれるものがあり、ぜひ注目してほしいポイントですね。

ひと味違うミステリ作品をお求めの方にはぜひとも手に取ってほしい1冊です。

31.『死んだレモン』

酒におぼれた末に車いす生活になってしまったフィン。

彼は自分の引っ越してきたコテージに昔住んでいた少女の失踪事件を調べており、隣のゾイル兄弟を疑っていた。

しかしそんな彼は、崖に逆さ吊りという絶体絶命のピンチを迎えていたのである―。

主人公が命の危機にさらされている場面から物語は始まります。

この絶体絶命の現在と過去が平行して描かれていくため、物語から目が離せません。

序盤から開示されている情報も多い中、ミステリとしての謎も多く残されているため非常に惹きつけられる作品となっています。

ただ本作はミステリ以外の部分も魅力的。

著者が心理学者ということもあって、人の描き方はまさに一級品でしょう。

町の人との交流や、とある女性との恋模様などはとても楽しく読むことができます。

主人公フィンの再生の物語とも言える部分がありますので、ぜひそちらにも注目してみて下さい。

ミステリの要素と人としての在り方が丁度良い塩梅で描かれた傑作です。

32.『ミスターメルセデス』

スティーヴンキングの初のミステリとして有名なこの作品。

車を暴走させ8人の命を奪った殺人犯「ミスター・メルセデス」。

未解決であったその事件の犯人からある日ホッジスの元に1通の手紙が届く。

すでに警官を退職した彼であったが、事件を解決するため奮闘することに―。

エドガー賞に輝いたこともある本作は、グイグイと読者を惹きつけるストーリー展開が魅力的。

導入部分から話に惹きつけられ一気に読了してしまうこと間違いなしです。

最後までドキドキしてしまう展開が続くため、飽きが来ず読み進められる作品となっています。

ミステリとしての完成度も高く、伏線の張り方が巧みなのでぜひそのあたりは注目して下さい。

解決シーンではスカッとするような爽快感も味わえます。

退職警官ホッジスのキャラクター性はもちろん、犯人のキャラ設定についても高く評価できる作品です。

予想を裏切ってくれるような部分もあり、読者として最後まで楽しめる作品となっています。

33.『笑う死体』

休業中の深夜のホテル、そこでとある死体が発見された。

指紋は切除、顔は満面の笑み、なんとも不可解な死体の謎に刑事エイダンが立ち向かう。

立ちはだかる狂気の罠に彼は打ち勝つことができるのか―?

堕落刑事エイダン・ウェイツシリーズの第2弾となる本作。

狂気的なミステリが題材となっており、全編通してとてもダークな雰囲気が楽しめます。

いわゆる怪事件などが好きな方には非常に楽しく読める作品となっています。

物語はスピーディーに展開するため、テンポ良く読んでいくことが可能です。

狂気的な犯人やトリックにはもちろん注目ですが、主人公エイダンの過去なども読み応え抜群。

壮絶な内容のため、このあたりも本作の雰囲気を盛り上げてくれている1つの要因となっているでしょう。

シリーズを全て読破したいという気持ちも高ぶるのではないでしょうか。

登場人物、街の雰囲気、全てにおいて作者の手腕が感じられる逸品ですので、ぜひその目で確かめてみてください。

34.『殺人七不思議』

警察に世界七不思議に見立てた犯行予告を送りつける謎の殺人鬼。

成し遂げられるそれらの事件の捜査に探偵オーウェン・バーンズが乗り出す。

そんな彼の元に届いたのは「犯人を知っている」という報せだった―。

本作は次々と殺人事件が発生するミステリもの。

著者であるポール・アルテはひたすら不可能犯罪物を書いていることで有名なのですが、本作も例に漏れず不可能犯罪のオンパレードです。

いっそ感心してしまうような数々の不可能犯罪の怒濤の謎解きシーンは必見でしょう。

終盤まで謎を上手に引っ張っているのもこの作品の面白さの1つですね。

ミステリの醍醐味を最後まで味わうことができます。

代わる代わる訪れる展開から目が離せず、退屈さを感じさせない作品となっていますので、不可能犯罪ものがお好きな方はぜひその手に取ってみてください。

35.『あやかしの裏通り』

霧の中から忽然と現れ消えてしまう「あやかしの裏通り」があるらしい―。

夜霧のロンドンで逃走犯に間違われた男は逃げ込んだ裏通りで殺人現場を目撃してしまう。

恐怖からその場を立ち去るものの、落としたライターに気付き男は元の場所に戻ったが、そこには裏通りの姿がなくなっていた―。

怪奇色の強い「あやかしの裏通り」の設定が非常に面白い本作品。

舞台である夜霧に煙るロンドンというのも雰囲気があり、引き込まれるものがあるでしょう。

オカルト好きにはたまらない雰囲気を序盤から前面に押し出してくるような作品です。

謎の提示で読者を惹きつける手腕もさすがですが、やはりミステリの展開としても一級品ですね。

伏線も巧みに張り巡らされており、本格ミステリとして申し分ない仕上がりとなっています。

本格ものでありながら非常に読みやすく読者の興味を駆り立てる逸品ですので、ぜひともその目で堪能してみてください。

36.『名探偵の密室』

テレビで活躍する名探偵モーガン・シェパード。

ある日彼が目覚めるとホテルのベッドに手錠でつながれていた。

周囲には見知らぬ男女5人、バスルームから発見される謎の死体、さらには3時間以内に犯人を見つけないとホテルを爆破すると脅迫されてしまい―?

本作は新本格ミステリ好きにおすすめできる脱出ゲームのような作品。

集められた人間の共通点やそれぞれの過去など興味深く読むことのできる1冊です。

主人公が“テレビで活躍する名探偵である”という部分にも注目です。

このモーガンというキャラクターから感じられる闇も必見でしょう。

全体を通して読みやすい雰囲気の作品となっていますが、どうにも読み手の疑心を生むような空気感などは作者の凄さを感じられます。

何が本当でどんな結末があるのか―。

ミステリを読み慣れた人でも驚きがあり楽しめる作品となっていますので、新本格に興味のある方はぜひ1度読んでみてください。

37.『時計仕掛けの歪んだ罠』

1年7ヶ月の間に15歳の少女3人が失踪した。

犯罪捜査課のベリエルは連続殺人だと主張するが、事を荒立てたくない上司はそれを否定する。

ベリエルには彼だけが知っている根拠があったが、待ち構えていたのは驚愕の真実であった―。

スウェーデンを舞台にした傑作犯罪サスペンス。

本作はスピード感のある展開で読者を虜にします。

現在の捜査場面とベリエルの過去が交互に描かれていますので、そこで徐々に明かされていく真相は必見です。

サスペンスものとしてはやはりその推理に注目ですが、こちらの作品は必ずと言っていいほど読者の予想を裏切ってくれるでしょう。

意表を突かれるような部分が多いため、最後までドキドキハラハラしながら読み進めたい人にはとてもおすすめです。

練り上げられたストーリー構成はまさに素晴らしいの一言。

かなり型破りな警察小説といった印象ですので、なんだか最近無難な推理小説に飽きてきたなという人は、ぜひその手に取ってみてください。

38.『イヴリン嬢は七回殺される』

仮面舞踏会の夜、令嬢イヴリンは殺される。

しかしそれはたった1度きりのことではない、事件を解決できないかぎり彼女は何度でも殺されてしまうのだ。

果たして真相に辿り着きタイムループから逃れることはできるのか―?

本作は正統派ミステリにタイムループや人格転移、記憶喪失に呪いの館など数々の要素が組み込まれた超絶技巧のSFミステリです。

主人公は記憶喪失、しかし何度も行われる令嬢イヴリンの殺人事件を解かなくてはならない。

とにもかくにもミステリ好きであればグッときてしまうようなこの設定がまず魅力的です。

詰め込みすぎなのでは?と思われるほどの設定もしっかりと意味をなし、徐々に伏線が回収されていく様子には気持ちよさすら覚える仕上がりでしょう。

予想を覆すような展開もあるため、ミステリとしての面白さも抜群です。

まさに他作品とは一線を画す作品となっていますので、未読の方はぜひ1度読んでみて下さい。

39.『償いの雪が降る』

苦学生のジョーは大学の課題で誰かの伝記を書くことになる。

取材を申し込み訪れた介護施設で紹介されたのは30年前に少女暴行殺人で捕まった男カールであった。

しかし話を聞く内に、ジョーはその事件について疑念を抱き始める―。

本作はミステリものでありながらジョーの成長物語のようでもあり、ヒューマンドラマのような一面すら兼ね備えています。

単純なミステリ要素だけではないそのような部分が、多くの人に衝撃と感動を与えてくれるでしょう。

ベトナム戦争の悲惨さなども描かれており、社会派ミステリのような印象も受けます。

登場人物のキャラクター性とその人物の人生の見せ方が深く心を掴んでくれる作品となっています。

全体を通して重厚感溢れるストーリーとなっており、ときにはジョーに魔の手が迫ることも。

非常に引き込まれる展開が続くため、その世界観に夢中になれること間違いなしでしょう。

ストンと胸に落ちるようなラストも必見です。

40.『悪女は自殺しない』

警察署に復帰した刑事のピア。

彼女を待ち構えていたのは飛び降り自殺に偽装された女性の死体であった…。

刑事オリヴァーとともに“悪女”の死の真相を探る―。

本作は嫌われ者の被害者が殺されるところから事件が始まります。

“嫌われ者”ゆえに容疑者も多く、一体誰が殺したのか予想するのも難しいですから、読み手としては最後まで推理を楽しむことができるでしょう。

次々と明らかになっていく事実から目が離せません。

そんなミステリ部分もさることながら、本作は容疑者達の人間性が生々しく描かれているのも魅力の1つ。

ある意味とても人間らしさに溢れており、それが結果としてヒューマンドラマのような部分も引き立ててくれている作品です。

設定そのものは王道のためミステリ初心者の方でも読みやすく、その面白さを堪能しやすくなっており、人間心理を掘り下げたようなサスペンスが好きな方に特におすすめです。

41.『数字を一つ思い浮かべろ』

数字を一つ思い浮かべろ、奇妙な封書にはそう記されていた。

658を思い浮かべ同封された封筒を開けると、そこに記されていたのはまさに思い浮かべたその数字だった―。

恐怖に駆られた男は退職刑事ガーニーに相談するが、やがて男は殺されてしまい連続殺人が発生する―。

手品めいた怪奇な事件が特徴の本作。

シリアルキラーとユニークなトリックには注目です。

一歩ずつ殺人犯へと近づいていく展開は面白く、まさに本格推理もののそれという感じでしょう。

トリッキーな印象ですが破綻がないため大変面白く読むことができます。

奇妙な封書から始まる物語は読者の心を掴んでくれますし、そこから連続殺人へ発展していく流れはお見事です。

キャラクターの良さも相まってストーリーには重厚感がありますから、読み応えのある1冊となっています。

ぜひともその目で奇術趣味溢れる圧巻のミステリを味わってみて下さい。

42.『妖魔の森の家』

20年前に妖魔の森と呼ばれる別荘で起きたヴィッキー・アダムス失踪事件。

そして今また同じ家でヴィッキーが忽然と姿を消してしまう。

H.M卿の目の前で起こった奇怪な事件の真相はいかに―?(表題作「妖魔の森の家」)

こちらの作品は5つの作品が収録された中短編集です。

カー作品の魅力の1つでもある怪奇趣味を存分に味わえる作品でしょう。

5つの作品それぞれに違った良さがありますが、なんといっても表題作である「妖魔の森の家」には注目です。

ゾッとするようなお話が好きな方にはとてもおすすめできるミステリに仕上がっています。

種明かしというのはどのようなミステリでも少なからず注目するポイントですが、その完成度の高さと読者に衝撃を与える結末はまさに傑作の一言。

そこに至るまで伏線の張り方もお見事です。

本格ミステリではありますが、短編と中編作品なので読みやすくなっており、ミステリ初心者の方にもおすすめです。

43.『火刑法廷』

海外ミステリを代表する作家ジョン・ディクスン・カーの代表作にして傑作。これもまた必読の作品なのです。

急死したデスパード家の当主、壁を通り抜ける婦人、消える遺体……。と、なんとも不気味な雰囲気漂うミステリー。

ストーリー、トリックもさることながら、ラストの衝撃は!!!∑(゚Д゚)

初めて読んだときの「そう来るか!」という驚きと喜びは忘れられません。

オチを知ったうえで読むと、伏線の張り方にまたうならされます。

広大な敷地を所有するデスパード家の当主が急死。その夜、当主の寝室で目撃されたのは古風な衣装をまとった婦人の姿だった。

44.『三つの棺』

同じくカー。「密室」ミステリーの最高傑作とも言われる作品。

雪の夜、グリモー教授を殺害したと思われる謎の男は密室から一体どうやって消え失せたのか?というシンプルな謎。

そんな事件をガバッと伏線を回収しながら密室の謎を解明していく様は本当に素晴らしいです。

また、作中で述べられる「密室講義」だけでも読む価値ありです。

密室講義のみを切り出しても読み応えがありますが、もちろん全体もとても面白い。

緻密な謎と推理で構成され、これだけ読ませる手腕に脱帽です。

ロンドンの町に静かに雪が降り積もる夜、グリモー教授のもとを、コートと帽子で身を包み、仮面をつけた長身の謎の男が訪れる。

45.『皇帝のかぎ煙草入れ』

またもやカー。クリスティが脱帽したトリック、なんて聞けば読みたくもなるでしょう。

婚約者の父を殺害した容疑をかけられたイヴ。とある理由でアリバイを主張できないイヴは大ピンチ!

序盤から物語に惹き込まれ、中弛みも無く最後までちゃんと面白い。心理的トリックといい、豊かなストーリー性といい、カー作品の中でもトップクラスの傑作です。

クリスティが褒めたくらいですから普通は騙されます。気持ちよくいきましょう。

とはいえ、トリックだけではなくストーリー構成や伏線、細かな描写まで素晴らしい。

翻訳本だから読みづらいだろうなぁ、と思われるかもしれませんが、実際はすごく読みやすいです。ありがたや〜。

フランスの避暑地に暮らす若い女性イヴは、婚約者トビイの父サー・モーリス殺害の容疑をかけられる。

46.『ユダの窓』

またまたカー。カー作品を読む上でやっぱりこの『ユダの窓』も外せません。

圧倒的不利な状況にある被告人を弁護するため、H・M卿が展開する弁論が本作の最大の見どころの「密室」&「法廷ミステリ」。

訴追対弁護の法廷内バトルにて明かされていく数々の謎にスリリングな展開は読んでいて飽きさせない魅力があります。

法廷でのシーンが続くばかりなのに、とてもドラマチックで面白いんです。

カーにしてはシンプルな筋書で、密室トリックもシンプルですが、法廷劇として構成した緻密な展開が非常に読ませる作品。

トリックこそ有名ですが、練られたストーリー構成と巧みな人物描写でグイグイ読まされてしまうでしょう。どうあがいても傑作。

被告人のアンズウェルを弁護するためヘンリ・メリヴェール卿は久方ぶりの法廷に立つ。

47.『曲がった蝶番』

25年ぶりに帰国し爵位を継いだジョン・ファーンリー卿。

しかしそこに彼は偽者で自分が本物だと主張する男が現れる。

タイタニック号沈没の夜の真実が明らかになろうとしたそのとき、新たな事件が巻き起こる―。

自動人形や悪魔信仰などオカルトな要素も満載となっている本作。

著者カーの怪奇趣味がこれでもかというほど発揮されている1冊となっています。

怪奇的な要素は物語の雰囲気を彩るうえで非常に良い役割を果たしていますので、ぜひその世界観を自らの目で確かめてみてください。

もちろんミステリとしての完成度も高く、不可能犯罪の謎は読者の興味をそそります。

ストーリーも次々と展開されていくため、飽きることなく読み進めることができるでしょう。

二転三転する展開に驚かされること間違いなしですし、何より最後にはさらに衝撃の展開が待っています。

強烈なインパクトを残すラストは必見。怪奇色強めなミステリがお好きな方はぜひともその手に取ってみてください。

48.『誰の死体?』

「クリスティと並ぶミステリ女王」と呼ばれるドロシー・L・セイヤーズの《ピーター卿シリーズ》の一作目。クリスティとはまた違った良さがある名作です。

浴室に突然現れた「メガネだけをかけた裸の男の死体」の謎を巡っていきます。

なによりピーター郷のキャラクターがよく、読んでいて楽しいということがこのシリーズ最大の魅力でしょう。

事件についのめり込んでしまうピーター郷と、優秀すぎる従僕バンターの軽妙なやり取りが良いんですよねえ。

一度読んでしまうと「もっとピーター郷の活躍を見たい!」と思わされてしまう魅力があるのです。

事件のアイディアが好きだし、ピーター卿と一緒に推理していく感じがして面白い。

何か所かクスッと笑えるところもあったりして、明るい気分で読めるのもありがたいです。

ちなみに、シリーズ9作目の『ナイン・テイラーズ (創元推理文庫)』は《乱歩の10選》で選ばれたことでも有名。

実直な建築家が住むフラットの浴室に、ある朝見知らぬ男の死体が出現した。場所柄男は素っ裸で、身につけているものといえば、金縁の鼻眼鏡と金鎖のみ。

49.『ナイン・テイラーズ』

雪で車が往生していたところを助けられたビーター卿。

そのお礼に代理として教会の鐘を鳴らす行事に参加することに。

だが季節がめぐり春になった頃、その村の墓地から変死体が出てきたという便りが届いて―?

傑作と名高いミステリの本作。

意外性を感じさせる犯人やトリックという点では、非常に完成度の高い作品となっています。

次々と提示させる謎に興味を惹きつけられるので、真相が明らかになるその瞬間まで目が離せません。

また、物語の序盤から繰り広げられるその世界観の作り込みは作者の手腕を感じさせます。

“英国にある地方の教会”の空気は物語を彩る大きなポイントになっています。

ミステリとしての展開はもちろん、どことなく不気味さ漂うその空気感も必見ですので、雰囲気も重視しつつミステリを堪能したい人はぜひ読んでみてください。

50.『見えないグリーン』

ミステリ好きの男女が開いていた会合“素人探偵7人会”のメンバーが35年ぶりに再会することに。

しかしメンバーの1人が突然不審な死を遂げて―?

遂には第2、第3の殺人事件が発生してしまう…。

まさに正統派と言えるような本格ミステリの本作。

密室や消失といったミステリ要素から、そのアリバイトリックまで破綻なく楽しむことができます。

結末を知ればその巧みすぎる伏線の張り方にアッと言わざるを得ないでしょう。

ミステリを楽しむという意味では非常におすすめできる作品です。

1人の死から始まるこの事件は、その後の流れにおいてどんどん目が離せなくなります。

気になるストーリー展開に気付けば夢中になっていること間違いなし。

推理小説を読む楽しみというのを改めて思い出させてくれるような作品となっており、読んでおいて損はありません。

トリックにも一見の価値ありですので、ぜひともお手にとってみてください。

本格好き注目の1冊となっています。

51.『その女アレックス』

「おまえが死ぬのを見たい」、男はそう言って女のことを監禁した。

檻に幽閉された女性アレックスは衰弱してしまい死が目前にせまる。

決死の覚悟で脱出を図るが、実は彼女には壮絶な秘密があって―?

一見すると誘拐監禁事件のような本作。

しかし物語は読者に衝撃を与えるような展開が繰り広げられます。思わぬ真相にはきっと驚愕してしまうこと間違いなしでしょう。

残酷で救いのないような重さを感じさせるストーリーですが、どこにでもあるような安易なハッピーエンドではないことこそが本作の魅力とも言えます。

なんとも絶妙なラインで達成されていくだれかの思惑には一見の価値ありです。

監禁した男と監禁された女のキャラクターも素晴らしいですが、登場する刑事4人のキャラクターも面白く、丁度良いバランスで物語を読み進めることができます。

スリリングな展開と先の読めない物語の面白さをぜひ味わってみてください。

読み手に強烈な印象を残してくれる1冊となるでしょう。

52.『悲しみのイレーヌ』

その女アレックス (文春文庫)』で一気に日本で有名となったピエール・ルメートルのデビュー作。

『その女アレックス』を未読な方は、ぜひこちらの作品から読むことをおすすめします。

なぜならこの作品は『その女アレックス』にも登場する「ヴェルーヴェン警部」の初登場作品、つまりヴェルーヴェン警部シリーズの一作目であるのです。

その濃厚な読み応えとスリルは『その女アレックス』に負けず劣らず。トリックでやられた上にメンタルもやられます。

カミーユや個性的な部下達と一緒に事件を追ってたら、第二部で 「え?!そういうことだったのか!」と驚愕します。

連続殺人の捜査に駆り出されたヴェルーヴェン警部。事件は異様な見立て殺人だと判明する…

53.『クリムゾン・リバー』

山奥の大学町で起きた連続猟奇殺人事件。

そして同じころ別の町では不可解な墓荒らし事件が発生していた。

無関係に見える2つの事件はその色を変え始める―。

恐ろしい猟奇殺人事件と墓荒らしが題材となっているこの作品。

映画化もしている作品ですが、原作はさらに残酷で甘くないストーリーとなっています。この重厚感こそがこちらの物語の魅力の1つでしょう。

読み応えは抜群で、その悪夢とも思えるような残虐さは読者に余韻を残します。

明かされていくおぞましい秘密は読者を虜にして離しません。

恐怖や緊迫感といったものが強く感じられる作品ですが、作者の素晴らしさが感じられるのはそこだけではありません。

人物の心理描写や物語の背景の描き方はとても巧みで惹きつけられます。

だからこそこの物語の恐ろしさをひしひしと感じる部分があるのかもしれませんね。

恐ろしく感じつつもついつい読み進めてしまうミステリの傑作をその目で確かめてみてください。

54.『三人の名探偵のための事件』

本格黄金期を代表する傑作。

ある夜夫人メアリー・サーストンが喉を切られて死亡してしまう。

サーストン家で開催かれたウィークエンド・パーティーの夜に一体何があったのか。

3人名探偵と1人の警官がその真相に迫る―。

タイトルからも想像できるように、こちらの作品には3人の名探偵が登場します。いわゆる多重解決型のミステリですね。

こちらの探偵たちはピーター・ウィムジイ卿、ポアロ、ブラウン神父がモデルになっており、パロディとして楽しめる1冊でもあります。

3人のほかに、さえないながらも重要な謎解き役として登場する巡査部長のキャラクターにも注目です。

物語は全体を通して非常に落ち着いていて読みやすい印象で、殺人ものではありますが、おぞましい空気感というよりはユニークで楽しめる作品に仕上がっています。

テンポも良いのでさくさくと読み進められるのも魅力の一つ。

キャラクターが掴みやすく面白く読める1冊となっていますので、楽しいミステリ小説を読みたい方にとてもおすすめです。

55.『陸橋殺人事件』

古典的名作。

ゴルフを楽しんでいた4人組は推理談義に花を咲かせていた。

そんなときスライスした打球の先で男性の死体を発見してしまう。

鉄道の陸橋から落ちたと思われる顔のつぶれた死体の謎とは―?

こちらの作品は4人の素人探偵たちが活躍する少し珍しいタイプのミステリです。

多くの作品は有能な探偵や警官が登場しますから、素人ならではの展開に新鮮味を感じられます。

深読みのしすぎや空回りといった要素がここまで楽しめる作品というのもなかなかありませんね。

素人探偵たちの活躍はもちろんですが、本作は飽きがこない展開も魅力的です。

次々と提示される要素にいつの間にか惹きつけられること間違いなし。

全体的ににぎやかな雰囲気ですが、文章自体は落ち着いているため読みやすく仕上がっていると言えるでしょう。

普段ずっしりとしたミステリを読んでいる方にもぜひともお手にとってみてほしい1冊となっています。

56.『はなれわざ』

イタリア周遊ツアーに参加した名警部コックリル。

楽しい休暇のはずだったが地中海の孤島でとある事件に巻き込まれる。

なんと同じツアーに参加していた女性が刺殺された状態で見つかってしまったのだ―。

一癖ある人間が多く参加しているツアーで起きてしまった事件。

本作は容疑者全員に殺害動機はあるが殺害する機会はないという不可能犯罪ものになっています。

犯人はどうやって彼女を殺したのか?という謎を軸に展開される推理はまさに本格ミステリといった印象を受けますね。

謎解きという推理小説の醍醐味が存分に味わえる作品となっています。

そんな本作はストーリー展開も魅力的ですが、作者の手腕という点において思わず唸ってしまうような凄さがあります。

読者への真相の見せ方が抜群に上手く、そのトリックや技巧はまさに“はなれわざ”でしょう。

これほどまでに大胆なミステリを成立させた巧みな作品は一見の価値ありです。

57.『衣裳戸棚の女』

名探偵ヴェリティはホテル2階の窓から隣室の窓へと忍び込む男の姿を目撃した。

すると当の不審人物が降りてきて人が殺されていると訴えるではないか。

問題の部屋には射殺死体があったが、そこはドアも窓も施錠された密室であった―。

密室を題材にした傑作と呼ばれるミステリの本作。

多くの人から恨まれていた男が密室で殺されているところから事件は始まります。

序盤から興味を惹きつけられ、盲点を突いたようなそのトリックはきっと楽しめることでしょう。

驚きの真相はぜひともその目で確かめてみてください。

ミステリとしての内容はもちろんですが、本作はユーモアに溢れる雰囲気も魅力的。

登場人物も味があるため非常に読み心地が良いです。

全編を通して読んでいて楽しいと思えるミステリに仕上がっていますので、ミステリ好きならぜひ1度読んでみてください。

58.『二流小説家』

残忍な手口で女性4人を殺害したとして死刑判決を受けたダリアンから小説家ハリーの元へ1通の手紙が届く。

そこには事件の全貌を語る本を執筆してほしいという旨が記されていた。

刑務所へ面会に行ったハリーだが、そこで突きつけられたのは思わぬ条件だった―。

さえない二流小説家が事件の真相へと迫っていく本作。

序盤はコミカルな印象さえ受け、軽妙なタッチで物語が始まります。

しかしそこから急展開。

想像できないような展開にどんどん惹きつけられていきます。

本作は犯罪シーンとそれ以外の描写においてはギャップがあり、二流小説家のくだりにおいてはなんとも人間味の溢れる仕上がりに。

途中に繰り広げられる小説家の作品もなかなか良い味をだしており、犯罪シーンの凄まじさとの対比も楽しめることでしょう。

凄惨ですがユーモアもありとても面白く読める1冊ですので、少しでも興味を持たれた方はぜひとも読むことをおすすめします。

59.『ボーン・コレクター』

リンカーン・ライムシリーズの1作目。

四肢が不自由ながら、犯罪学に天才的な才能をもつリンカーン・ライムが、新人のアメリア・サックスとともに殺人鬼”ボーン・コレクター”を追い詰めていくジェットコースター・ストーリー。

ミステリーよりサスペンス色が強いけど、ミステリ好きはやはり読むべきでしょう。

最後まで手が止まらないとはこのこと。読者を引き込む読ませる技術が凄すぎるんですよね。

ボーン・コレクターとリンカーン・ライムの頭脳戦は、緊迫感あり躍動感あり、ラストの対決は驚愕必至です。

このシリーズは本当に面白い。しかも結構シリーズが出ているので長いこと楽しめる。まずは1作目『ボーン・コレクター』から、ぜひ(=゚ω゚)ノ

ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女が忽然と消えた。やがて生き埋めにされた男が発見されたが、地面に突き出た薬指の肉はすっかり削ぎ落とされ、女物の指輪が光っていた…

60.『ウォッチ・メイカー』

2件の残忍な殺人現場にはアンティークの時計が残されていた。

やがて “ウォッチメイカー”と名乗る犯人は同じ時計を10個購入していたことが判明する。

そのことから同様の事件があと8件続くことが予想され―?

殺害現場に時計を残す殺人鬼ウォッチメイカーに挑む本作。

登場人物のキャラクター性が優れているため、その世界観に非常に入り込みやすい作品となっています。

ストーリーとしてはシリアスな印象ですが、その流れが秀逸なためどんどん先に読み進めたくなるような仕上がりに。

二転三転していくような展開とそのスピード感に魅了されること間違いなしの作品でしょう。

複雑に絡み合うストーリーですが、最後にはきれいにまとまっており、気持ちの良い読後感を味わえます。

構成も巧みでワクワクしながら読み進められるようなお話になっていますので、スピード感溢れるミステリの結末をその目で見届けてみてください。

61.『四人の女』

ラリーは前妻と現夫人、そして婚約者と愛人といった4人を招待したディナー・パーティを開催する。

彼はそこである1人を殺す決意をしていた。

否、殺さねばならないほどの切実な理由がそこには存在したのであった―。

冒頭である女性がマンションから落下して死亡する本作。

しかしこの女性が誰なのかはその場で明かされません。

なぜならこちらの作品は、とても珍しいことに“被害者”は誰かを推理するミステリとなっています。

まずこの設定自体が興味深く楽しめる要素の1つですね。新鮮な気持ちで読んでいけること間違いなしです。

主人公のキャラクターもさることながら、登場する4人の女性たちもなかなかの曲者揃い。

1人1人のキャラクターが際立っているため飽きることなく読み進めることができます。

心理劇のように展開される各々の人生からはどことなく悲哀が感じられるでしょう。

異色の“被害者捜し”ものミステリですから、読んでおいて損はないです。

62.『ビッグ・ボウの殺人』

濃霧立ち込める冬のロンドン、下宿屋を営むドラブダンプ夫人はいつもより遅くに目が覚めた。

下宿人は出かけたようで、その友人を部屋へ起こしにいったが返事はない。

しかしその数時間後、博愛主義者の青年が喉を掻っ切られ死んでいるのが発見される―。

カギのかけられた密室で事件が起こってしまう本作。

元祖密室トリックとして有名で、1891年に世界で初めて描かれた密室トリックだと言われています。

そのため古典ではあるのですが、その時代にこのような密室トリックを考え、作品としてすでに発表していたというのは衝撃的な部分でもあります。

一見すると惨い事件ですが、物語はユーモアにも溢れており非常に読みやすくなっています。

皮肉も交えたような人物描写も本作の魅力でしょう。

解決編で騙られる犯人の自白はとても面白く興味深い内容となっています。

数々のミステリ小説が溢れている昨今ですが、せっかくですから元祖密室トリックの古典ミステリも嗜んでみてはいかがでしょうか。

63.『歯と爪』

ニューヨークの刑事裁判所で奇妙な裁判が進行していた。

お抱え運転手が殺されたというその事件は、若干の痕跡はあるものの肝心の死体は見つかっていない。

死体のない殺人事件の真実とはいかに―?

本作はある復讐劇を目論む奇術師の物語と、死体なき殺人事件を巡る法廷劇が交互に語られていくミステリとなっています。

一見無関係の2つの物語ですが、それらは徐々に重なりを見せ、交錯していきます。

その繋がりが分かったとき、なんとも言えないスッキリとした気分を味わえるでしょう。

また、読者に対するミスリードも巧みなため、最後までドキドキしながら読み進めることができます。

結末には衝撃のどんでん返しが待ち受けているので覚悟してください。

十分に名作に値する、愛と復讐の少し悲しい物語の真相をぜひともその目で見届けていただきたいです。

64.『赤い館の秘密』

もてなし好きな地元の金持ち、マーク・アブレットが住む「赤い館」。

暑い夏の昼下がり、そこにはいつものように客人が招かれていた。

ならず者の兄は15年ぶりにその館を訪れるものの、帰宅後数分で殺されてしまい―?

本作はあの「くまのプーさん」の作者が書いた唯一の推理小説です。

童話のようなイメージが強いですが、本作は鮮やかなトリックで読者を楽しませてくれる1冊となっています。

動機などもよくできており、真相に辿り着くプロセスも非常に面白いです。

読み手としては最後まで一緒に物語を堪能できるような作品となっています。

序盤から殺人事件は起こるものの、物語の雰囲気は重さを感じさせず軽快にページをめくらせてくれます。

作者特有のユーモアと登場人物のキャラクターの良さもこちらの作品の大きな魅力となっていますね。

全体を通して読みやすく、ミステリ要素以外の部分にも魅力を感じられる良作ですので、ぜひ1度その手に取ってみてくださいな。

65.『シャーロックホームズの冒険』

定番ですね。永遠の名作。シャーロック・ホームズという名前こそ超有名ですが、意外と読んだことがない方もいるのでは?

『緋色の研究』『四つの署名』に続く、ホームズの活躍を描いた短編集。

「ボヘミアの醜聞」、「赤毛組合」、「まだらの紐」などの名作短編が収録されています。

残虐な事件とかではなく不思議な面白みのある事件ばかりで、ホームズの明快な推理とワトスンのツッコミなどユーモアに溢れています。

あまりに素晴らしいホームズの推理に置いてかれてしまうこともあるけど、それをホームズというキャラで引っ張ってくれるからさすが。

ホームズシリーズは何作も出ていますが、この『シャーロック・ホームズの冒険』はまだホームズシリーズを読んだことがない方の最初の一冊目としてもオススメできます。

まさにシャーロック・ホームズの入門書にふさわしい傑作短編集(*´∀`)b

ミステリ史上最大にして最高の名探偵シャーロック・ホームズの推理と活躍を、ワトスンが綴るシリーズ第1短編集。

66.『湿地』

アーナルデュル・インドリダソンによる「エーレンデュル警部シリーズ」の一つ。

湿地に佇むアパートで発見された老人の死体。よくある突発的な殺人かと思いきや、事件は思いもよらぬ方向へと動きだす。

まさにタイトルの『湿地』のような、ジメジメした陰鬱な雰囲気漂う北欧ミステリの名作です。

キャラ設定や警察の捜査手法、事件の真相はオーソドックスですが、バランスの取れた語り口は安定感があり、そのあたり世界中の多くの読者を魅了した要因でしょう。

あっと驚くような仕掛けやトリックがあるわけではないのですが、徐々に真相に迫っていくスリリングさと、暗い陰鬱な雰囲気で緊張感を持ちながら読むことができます。

文章も読みやすく、エーレンデュルの捜査過程が手に取るように分かりやすいのも魅力の一つ。

レイキャヴィクの湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。侵入の形跡はなし。

67.『緑衣の女』

同じく「エーレンデュル警部シリーズ」。住宅建設現場で発見された人間の骨に秘められた真相とは。

突然に発見された謎の白骨から、過去にその場所で何があったか、悲劇的な過去の物語と現代を交差しながら、謎が明かされていく。

関係者の殆どが死んでいるという極端に手がかりが少ない状況で、細い糸をたどって少しずつ真相に近づいていくのが面白いポイントです。

ミステリーとしては、割と序盤から人骨の正体を推測しやすく、どんでん返し的な謎解きでなく人間ドラマが暴かれていく構成。

ミステリーというより社会派小説や家族の物語に近いかもしれません。が、北欧ミステリとして面白いことには変わりありません。

重いテーマと雰囲気ですが読みやすく、ストーリー構成も面白くてさくさく読めちゃうのも良いです(o´∀`o)

住宅建設地で発見された、人間の肋骨の一部。事件にしろ、事故にしろ、どう見ても最近埋められたものではない。

68.『死の接吻』

言わずと知れたサスペンスミステリの傑作。

とある大富豪の娘に財産目当て近づく青年の物語。妊娠させてしまった娘を自殺に見せかけて殺害するが……。

ミステリーというよりサスペンスの要素が強いですが、終盤の息詰まる攻防戦からの見事なラストまでスピーディで無駄がありません。

気をてらったトリックとかアリバイとかではなく、なるほどこういう風にミステリを仕上げるのか、と感心してしまうほどの面白さです。

二転三転、ハラハラするストーリー展開もさることながら、見事な人間描写で物語へと引き込まれます。

第1部は犯人視点で描かれるため犯人の男にも感情移入してしまい、第三部で真相が明らかにされる時はなんだか複雑な気持ちになります。

犯人がじわりじわりと追いつめられていく様には、手に汗握るほどの緊迫感でまさに劇的な結末。

1953年に発表された作品ということで多少の古さが感じれられますが、それも味。というかそれでこの面白さってすごい。

二人は学生同士の恋人だった。女は妊娠しており、男は結婚を迫られていた。彼女をなんとかしなければならない。

69.『毒入りチョコレート事件』

一つの事件に対して複数の人物が推理を披露する「多重解決」モノの教科書。

新製品のチョコレートを試食した夫妻。

そのチョコには毒が仕込まれており、妻は死亡し夫は重体に。そんな事件に「犯罪研究会」のメンバーたちが挑む。

「犯罪研究会」の会合は不謹慎だけど楽しそうでなにより。性格も性別も職業も違うのに、みんなで集まって推理合戦できるっていいですねえ。

一見すぐに解決できそうなシンプルな事件な事件ですが、メンバー6人がそれぞれの解決方法を考案することによって、非常に複雑で面白い構成の作品となっております。

事件自体はシンプル、だからこそ奥深い。警察を含めて様々な推理が語られますが、どれも説得力があって唸らされる物ばかり。

そしてすべての推理や情報を得た上で導き出された最後の推理は圧巻の一言。

ミステリ界の歴史に名を残す、文句無しの傑作です。

ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面面は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、毒がしこまれた、新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。

70.『ジャンピング・ジェニイ』

バークリーといえば『毒入りチョコレート事件』ですがこちらもぜひ。シェリンガム・シリーズの最高傑作とも言われる作品。

悪趣味な仮装パーティーで絞首台に吊された人形が、いつの間にか本物の死体になっていた。どうみても状況は自殺を示していたが……。

本来ならここで犯人を暴くのが普通の推理小説ですが、本作は一筋縄ではいかない構成となっており、シェリンガムの奔走はミステリーとしては異質な部類に入ると言えるでしょう。

バークリーがどういう作家かよくわかる最初の一冊としてももちろん、他作品を読んで気に入った人なら間違いなく必読の一品。

推理小説全盛の時代によくもまあこれだけ捻くれたプロットを思いつくなと驚くばかり。

ドタバタしててユーモアもあって笑わせてくれるんだけど、しっかりミステリー小説としてビシッと決めてくれる。

最後のオチも含めて展開が予想しにくい傑作です。

屋上の絞首台に吊された藁製の縛り首の女―小説家ストラットン主催の“殺人者と犠牲者”パーティの悪趣味な余興だ。

71.『第二の銃声』

高名な探偵作家ヒルヤードの邸宅で、ゲストを招いて推理劇が行われた。

あくまでも推理劇だったはずのその催しは、突如として一変する。

被害者役の人物が、2発の銃声ののちに本物の死体となって発見されたのであった―。

序盤からいかにも何か起きそうな空気感を醸し出すミステリとなっている本作。

用意された舞台設定にグイグイと引き込まれます。

ほとんどの人物に犯行の動機や機会があることから、一体誰が犯人なのか最後まで分かりません。

ラストに至るまでの展開を非常に楽しめる作品となっています。

物語にはユーモラスな描写もあるため、重すぎず読みやすいのも魅力の一つ。

二転三転する展開やクセのある人物描写から目が離せません。

作中に張り巡らされている伏線についてもアッと驚かされるほどで、まさにお見事の一言でしょう。

序盤から提示される設定はもちろん、その物語の結末までもが巧いと思わざるを得ない作品ですので、ぜひ1度チェックしてみてください。

72.『幻の女』

ヘンダースンが街で「幻の女」と遊んで家に帰ってきたら妻が殺されていた。

しかも、唯一の証人である「幻の女」の行方が分からず、さらに街の人々は口を揃えて「女と一緒ではなかった。ヘンダースンは確かに一人だった。」と証言する。どういうことだ?

謎の掴みはバッチリ。この謎を作者はどうまとめるのか?ワクワクして読むことができます。

そしてまさかの犯人!凄い伏線の張り方です。さすが名作ミステリーと言われるのも納得。

スリル満点のストーリー展開からラストの驚きまでお見事。言うまでもなく、必読の古典ミステリの傑作です。

最初から最後まで飽きる所なく読めて、読み終わった後も「すごい作品を読んだなあ」と余韻に浸れる。

ありがたいことに2015年に読みやすくなった新訳版が登場しました。ぜひこの機会に。

夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった……ただ一人町をさまよっていた男は、奇妙な帽子をかぶった女に出会った。

73.『グリーン家殺人事件』

アメリカの推理作家ヴァン・ダインの傑作。

ニューヨークの名家グリーン家を舞台にした連続殺人。名探偵ファイロ・ヴァンスは姿なき犯人を突き止める事が出来るのか?

おどろおどろしい雰囲気はありますが、ストーリーもトリックも古き良きといった感じで安心して読めます。

なんとも不可思議で不気味な雰囲気の中で一人また一人と失われていく一家の命、そして独特な殺人手法が異様な世界観に読者を導いてくれる。

凶器の紛失や謎の足跡など、いかにも王道らしい謎が散りばめられ、随所にスリルを感じられグイグイ読まされます。

ミステリー小説を読み慣れている方なら新しさは感じないかもしれませんが、海外ミステリを読むにあたっては必ず読んでおくべき作品です。

ニューヨークのどまんなかにとり残された前世紀の古邸グリーン家で、二人の娘が射たれるという惨劇がもちあがった。この事件をかわきりに、一家のみな殺しを企てる姿なき殺人者が跳梁する。

74.『僧正殺人事件』

同じくヴァン・ダインの古典傑作。この作品がヴァン・ダインの最高傑作という人も多いです。

マザーグースになぞらえて起きる殺人を描いた、いわゆる「見立て殺人」の元祖となる作品。この作品がミステリ界に与えた影響は計り知れません。

ニューヨークの高級住宅街にて、最初の被害者は矢で心臓を射貫かれ、次は頭蓋を打ちぬかれ、さらに塀の上から転落と、マザーグースの歌にかけた殺人事件が続きます。

続々と登場人物が減っていくので最後の方は犯人が絞られますが、誰が犯人でもあり得る状況はハラハラするし、童謡と殺人という組み合わせはやっぱりワクワクしますね。

不気味な殺人事件への捜査から、終盤にかけてのめまぐるしいラストスパートで衝撃に次ぐ衝撃、そしてなんとも言えないラストで強烈な印象を残します。

終盤の二転三転する展開もお見事。最後の最後まで気が抜けません。

だあれが殺したコック・ロビン? 「それは私」とスズメが言った――。四月のニューヨーク、マザー・グースの有名な一節を模したかのごとき不気味な殺人事件が勃発した。

75.『薔薇の名前』

中世イタリアを舞台とし、僧院で起こった連続殺人事件を描く名作ミステリー。

暗号解読やら見立て殺人やら、本格を思わせる館の地図やら出てきて、存分にミステリー的楽しさを味わえます。

正直言うと海外小説に慣れていないと読みにくいかもしれませんね。しかもミステリー小説として難解な印象を受けます。

推理小説の形をしていますが、殺人事件よりも、宗派戦争の描写の方がメインなのです。

けれど、それでも一度は読んでおきたい超名作。面白すぎます。

迷宮構造をもつ文書館を備えた、中世北イタリアの僧院で「ヨハネの黙示録」に従った連続殺人事件が。

76.『モルグ街の殺人』

「史上初の推理小説」と言われりゃ読むしかないでしょう!しかも密室殺人です。たまりません。

舞台はパリ。「モルグ街」にあるアパートの4階の部屋で母娘が惨殺された事件に名探偵・オーギュスト・デュパンが挑みます。

とは言っても史上初の推理小説ってクオリティ的にどうなのよ……。なんて油断してるとまさかの真実に驚愕することでしょう。

良い意味でも悪い意味でも史上初とは思えません。

初めてのミステリのはずなのに、もう名探偵が名探偵らしい立振る舞いをしていること、意外な犯人に結び付く伏線の完成度がすごい。

この作品から現在の推理小説が始まったと考えると、感慨深いものがありますねえ。

パリで起きた残虐な母娘殺人事件を、人並みはずれた分析力で見事に解決したオーギュスト・デュパン。彼こそが後の数々の“名探偵”たちの祖である。

77.『黄色い部屋の謎』

ガストンルルーの傑作。

「密室」ミステリーを語る上でこの作品を読まずにはいられませんいわば「密室」ミステリの最高峰。

密室と化した黄色い部屋から犯人はいかにして姿を消したのか?

密室物の金字塔と言える作品であり、他にも後世のミステリ作家に多大な影響を与えたアイデアが満載されています。

黄色い部屋での密室殺人、煙のように消えた犯人、刺殺された第二の被害者など、提示される謎はどれも魅力的。

ヒントが所々に散りばめられているので、頭のいい人は正しい推理ができるのでしょう。私にはさっぱりでしたが。

最高の密室トリック、とも言われるそのトリックをぜひ目にしてみてください。

フランス有数の頭脳、スタンガースン博士の住まうグランディエ城の離れで、惨劇は起きた。

78.『わらの女』

カトリーヌ・アルレーの代表作にしてサスペンスミステリの古典的傑作。

新聞広告を見て大富豪の妻となるためにやってきた女。しかしそれは執事のある計画で……。

最後の方までどんでん返しがあるんじゃないか、と思いつつ読んでいると、そんな甘さを許さぬ容赦の無い結末になんとも言えぬ読後感が残ります。

賛否のあるであろうラストですが、私的には見事なまでに完成されたラストで、これ以上のラストはないと思ってます。

二転三転してとにかく引き込まれるストーリー展開はさすが、古典らしさが出ていてそれもまた良いのです。

翻訳の仕事をする知的で打算的なドイツ人女性ヒルデガルデ、34歳独身。彼女が見つけた新聞の求縁広告は“莫大ナ資産アリ。

79.『ブラウン神父の童心』

ザ・古き良きミステリ短編集。短編ミステリの教科書、とでも言いましょうか。

軽く読める短編ながら一つ一つのトリックは素晴らしく、中にはガツンと衝撃を受けるものも。

謎が散りばめられた魅力的な展開から驚異の解答までの鮮やかさ、繊細な心理描写、ゾッとする人間像、短編の一つ一つが深く心に残ります。

どの短編も面白いですが、中でも『青い十字架』『奇妙な足音』『秘密の庭』『折れた剣』『見えない男』が最高すぎますね。

でも、一話からちゃんと順番に読みましょう。きっとお気に入りが見つかるはず。

まんまるい顔、不格好で小柄なからだ、大きな黒い帽子とこうもり傘の神父探偵の推理は常に読者の意表をつく。

80.『時の娘』

入院中のグラント警部が、悪名高い「リチャード三世」の謎を解いていく歴史ミステリーの名作。

読みにくいかな?と思いきや、その魅力的な謎とストーリー展開にスルッと引き込まれてしまうことでしょう。

歴史の謎をミステリー小説として描くとこんなに面白いのかと思わされます。イギリスの歴史とかよくわかんないなあ、と思って読まないなんて損です。

事件現場を目の当たりにせず、情報のみで事件を解決していく「安楽椅子探偵」モノの名作でもあります。

著:ジョセフィン ・テイ, 著:小泉 喜美子, 翻訳:小泉 喜美子

英国史上最も悪名高い王、リチャード三世——彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか?

81.『推定無罪』

女性検事補殺害から始まる法廷ミステリ、いわゆる「リーガルサスペンス」の名作。再読してもやっぱり面白い。

主人公が被告人となって裁判が進んでいくのですが、法廷での展開がスリリングでリアリティもありとても面白いです。終盤まで誰が犯人か全く予想できず、わかった時は「お前か!」と叫んでしまうくらい。

ストーリー展開、人物描写、伏線、そして手に汗握る見事な法廷シーン。完全にミステリーの枠を超えた面白さです。

正直上巻はやや退屈なのですが、下巻に入ってからもの凄く面白くなるので、上巻で読むのをやめてはもったいないです。

どんでん返しはもちろん、緊張感と読み応えが半端ない。良い意味で疲れます(*´ω`)

地方検事選挙が白熱する街で、女性検事補が殺害された。検事として捜査を指揮することになったわたしには、ひとつ秘密があった。

82.『ミレニアム』

映画化もされて話題に。北欧ミステリーの名作。

最初はちょっと読みにくいかもしれないけれど、一度ノってしまうともう止まりません。

サスペンスありロマンスあり、スウェーデンの社会情勢、主に経済史についても触れていて、かなり情報量が多い。しかも登場人物も多い。でも面白い!

どの登場人物も怪しく見えるけれど、話が進むに従って犯人が絞り込まれていくのがすごいです。

冒頭から張り巡らされた伏線。一つ一つ回収されていくスリリングさと予想外な結末。どれをとっても素晴らしい。

「ミステリー」というよりエンターテインメント性抜群で、ただただ小説として超面白いんです。映画を見た方もぜひ原作を(*´ω`)っ

月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。

83.『シンデレラの罠』

サスペンスミステリーの傑作。火事で大火傷を負い、記憶を無くして生き残った「わたし」と焼死した娘。果たしてどちらが「ミ」で、どちらが「ド」なのか。

探偵であり、被害者であり、証人であり、犯人である。一人四役を演じるミステリです。

こんなことが可能な状況を思い付いたところに作者の才能を感じますね。

特定の人物が、探偵・被害者・加害者・証人を演じるというのはかなり思い切った設定のように思いますが、これが上手く作用しているんです。

火事による死、やけどを負った女性の入れ替わり,これに記憶喪失がプラスされる。誰が誰なのか?

「私は探偵で被害者で証人」がキャッチコピーですが、多重解決を一人の中でやっているような小説です。

はたして、私は一体誰なのか。

わたし、ミは、火事で大火傷を負い、顔を焼かれ皮膚移植をし一命をとりとめたが、一緒にいたドは焼死。

84.『五番目のコード』

D・M・ディヴァインの最高傑作とも呼ばれる作品。

スコットランドで女性教師が襲われたことを皮切りに、連続殺人が巻き起こります。しかも現場には「棺のカード」が残されていた。

クリスティの『ABC殺人事件』を彷彿とさせる、現場に不吉な棺のカードを残す犯人の思惑とは?

クリスティを意識しながらも、きちんと違う所も出せていて質のいいミステリー。

ミッシングリンクをテーマにした正統派本格で、犯人の独白を各章に挟む構成や細かい伏線など上手さが光ります。

巧みな人物描写、ストーリーの面白さはもちろんミステリとしてアッと言わせてくれる。面白すぎ注意。

スコットランドの地方都市で、帰宅途中の女性教師が何者かに襲われ、殺されかけた。この件を発端に、街では連続して殺人が起こる。

85.『悪魔はすぐそこに』

同じくディヴァイン。クリスティ的な王道、正統派ミステリー小説、といった感じで非常に読みやすく面白いです。

罷免されそうになっている大学講師が不審な死を遂げ、その後も殺人事件が発生。

古典の域に入る作品ですが、今読んでも取っ付きづらい部分もなく、文章自体も割とすらすら頭に入ってくる。

大袈裟なトリックなんかはないのですが、リアルな人物描写と巧みなプロットでグイグイ読ませてくれます。

伏線がガッツリ散りばめられているのに気がつかない、というか、うますぎて気がつかせてもらえない。しかもラストはサラッと軽〜く驚愕の謎解きをするから憎いです。

まさに最高のフーダニット。

ミスリードが上手すぎるんですよねえ。

再読すると「うわーそいうことかー!」っていろいろ納得できるところがあって余計に面白い。

ハードゲート大学の数学講師ピーターは、横領容疑で免職の危機にある亡父の友人ハクストンに助力を乞われた。

86.『九マイルは遠すぎる』

安楽椅子探偵ものとして有名な全8編からなる短編集。特に表題作『九マイルは遠すぎる』は傑作中の傑作。

「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、まして雨の中となるとなおさらだ」という言葉から考察し事件を見抜いていく。

ジャンルとしては安楽椅子探偵になるのでしょうが、最初に収録された表題作のユニークさが良い。

始まり方の斬新さ、散りばめられていた謎、言葉から様々な面を掘り下げていく推察など、思考の過程と会話によってグイグイ読ませる。

拭き忘れたかに思える指紋から思わぬ推論を展開させる「わらの男」や、湯沸かし器の音だけで盗みの真相を全て見抜く「おしゃべり湯沸かし」など粒揃いな短編が揃っています。

どの短編も面白いですが、表題作だけでもぜひ読んでね(´∀`*)

ニッキィ・ウェルト教授は『九マイルは遠すぎる、まして雨の中ともあれば』と言う言葉を耳にし、この言葉を頼りに前日起きた殺人事件の真相を暴き出す!!

87.『殺人交叉点』

何を語ってもネタバレになりそうな、騙されるためのミステリー小説。

ただ一言、「どんでん返しが好きな人はぜひ」。私は見事に「やられた!」と叫びました。しかしこの騙され方は、気持ちが良いのです。

分かっちゃいるけど面白い。ラストは「へぇー!」と唸りました。サスペンスの基本、お手本のような楽しさを味わえます。

細部を突っ込むと粗さは感じますが、一つの『騙し』に掛けた作者の意欲に敬意を表したいです。

予備知識ゼロ、いろんなレビューなどを見ないでお読みください。

十年前に起きた二重殺人事件は、きわめて単純な事件だったと誰もが信じていました。殺人犯となったボブをあれほど愛していたユール夫人でさえ疑うことがなかったのです。

88.『クロイドン発12時30分』

世界三大倒叙ミステリの一つ。

お金に困って叔父を殺した犯人チャールズの視点で物語は進みます。

完全犯罪を成し遂げようと計画する犯人の心理描写が細かく描かれていてリアリティ抜群。

前半は犯人がなぜ殺人を犯すにいたったかが描かれ、中盤から法廷ものと化すのですが、その法廷シーンがまた出来栄えがよく、検察側と弁護側の弁論の応酬が実に素晴らしいです。

まさしく倒叙ミステリの基礎というような丁寧かつ魅力的な作品。改めて倒叙ミステリの面白さに浸っていただけることでしょう。

トリックやアリバイを重視した本格ミステリのみならず、法廷ミステリとしても、犯人の苦悩を描くサスペンスとしても楽しめます。

完全犯罪を成功させろ!工場を経営するチャールズは窮地に陥っていた。資金繰りが苦しくなり、従業員たちの給料さえ払えなくなる日も近い。

89.『樽』

あらゆるミステリ作品に影響を与えたアリバイ崩しの古典的傑作。

鮎川哲也さんの名作『黒いトランク (創元推理文庫)』や、横溝正史さんの名作『蝶々殺人事件(角川文庫)』などもこの『樽』を意識して書かれています。

運搬していた樽の中から女性の死体が発見されたことで物語は大きく動きだす。

地道な聞き込み調査をして真犯人のアリバイを少しずつ崩していく探偵の姿は、ホームズやポアロのような天才的な個性豊かな探偵たちによる捜査とは正反対。

しかし、地道すぎて飽きるかと思いきや、これがまた面白いのですよ。

名作と言われるだけあり、冒頭からグッと引き込まれ次々に出てくる魅力的な謎、そして解明していく流れに大興奮!

パリ発ロンドン行き、彫像在中―荷揚げ中に破損した樽に疑惑を抱いた海運会社の社員がバーンリー警部を伴って船に戻ると、樽は忽然と消えていた。

90.『暗い鏡の中に』

ヘレン・マクロイの傑作。「ウィリング博士シリーズ」の一つ。

突然に解雇されてしまった女性教師のフォスティーナ。一体なぜ私が解雇されるの?!という謎から始まる大事件。

女子寄宿学校を舞台にした不可解な謎、そして殺人事件を精神科医ベイジル・ウィリングが追う。

ミステリーというより怪奇小説っぽくてグイッと引き込まれまれ、超常現象としか思えない事も、それをちゃんとミステリに落とし込むところが見事です。

ラストの余韻の残る終わり方も良く、幻想ミステリーの傑作と言われるのも納得。

怪奇と幻想とミステリという贅沢な三大要素が見事なまでに絡み合った逸品です。

ブレアトン女子学院に勤めて五週間の女性教師フォスティーナは、突然理由も告げられずに解雇される。

91.『幽霊の2/3』

続いてもヘレン・マクロイ。

とあるパーティで作家のエイモスが《幽霊の2/3》というゲーム中に毒殺されてしまう。はたしてその真相は。

古くから語り継がれてきた「幻の名作」が今読めるって素晴らしい。そして『幽霊の2/3』というタイトルがまた最高。

謎が解決したと思ったらまた新たな謎が出現し、ページをめくる手が止まらない。

事件が起こるまでが少し長く感じますが、それも出版業界や関係する人物たちを説明するのに必要な伏線。

真相がわかったあと、もう一度読み返すと伏線の巧みさに感心してしまうんだなあ。

出版社社長の邸宅で開かれたパーティーで、人気作家エイモス・コットルが、余興のゲーム“幽霊の2/3”の最中に毒物を飲んで絶命してしまう。

92.『逃げる幻』

何度も家出を繰り返す少年・ジョニーは何かに怯えているようだった。

ある日、彼は開けた荒野の真ん中から消えてしまい、その2日後には彼の家庭教師が殺されてしまう。

人間消失と密室殺人、2つの不可解な事件にウィリング博士が挑む。

ありえないような人間消失事件から始まる本作。

そのトリッキーなミステリはもちろんですが、この作品は時代背景の描かれ方も非常に秀逸なのでぜひ注目して下さい。

小説としての完成度も高くきっと楽しめることでしょう。

事件は犯人やトリックももちろん楽しみの1つなのですが、どうしてそのような行動に至ったのか、という部分が面白く興味を惹く内容となっています。

ストーリーは全体を通して重厚感溢れる仕上がりになっていますので、じっくりと物語を味わうことができるでしょう。

散りばめられた謎解きのヒントに気付けるかというのも楽しめるポイントだと思います。

衝撃の結末をぜひともその目で見届けてください。

93.『笑う警官』

マルティン・ベック・シリーズ。「本格古典警察小説」という愛称がぴったりな名作ですね。

ストックホルムで起きた大量殺人。その中には拳銃を握ったまま死んでいた部下が。一体彼部下は何をしようとしていたのか?そもそもなぜ殺人は起きたのか。

話の後半になってもなかなか捜査が進展せず、本当に犯人が明らかになるの?と思われるかもしれませんがご安心を。ラストは素晴らしいです。

広げた風呂敷をよくもこんなにうまくたためるなんて本当にすごい。

小さなピースをかき集め徐々に真相に近づいていく展開はやっぱり面白いですねえ( ´∀`)

反米デモの夜、ストックホルムの市バスで八人が銃殺された。大量殺人事件。

94.『まるで天使のような』

マーガレット・ミラー最高傑作。

山中を彷徨い、とある新興宗教施設に訪れた青年はそこで人探しを頼まれる。しかしその人物は5年前に死んでいた。どういうことだ?

ミステリとして、そして小説としての完成度も素晴らしい。

最後の一撃で有名なあのラストをぜひ目にしてみてください。

と言いつつも、現代ミステリをたくさん読んでいる人にとってはあまりラストの驚きはないかもしれないですが、それを抜きにしてもサスペンスの盛り上げ方が本当にお上手なので、読んで損はありません。

それに原文自体がいいのか翻訳がいいのか、主人公のユーモア溢れる会話が面白いのも良いですね。

山中で交通手段を無くした青年クインは、“塔”と呼ばれる新興宗教の施設に助けを求めた。そこで彼は一人の修道女に頼まれ、オゴーマンという人物を捜すことになる。

95.『ママは何でも知っている』

現場を見ずに話を聞いただけで事件を解決に導く「安楽椅子探偵」モノの最高峰。

刑事のデイビッドが食事中に事件の話をすると、ママが簡単な質問をするだけで謎を解明してしまうという8編からなる短編集です。

解説にもあるように、この質問が読者への挑戦状と事件解決のヒントになっていて、起承転結の「転」の部分を担っています。

また、話が進むにつれてママのキャラクターに深みが加わっていき、一冊の連作短編としてかなり質が高いものに仕上がっている印象。

ディナーの席での話なので、陰惨な感じはほぼないし、ママの料理上手は伝わるし、嫁姑のちょっとしたバトルもあり、語り口が楽しい。

短編というだけあって翻訳物の中でも群を抜いて読みやすいのも嬉しいポイント。しかも一つ一つがしっかり面白い。ママ、凄すぎやしませんか。

毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。ディナーの席でいつもママが聞きたがるのは捜査中の殺人事件の話。

96.『長いお別れ』

海外古典ミステリーの代表的傑作であり、ハードボイルドミステリーの金字塔。ミステリーどうこうより小説として面白すぎる!

ストーリー、登場人物、セリフなどいちいち良いしかっこよすぎる。つい何度も読み返してしまう。そして読むたびに痺れる。

チャンドラーの独特の言い回しが妙にかっこよく、ストーリーの素晴らしさも加わって作品世界に浸りながら楽しむことができます。

登場人物それぞれの思惑が錯綜し、最後には見事に収束する展開は本当にお見事。読んで良かった!って心から思える、そんな小説です。

私立探偵フィリップ・マーロウは、ふとした友情から見も知らぬ酔漢テリーを二度も救ってやった。

97.『クリスマスのフロスト』

大人気、「フロスト警部シリーズの一つ。

クリスマス直前、イギリスの田舎町の警察署の50がらみの冴えない、でも愛すべきフロスト警部を中心にした群像劇です。

次々に起こる事件をフロスト警部たちが解決していく、というシンプルなもの。

この小説が愛されているのは、やはりフロスト警部のキャラの良さでしょう。

だらしなくヘマばかりして、口を開けば下品な言葉ばかり。

それでいて圧倒的行動力で次々と事件を解決していくフロスト警部。

ユーモアたっぷりで見ていて全く飽きず、なんだか楽しくなってくる。

他の登場人物のキャラもよければストーリーも良い。ユーモアミステリーの名作。

ロンドンから70マイル。ここ田舎町のデントンでは、もうクリスマスだというのに大小様々な難問が持ちあがる。

98.『シャドー81』

言わずと知れた名作。

乗員乗客を乗せたジャンボ旅客機がハイジャックされた。

しかも犯人は機内ではなく、戦闘機に乗って外からいつでも打ち落とせる状態にいるのだ!

最初のページから盛り上がってグイグイ読めるし、これから一体何をやらかすのか!と気になってページをめくる手が止まらず。

そういうハイジャックの仕方があったのか!という点も革新的です。

もう設定だけで面白い。ストーリーもスリル満点ハラハラドキドキで手に汗握りまくり。寝不足決定(・∀・)

ずいぶん古い作品なのに、古臭さを感じさせないのは名作の証。

ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機が無線で驚くべき通告を受けた。たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。

99.『初秋』

私立探偵スペンサーシリーズの代表作。ザ・ハードボイルドミステリ!

離婚した夫から息子を取り戻して!という妻の依頼からまさかこんな物語になるとは。

ミステリというより、主人公と、ある少年との交流がテーマになっていて、それがまた見事なハードボイルドになっているんです。

良い小説は何度読んでも面白く、新しい発見もある、そういうことなんだね。

読んでいて気持ちが良いというか読後感がいい。読んでよかったなあ、と思える心に残る小説。

離婚した夫が連れ去った息子を取り戻してほしい。―スペンサーにとっては簡単な仕事だった。が、問題の少年、ポールは彼の心にわだかまりを残した。

100.『さむけ』

ロス・マクドナルドの代表作。

アーチャーは新婚の妻の捜索を依頼され見つけ出すが、その時知り合った女性が殺されてしまう。

過去にもその周りで事件が起きており、アーチャーはその謎を解いていく。そして衝撃的なラストが。

ハードボイルド作品の傑作といわれていますが、本格ミステリーとしても十分すぎるくらい面白い。改めて読んでもやっぱり名作。

見事な伏線、二転三転、まさかの犯人。読み終わった後は、本当に「さむけ」がした。

表題の「さむけ」を感じさせる演出はこれ以上ないほど洗練されていて、それだけで読む価値があります。

おわりに

というわけで、定番人気のおすすめ名作海外ミステリー小説をご紹介させていただきました。

どれも定番の名作ばかり。本当に面白いのでぜひ一度は読んでみていただきたいです。

どうぞ参考にしていただければ幸いです。

それでは、良い読書ライフを!(=゚ω゚)ノ

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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