読書日記– category –
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ローラン・ビネ『言語の七番目の機能』- 知の巨人たちが血を流す、史上最も不敬な思想ミステリ【読書日記】
思想家がたくさん出てくる小説と聞くと少し身構えてしまうし、正直あまり自分から進んで読むタイプの本ではない。 しかもロラン・バルトの死が発端で、記号論と大統領選と陰謀が全部つながるとなれば、なおさらである。 ところがローラン・ビネは、その厄... -
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ローラン・ビネ『HHhH: プラハ、1942年』- 感動することへの居心地の悪さを、そのまま最高のスリルに変えた一冊【読書日記】
私はふだん、歴史小説をそこまで熱心に読むほうではない。 嫌いというわけではないのだが、どうしても少し構えてしまうところがある。 題材が題材だけに、軽い気持ちでのめり込んでいいのか迷うことがあるし、史実の重みと小説としての気持ちよさがうまく... -
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『記銘師ディンの事件録 木に殺された男』- 死体から生える木、その異様を論理で解き明かす快感【読書日記】
奇妙な死体から始まる話には、どうしたって身を乗り出してしまう。 しかもそれが、ただの猟奇趣味ではなく、ちゃんと論理の入口として置かれているとなれば、なおさらである。 ロバート・ジャクソン・ベネット『記銘師ディンの事件録 木に殺された男』は、... -
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H・G・ウェルズ『タイム・マシン【新版】』- 未来へ行ったはずなのに、見えてくるのは人間の古さだった
未来へ行く話のはずなのに、この小説が本当に見せてくるのは、人類のいちばん古くて厄介な癖なのかもしれない。 H・G・ウェルズ『タイム・マシン』を【新版】で読み返して、あらためてそう思った。 タイムトラベルSFの元祖としてあまりにも有名なので... -
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小松立人『そして物語のおわりに』- 孤島、館、バラバラ死体。極上のフルコースに混じった整いすぎない本格【読書日記】
小松立人『そして物語のおわりに』は、とてもまっすぐに本格ミステリをやっている小説だ。 しかも、ただ古典の型を大事に並べました、というだけでは終わらない。孤島、館、外部と切り離された状況、奇妙な死体、限られた容疑者たち。 こうして並べると、... -
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春海水亭『入居者全滅事故物件』- 盛りすぎ設定が最後まで本気で走り切る、暴走したホラーの怪作【読書日記】
まずタイトルからしてずるい。 『入居者全滅事故物件』。 こんなの、気にならないわけがない! 事故物件だけでも目を引くのに、そこへさらに入居者全滅まで乗せてくる。いくらなんでも盛りすぎだろう、と半分あきれながら手に取ることになるのだが、読んで... -
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饗庭淵『対怪異アンドロイド開発研究室2.0』- アンドロイド・ジョークの隙間に潜む、救いのない現実のズレ【読書日記】
怪異とアンドロイドを一緒に出されたら、そりゃ気になる。 しかも舞台は開発研究室で、タイトルの最後には2.0までついている。盛り方がかなり景気いい。こういう小説は、題名の勢いだけで走ってもおかしくないのだが、このシリーズはそこが違う。 饗庭淵『... -
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山白朝子『スコッパーの女』- 創作という名の呪い、あるいは発掘という名の加害、あるいは小説家という名の怪異について【読書日記】
山白朝子の新作が読める。その事実だけでうれしいはずなのに、同時に少し怖くもなる。 しかも今回は『スコッパーの女』である。題名だけでもう、何か掘り返してはいけないものを掘り返しそうな気配が濃い。 そして実際そうだった。かなり怖い。だが、本作... -
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蒼井碧『永久凍土の密室 マンモス殺人事件』- マンモスという大ネタを、論理で最後まで貫くという贅沢【読書日記】
蒼井碧『永久凍土の密室 マンモス殺人事件』。 この題名はずるいと思った。 マンモス殺人事件、である。こんなもの素通りできるわけがない。 しかも舞台は永久凍土、そして密室。巨大な絶滅動物、閉ざされた空間、時をまたぐ物語。 字面の段階でもうかな... -
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『犯人はキミが好きなひと』- 好きになった相手が犯人かもしれない、という最悪で最高の設定【読書日記】
阿津川辰海の新作を読むたび、この人はほんとうに「本格ミステリの気持ちいいところ」と「本格ミステリの嫌なところ」を両方知っている作家さんだな、と思う。 論理がきれいに決まる快感も知っているし、真相にたどり着くことが誰かを傷つける残酷さもよく...
