新着記事
-
国内ミステリー小説
京極夏彦『巷説百物語シリーズ』完全ガイド|読む順番と全作品の見どころ
京極夏彦の『巷説百物語シリーズ』は、妖怪小説であり、時代小説であり、そして何より、人間の業を妖怪という形に変えて語り直す、とんでもなく濃い連作ミステリである。 舞台は江戸時代後期。闇の渡世を生きる小悪党たちが、表沙汰にできない罪や怨み、理... -
読書日記
『ロングウォーク』- スティーヴン・キングが描いた勝者なきデスゲームの原点【読書日記】
ただ歩いているだけなのに、なぜこんなに怖いのか。 怪物が出るわけではない。幽霊が襲ってくるわけでもない。館の密室で名探偵が腕を組むわけでもない。 やっていることは、少年たちが道路を歩く。それだけである。にもかかわらず、この小説には、下手な... -
短編集
『フレドリック・ブラウンSF短編全集2 星ねずみ』- 小さなねずみが宇宙へ飛び、活字機械が世界を書き換える【読書日記】
フレドリック・ブラウンの短編を読むと、毎回脳内に小さな爆竹を投げ込まれたような気分になる。 しかも、その爆竹がやたら精密に作られている。導火線は短い。火花は一瞬。 だが、鳴ったあとに残る煙の形が妙に忘れがたい。本来、短編SFってこういう危な... -
読書日記
米澤穂信『倫敦スコーンの謎』- 甘いお菓子の皿には、苦い論理がきれいに盛られている【読書日記】
日常の謎という言葉には、どこか軽やかな響きがある。 だが〈小市民〉シリーズに限って言えば、その日常は案外やわらかくない。 表面は甘く整えられていても、ひと口かじると、人間の見栄や憧れや意地が顔を出すからだ。 小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、小市民... -
読書日記
澤村伊智『ざんどぅまの影』- 比嘉姉妹シリーズの過去に沈む、海水と差別の記憶【読書日記】
澤村伊智の比嘉姉妹シリーズを追ってきた身として、『ざんどぅまの影』には妙な緊張感を覚えた。 なにしろ、比嘉琴子と真琴の物語でありながら、舞台は彼女たちが生まれる前の1981年。主役として前面に立つのは、姉妹の祖母である比嘉勝子だ。 つまりこれ... -
未分類
島田荘司『切り裂きジャック・百年の孤独[改訂完全版]』- ロンドンの霧とベルリンの壁、その暗い線を追いかける【読書日記】
切り裂きジャックという名前には、ミステリ好きの神経を妙にざわつかせるものがある。 未解決事件、霧のロンドン、ホワイトチャペル、猟奇殺人、新聞報道、都市伝説。そんな単語を並べるだけで、暗い路地裏の入口が開いてしまう。 しかもそこへ島田荘司で... -
国内ミステリー小説
『アリス・ミラー城』殺人事件 – 北山猛邦作品で一番好きな城と物理トリック論【傑作ミステリエッセイ】
北山猛邦(きたやま たけくに)の城シリーズには、いくつもの忘れがたい城がある。 時計仕掛けのように世界を狂わせる城もあれば、瑠璃色の幻想をまとった城もある。 どれも妙に美しく、どれもどこか壊れていて、そして当然のように人が死ぬ。 北山作品の... -
海外ミステリー小説
ドロシー・L・セイヤーズ『ピーター・ウィムジイ卿』シリーズ完全ガイド|読む順番とおすすめの話【全作品評価つき】
英国ミステリ黄金時代には、名前を聞くだけで背筋が少し伸びるような作家たちがいる。 アガサ・クリスティ、ジョン・ディクスン・カー、そしてドロシー・L・セイヤーズ。 そのなかでもセイヤーズは、単に巧妙な謎を組み立てた作家というだけでは語り切れな... -
読書日記
加門七海『裂神』- 神とは救いか、それとも祓われた厄の成れの果てか【読書日記】
人というのは、都合の悪いものを外へ追いやるのがうまい生き物だ。 穢れ、厄、災い、祟り。 名前をつけ、祓い、流し、境界の外へ出す。そうすれば、こちら側は清められた気になれる。 めでたしめでたし。……で済めばいいのだが、加門七海のホラーは、そこで... -
読書日記
西式豊『処刑館殺人事件』- ミステリ作家たちが自分の書いた謎に処刑される館へ【読書日記】
ミステリ作家が山奥の館に集められる。 外界との連絡を絶たれる。 そこに処刑道具が並べられている。 そして、ひとりずつ殺されていく。 本格ミステリを愛する者にとって、この状況が好きではない人なんているだろうか。 危険だと分かっている。絶対にろく...
