読書日記– category –
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読書日記
『乙一デビュー30周年記念自選短編集1996-2026』- 乙一の30年を、暗闇の中でたどり直す【読書日記】
乙一という名前には、青春の記憶と、物語に足をすくわれる予感が一緒にまとわりついている。 怖い話を書く人。切ない話を書く人。ひねりの効いたミステリを書く人。 白乙一、黒乙一、中田永一、山白朝子。いろいろな呼び方や名義があり、そのたびに作風も... -
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真門浩平『ぼくらは回収しない』- 伏線回収という言葉の向こう側にある、回収されない感情【読書日記】
伏線回収という言葉は、いつの間にか物語を褒めるための便利な合言葉になった。 あれも回収された、これも意味があった、すべてが最後につながった。もちろん、それはミステリを読む大きな楽しみのひとつである。 だが『ぼくらは回収しない』は、その快感... -
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クリストフェル・カールソン『暗殺の冬』- 冷えた森の奥で、過去はまだ終わっていない【読書日記】
北欧ミステリという言葉を聞くと、私はどうしても寒そうな風景を思い浮かべてしまう。 雪、森、湖、薄い光、どこか遠くで鳴る電話。 まあ、実際にはそれだけで北欧ミステリを語るのは乱暴なのだが、それでも『暗殺の冬』を読んでいるあいだ、頭の中にはず... -
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芦沢央『あなたが正しくいられたとき』- いいことをしているつもりの怖さについて【読書日記】
芦沢央は、人が善意の顔をしたまま誰かを傷つけてしまう瞬間を、ミステリの仕掛けで鮮やかに見せてくる。 どこかで視界がひっくり返されるかもしれない。信じていた人物の印象が変わるかもしれない。何気なく読んでいた場面が、あとから別の意味を持って迫... -
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『ロングウォーク』- スティーヴン・キングが描いた勝者なきデスゲームの原点【読書日記】
ただ歩いているだけなのに、なぜこんなに怖いのか。 怪物が出るわけではない。幽霊が襲ってくるわけでもない。館の密室で名探偵が腕を組むわけでもない。 やっていることは、少年たちが道路を歩く。それだけである。にもかかわらず、この小説には、下手な... -
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米澤穂信『倫敦スコーンの謎』- 甘いお菓子の皿には、苦い論理がきれいに盛られている【読書日記】
日常の謎という言葉には、どこか軽やかな響きがある。 だが〈小市民〉シリーズに限って言えば、その日常は案外やわらかくない。 表面は甘く整えられていても、ひと口かじると、人間の見栄や憧れや意地が顔を出すからだ。 小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、小市民... -
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澤村伊智『ざんどぅまの影』- 比嘉姉妹シリーズの過去に沈む、海水と差別の記憶【読書日記】
澤村伊智の比嘉姉妹シリーズを追ってきた身として、『ざんどぅまの影』には妙な緊張感を覚えた。 なにしろ、比嘉琴子と真琴の物語でありながら、舞台は彼女たちが生まれる前の1981年。主役として前面に立つのは、姉妹の祖母である比嘉勝子だ。 つまりこれ... -
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加門七海『裂神』- 神とは救いか、それとも祓われた厄の成れの果てか【読書日記】
人というのは、都合の悪いものを外へ追いやるのがうまい生き物だ。 穢れ、厄、災い、祟り。 名前をつけ、祓い、流し、境界の外へ出す。そうすれば、こちら側は清められた気になれる。 めでたしめでたし。……で済めばいいのだが、加門七海のホラーは、そこで... -
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西式豊『処刑館殺人事件』- ミステリ作家たちが自分の書いた謎に処刑される館へ【読書日記】
ミステリ作家が山奥の館に集められる。 外界との連絡を絶たれる。 そこに処刑道具が並べられている。 そして、ひとりずつ殺されていく。 本格ミステリを愛する者にとって、この状況が好きではない人なんているだろうか。 危険だと分かっている。絶対にろく... -
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林譲治『ゲノム・トーカー』- 生命の設計図が宇宙へのメッセージになるとき【読書日記】
宇宙人が地球にやってくる、なんて話はSFの王道中の王道である。 巨大円盤が空を覆う。謎の信号が届く。人類代表が緊張しながら交信する。そこにはいつだって、「向こうは何者なのか」「こちらはどう見られているのか」というゾクゾクがある。 だが林譲治...
