読書日記– category –
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読書日記
『ホロボの神 泡坂妻夫拾遺集』- デビュー50周年の祝祭。泡坂妻夫のからくりは、いまも回り続けている【読書日記】
泡坂妻夫氏デビュー50周年記念刊行として、『ホロボの神 泡坂妻夫拾遺集』が出た。これはもう嬉しいとしか言いようがない! しかもただの記念本ではない。単行本には入っていても文庫化の機会を逃していた作品や、いわば幻に近いバージョンまで拾い上げた... -
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島田荘司『改訂完全版 奇想、天を動かす』- 傑作再び。十二円の怒りが、やがて天を動かすまで【読書日記】
島田荘司『改訂完全版 奇想、天を動かす』が3月に出たので、これは改めて読まねばと思って手に取った。 もともと強く印象に残っていた作品ではあったのだが、読み返してみると、やはりかなり変わった小説である。 何が変わっているのかといえば、使ってい... -
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南海遊『檻神館双極子殺人事件』- 館も暗号も双子も密室も盛りだくさんなのに崩れない、最も過激な館ミステリ【読書日記】
本格ミステリを読んでいていちばん楽しい瞬間のひとつは、「そんな無茶な設定を本当に論理で着地できるのか」と半信半疑で見ていたものが、最後には妙にきれいな形で収まってしまうときである。 奇抜なのに筋が通っている。過剰なのに崩れない。私はあの感... -
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北沢陶『花檻の園』- 見惚れた瞬間にもう逃げられない、美しさという檻の物語【読書日記】
北沢陶(きたざわ とう)という作家は、出てきたときからずっと気になる存在だった。 デビュー作『をんごく』で横溝正史ミステリ&ホラー大賞の三冠を達成、という時点でかなり強いのだが、実際に読んでみると、話題性だけではまったくなかったことがよく... -
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『ライフログ分析官』- すべてが証拠になる世界で、人間だけが壊れていく。我孫子武丸が描く未来ミステリの正体【読書日記】
我孫子武丸という作家は、やはり油断ならない人だと思う。 新本格の旗手として登場し、『殺戮に至る病』のような強烈な作品を残した作家が、2026年に何を書いたのか。 そう思って手に取った『ライフログ分析官』は、いわゆる「鮮やかなパズル」を前面に押... -
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『暗黒の瞬間』- ミステリの顔をした、救いのない人間の限界の話【読書日記】
リーガル・ミステリを読んでいて、いちばんぞくっとするのは、犯人がわかる瞬間ではない。 むしろ、法に従えば正しいはずなのに、それで本当にいいのかと思わされる瞬間のほうが、私はずっと怖い。 証拠はある。手続きも踏まれている。判決も出る。けれど... -
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信国遥『未館成の殺人』- 館がないのに館ミステリという美しい矛盾、その先にある新しい本格【読書日記】
館ミステリというジャンルには、どうしたって抗いがたい魅力がある。 奇妙な建築。閉ざされた空間。そこに集められた人物たち。そして、その舞台そのものが犯罪の論理を支えるという、あの独特の美しさ。 綾辻行人『十角館の殺人』以後、この形式は単なる... -
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『夜が少女を探偵にする』- 死骸を愛でる少女はなぜ探偵になり、なぜ真実だけを信じたか【読書日記】
ミステリにはいろいろなタイプの探偵がいる。 天才型、変人型、社交的な名推理型、あるいは傷を抱えた孤独な観察者。 だが、マリー・ティアニー『夜が少女を探偵にする』の主人公エイヴァ・ボニーは、そのどれにもきれいには収まらない。 十三歳の少女で、... -
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『愚者たちの箱舟』- 青春の誤解が崩れるとき、衝撃の真実が立ち上がる【読書日記】
綾崎隼(あやさき しゅん)という作家を語るとき、私はずっと、この人は感情を書く作家だと思ってきた。 しかも、ただ切なさをきれいに並べるのではなく、若さゆえの未熟さや、取り返しのつかないすれ違いまで含めて物語にしてしまう。その感情の扱い方が... -
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四島祐之介『アナヅラさま』- 都市伝説は人を食わない。人が都市伝説を使い始めるとき、本当の地獄が始まる【読書日記】
ミステリとホラーの境界線というのは、もともとかなり曖昧なものだと思っている。 怪異のように見えたものが論理で説明されることもあるし、逆に理詰めで追い詰めたはずの先に、どうにも説明しきれない嫌な感触だけが残ることもある。 だからこの二つのジ...
