読書日記– category –
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読書日記
『サプライズ・エンディングス 罠』- どんでん返しの魔術師、その短編の切れ味と騙される快感【読書日記】
ジェフリー・ディーヴァーを読むたびに思うのだが、この人はやはり、人を騙して驚かせることに異様な情熱を持った作家だ。 しかも、その騙し方が雑ではない。ただ派手に話をひっくり返すのではなく、きっちり論理を積み上げたうえで、こちらが当然だと思っ... -
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『封鎖館の魔』- 鬼才・飛鳥部勝則がガチ館ミステリを書くとこうなる【読書日記】
館ミステリというジャンルには、どうしたって抗いがたい魅力がある。 奇妙な建築、閉ざされた空間、そこで起きる不可能犯罪。 この三点がそろうと、それだけで機嫌がよくなってしまう。だが、ときどきその楽しさを飛び越えて、これはいったいどこまで行く... -
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『ハレー彗星の館の殺人』- 古典の形式を更新する、本格館ミステリの理想系【読書日記】
読む前から、これは設定の勝ちだと素直に認めたくなる瞬間がある。 トリックでもキャラクターでもなく、あるいは仕掛けのための舞台ではなく、舞台そのものが事件の論理になっている作品だ。 ロス・モンゴメリ『ハレー彗星の館の殺人』は、まさにそのタイ... -
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『飯沼一家に謝罪します』- 謝罪は終わらせるための行為ではなく、記録を永遠に呪うための儀式である【読書日記】
モキュメンタリーというジャンルは、今の時代とあまりにも相性がいい。 映像を見て終わるのではなく、SNSで断片が拡散され、考察が積み重なり、気づけば見ていた側まで作品の輪の中に引きずり込まれていく。 あの「どこまでが虚構で、どこからが現実なのか... -
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早坂吝『しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人』【読書日記】
ミステリ好きとして長く本を読んでいると、この作家はちょっと普通ではない(もちろん良い意味で)と感じる瞬間に何度か出会う。 早坂吝(はやさか やぶさか)という作家は、私にとってまさにそのタイプである。 デビュー作『○○○○○○○○殺人事件』を読んだと... -
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平山夢明『俺が公園でペリカンにした話』- 笑えるのに地獄、地獄なのに読める【読書日記】
平山夢明という人は、正直ホラーとかバイオレンスとか、そういう棚に雑に押し込むと怒られそうな作家だ。 というか、棚ごと蹴り倒してくる。社会の端っこ、倫理の縁、身体感覚のギリギリ。そこに転がっている見ないことにされがちなものを、真正面から掴ん... -
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角川ホラー文庫30周年の祝祭、あるいは惨劇 – 『潰える 最恐の書き下ろしアンソロジー』【読書日記】
ホラー小説を読んでいると、怖さにも時代があるということを実感する。 近年は超がつくほどのモキュメンタリーホラーブームだし、幽霊屋敷の怪談が流行る時代もあれば、都市伝説やネット怪談が主役になる時代もある。 そんな視点で見ると、角川ホラー文庫3... -
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麻耶雄嵩『木製の王子 新装版』- 奇怪な館とアリバイ地獄と理性の崩壊【読書日記】
麻耶雄嵩という作家は、どう考えても危ない。 本格ミステリを誰よりも愛しているのに、その核心を平気で壊しにくる。デビュー作『翼ある闇』の時点で探偵の存在そのものをぐらつかせた人だが、『木製の王子』はその延長線上にある、やりすぎの一本だと思っ... -
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本物の横溝正史を浴びる幸せ – 『死仮面』オリジナル版という名の劇薬【読書日記】
横溝正史の金田一耕助シリーズといえば、ミステリ界ではもはや語り尽くされた感があるけれど、この『死仮面』だけは、ファンにとって極めて特殊な、あるいはもどかしい存在であり続けてきた。 昭和24年の連載当時、雑誌の一部が行方不明になってしまったせ... -
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五条紀夫『流血マルチバース』- 孤島×マルチバース×本格推理!これが特殊設定ミステリの最前線【読書日記】
本格ミステリというジャンルは、長い時間をかけて「論理」という名の鋼鉄の骨格を鍛え上げてきた。 誰がやったのか、どうやったのか。整然と積み上げられた手がかりが、やがてひとつの真相へ収束する。 その美しさに魅せられてきたひとりの人間として、私...
