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読書日記
内田百閒『ツィゴイネルワイゼン:百閒怪異作品集』- 日常の裂け目から、百閒の怪異が覗いている【読書日記】
サラサーテ本人の演奏を収めた古いSP盤。その途中に、演奏とは別の人の声が混じっている。 雑音なのか、肉声なのか、そもそも誰の声なのか。針が盤面をなぞるたび、生きている者と死んだ者の境目が少しずつ曖昧になっていく。 内田百閒『ツィゴイネルワイ... -
短編集
ジャンルを越える傑作短編集。フィルポッツの『孔雀屋敷』という驚異の小部屋
ミステリの女王、アガサ・クリスティー。 その名を聞いて、まず思い浮かぶのはポアロやマープル、あるいは『そして誰もいなくなった』や『オリエント急行の殺人』といった名作たちだ。 でも、そんなクリスティーにも教えを受けた相手がいたことを知ってい... -
読書日記
似鳥鶏『新学期にだけ見える星座』- 市立高校に戻ってきたら、後輩たちが星をつないでいた【読書日記】
長く続いているシリーズの新刊を読むとき、少し変な気分になる。 久しぶりに母校へ遊びに行ったら、知っている廊下や部室はそのままなのに、そこにいる生徒は少し入れ替わっている。懐かしいのに、新しい。安心するのに、ほんの少しだけ知らない場所にも見... -
読書日記
『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』- 死の向こう側ではなく、生きた時間の内側を覗き込むキング中編の凄み【読書日記】
https://300books.jp/stephenking/ スティーヴン・キングという作家を、いまだに「ホラーの帝王」という肩書きだけで語るのは、さすがにもったいないのではないかと思う。 もちろん怖い。そりゃ怖い。墓の下からスマホが鳴るなんて、普通に考えて嫌すぎる... -
読書日記
蜂巣敦『「八つ墓村」は実在する』- あの『八つ墓村』はどこから生まれたのか?【読書日記】
『「八つ墓村」は実在する』 著者:蜂巣敦 横溝度 : (5.0) 怪奇度 : (4.0) 情報量 : (4.5) 読み応え : (4.0) この作品を一言でいうと 津山三十人殺しと落武者伝説の現地を歩き、『八つ墓村』が生まれた歴史と土地の記憶を辿るルポル... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.67】『犯罪のない国』
幼い頃に事故で両親を亡くしたエル氏は、ずっと孤独に生きてきた。 誰もがエル氏を見ると眉をひそめる。 それは醜い容姿ゆえのことだったが、誰からも相手にされず人を遠ざけているうちに、性格までひねくれてしまっていた。 容姿にも性格にも難があるとな... -
読書日記
『ホロボの神 泡坂妻夫拾遺集』- デビュー50周年の祝祭。泡坂妻夫のからくりは、いまも回り続けている【読書日記】
泡坂妻夫氏デビュー50周年記念刊行として、『ホロボの神 泡坂妻夫拾遺集』が出た。これはもう嬉しいとしか言いようがない! しかもただの記念本ではない。単行本には入っていても文庫化の機会を逃していた作品や、いわば幻に近いバージョンまで拾い上げた... -
読書日記
『未知なるカダスを夢に求めて』ラヴクラフト流ハイファンタジー、その最高峰へ【読書日記】
『未知なるカダスを夢に求めて 著者:H・P・ラヴクラフト 幻想度 : (5.0) 冒険度 : (4.5) 世界観 : (5.0) 宇宙的恐怖: (4.0) この作品を一言でいうと 美しい夕映えの都市を求め、ランドルフ・カーターが夢の国を横断する壮大な幻想冒... -
海外ミステリー小説
ピエール・バイヤール『アクロイドを殺したのは誰か』- あのポワロの解決は本当に正しかったのか?
『アクロイドを殺したのは誰か』 著者:ピエール・バイヤール 考察度 : (5.0) 論理性 : (5.0) 難易度 : (4.5) 説得力 : (4.5) この作品を一言でいうと ポアロが解決した『アクロイド殺し』を一から再検証し、別の真相へ迫る異色の... -
読書日記
黒田研二『完全密室のマトリョーシカ』- エッシャーの館で始まる、ミステリ・イン・ザ・ミステリ【読書日記】
久しぶりに黒田研二の長編ミステリを読めた! そして読み進めるうちに、やっぱり私はこの作家の作品が好きだと素直に思った。 人工的なくらい凝った謎。現実と虚構の境目を揺らす仕掛け。少し無茶をしてでも、最後に世界の見え方をひっくり返そうとする大...
