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『崑崙奴』- 古泉迦十氏、待望の帰還 ― 24年の沈黙を破る超大作
「幻の作家」とも称された古泉迦十氏が、実に24年ぶりに世に送り出した本格ミステリ超大作──それが『崑崙奴』です。 2000年に第17回メフィスト賞を受賞したデビュー作『火蛾』で、文学界に鮮烈な印象を刻みつけながらも、その後は長らく沈黙を貫いてきまし... -
『骨を喰む真珠』- 北沢陶の新たなる悪夢。『をんごく』を超えた戦慄の傑作
近年、日本のミステリ・ホラー界に鮮烈な光芒を放つ新星が登場しました。北沢陶氏です。氏はデビュー作『をんごく』において、第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞の「大賞」「読者賞」「カクヨム賞」をトリプル受賞するという快挙を成し遂げ、その名を文... -
『世界の終わりの最後の殺人』- 人類絶滅まで46時間。阻止したければ、殺人事件の謎を解け
スチュアート・タートン氏は、そのデビュー作『イヴリン嬢は七回殺される』や第二作『名探偵と海の悪魔』において、常に読者の想像の斜め上を行く独創的なミステリーを世に送り出してきました。読者をあっと言わせる仕掛けと、ジャンルを越境する物語作り... -
笠井潔『夜と霧の誘拐』- 謎と哲学の交響。前人未到、永久不滅の誘拐ミステリ
現代日本文学、とりわけミステリの領域において、比類なき知性と深遠なテーマ性で独自の光彩を放つ作家、笠井潔氏。その作品群は、単に巧妙な謎解きを提供するに留まらず、読者を存在の根源的な問いへと誘う力を持っています。 中でも、現象学を駆使する哲... -
遠坂八重『死んだら永遠に休めます』- こんな真相、知りたくなかった。悪夢の社畜ミステリ
現代日本文学における注目すべきミステリー作品が登場しました。遠坂八重氏による『死んだら永遠に休めます』です。著者は2022年に『ドールハウスの惨劇』で第25回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビューした新進気鋭の作家であり、本作はその筆力を改め... -
この短篇、容赦なし『冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選』- 静かなる狂気、日常の崩壊
モダン・ホラー界の巨星、ジャック・ケッチャム。スティーヴン・キングをはじめとする同時代の作家たちから絶賛され 、その作品は読者に強烈な印象を刻み込んできました。 『隣の家の少女』や『オフシーズン』といった代表作で知られる彼は、しばしばその... -
野島夕照『片翼のイカロス』- 上空500mでヘリと人間が衝突。奇々怪々な謎に迫るどんでん返しミステリ
ミステリ界に新たな才能が登場しました。野島夕照氏です。同氏は、島田荘司氏が選考を務める第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞において、本作『片翼のイカロス』で見事優秀作を受賞し、華々しいデビューを飾りました。 この賞は、本格ミステリの書... -
『コロラド・キッド 他二篇』- スティーヴン・キングの「幻の作品」が収録された日本オリジナル中篇集
スティーヴン・キング氏の作家デビュー50周年という、文学界にとっても記念すべき節目に、日本独自の編集による特別な中篇集『コロラド・キッド 他二篇』が文藝春秋より刊行されました。この一冊は、単なる新刊の枠を超え、半世紀にわたりエンターテインメ... -
ドゥーセ『スミルノ博士の日記』- 秘めたる日記、驚愕の「仕掛け」
ミステリというジャンルは、読者の知的好奇心を刺激し、論理の迷宮へと誘う魅力に満ちています。その歴史の中には、時代を超えて輝きを放つ古典作品が数多く存在します。 今回ご紹介するサムエル・アウグスト・ドゥーセ著『スミルノ博士の日記』は、まさに... -
衣刀信吾『午前零時の評議室』- 法廷×デスゲーム×本格ミステリ×どんでん返し
衣刀信吾氏の『午前零時の評議室』は、第28回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した、注目すべきデビュー作です。この受賞は、新人作家の登場を告げるにとどまらず、ミステリというジャンルに新たな才能が本格的に挑戦したことを強く印象づけました。新...