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読書日記
小田雅久仁『禍』- 怖いのに目をそらせない、奇妙に美しい災厄【読書日記】
新刊情報を追っていて小田雅久仁の名前が見えると、私の中の空気が毎回ちょっと空気が変わる。 待ってました、という気持ちもあるし、今度はどこまで連れていかれるのかという妙な緊張もある。 この人はたくさん書くタイプではない。むしろ寡作で、そのぶ... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.63】『死ねない男』
「う、うわあああ」 ふぅ、た、助かった。どうにか雪崩には巻き込まれずに済んだようだ。 「だ、誰か助けてくれー。おーい」 何時間経ったんだろうか。雪崩を避けたはいいものの、俺は崖から転がり落ちてしまっていた。 「おーい、誰かいないかー。俺はこ... -
読書日記
消されるはずの人生を拾い上げる -『特殊清掃人グレイス・マクギルと孤独な死者たち』が踏み込む死後の密室【読書日記】
人が亡くなったあとの部屋を片づける、という設定だけでもう重い。 しかも、その人が誰にも気づかれないまま、何週間も、場合によっては何ヶ月も部屋にいたのだとしたら、そこには事件の怖さとは別の、もっと生々しい怖さがある。 殺人鬼が出てくるわけで... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.3】『悪魔にも』
彼は悪魔を呼び出した。 そう行動するに至った原因も、欲求も確かにあり、多くの労力を注ぎ込み、悪魔召還の術を調べ上げ準備を整えたのだ。 この社会にあっては彼の欲求は叶え得ない、法の正義も彼には味方しなかった。 満月の夜、地下室に描いた血の召還... -
ファンタジー小説
円城塔『土人形と動死体』- ファンタジーの顔をした、世界のOSアンインストール小説【読書日記】
ファンタジーというジャンルには、読んでいるこちらを安心させる約束事がある。 魔法がある。竜がいる。魔王がいる。世界には何らかのルールがあって、主人公たちはそのルールの中で冒険する。剣を抜けば戦いが始まり、呪文を唱えれば魔法が発動する。 よ... -
短編集
『コロラド・キッド 他二篇』- スティーヴン・キングの「幻の作品」が収録された日本オリジナル中篇集
スティーヴン・キングのデビュー50周年を記念して刊行された『コロラド・キッド 他二篇』は、いわば「読まれずにいたキング」を一気に解き放った作品集だ。 長らく国内では読めなかった「幻」の中篇群をまとめ、日本オリジナルの文庫版としてリリースされ... -
読書日記
マルセル・シュオッブ『黄金仮面の王』- 博識が悪夢の仮面をかぶったら、幻想文学はここまで濃くなる【読書日記】
幻想文学にはときどき、何を食べたらこんなものが書けるんだ?と言いたくなる作家がいる。 マルセル・シュオッブは、まさにそのタイプだ。 歴史、神話、古文書、伝説、犯罪史、終末幻想、海賊、仮面、死体、顔の喪失、奇跡。材料だけ並べると、だいぶ物騒... -
短編集
G・K・チェスタトン『翼ある剣』- 翼を持ったのは剣か、それとも恐怖か【傑作小説エッセイ】
G・K・チェスタトンのブラウン神父ものは、ミステリ好きなら一度は通る道だと思う。 名探偵なのに見た目は地味、武器は推理よりも人生経験、そして何より「逆説」が武器になるという、ちょっと変わったシリーズだ。 その中でも『翼ある剣』は、個人的にか... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.62】『悪魔のちから』
街灯ひとつない、夜の路地。 仕事帰りの青年は、とぼとぼと帰路についていた。 彼は一流企業の社員だが、まだ新卒二年めで、毎日、上司にこっぴどく叱られていた。 こんなことなら、車にでも轢かれたい。 そう思って横断歩道をわたっていると、急に角から... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.2】 『宇宙人がやってきた』
ボクは半信半疑でX君と丘を登っていた。 前を行くX君はワクワクしているのだろう、いつもよりも余計に浮いている。 時間は夜、見たところ周囲の様子におかしなところは少しもない。 ボクはやはりからかわれているのではないかと思って彼に尋ねた。 「X君...
