人気記事
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読書日記
『フレドリック・ブラウンSF短編全集1 未来世界から来た男』 – ショートショートの神様が、未来からではなく過去から殴ってくる
短い小説が好きだ。 もっと言うと、短いのにやけに後を引く小説が好きである。 たとえば、ほんの数ページで世界の見え方が反転する。 油断して読んでいたら、最後の一行で足元の床板がすっと抜ける。 しかも、その抜け方が大げさな悲鳴ではなく、妙に乾い... -
読書日記
山白朝子『スコッパーの女』- 創作という名の呪い、あるいは発掘という名の加害、あるいは小説家という名の怪異について【読書日記】
山白朝子の新作が読める。その事実だけでうれしいはずなのに、同時に少し怖くもなる。 しかも今回は『スコッパーの女』である。題名だけでもう、何か掘り返してはいけないものを掘り返しそうな気配が濃い。 そして実際そうだった。かなり怖い。だが、本作... -
読書日記
有栖川有栖『濱地健三郎の奇かる事件簿』- この探偵は死者の声を聞き、読者と納得をつくる【読書日記】
探偵という職業には、常に二つの顔がある。 冷徹な論理の使い手としての顔と、人の痛みに寄り添うセラピストとしての顔。濱地健三郎は、その両方を兼ね備えている珍しい探偵だ。 東京・南新宿の裏通りにある小さな事務所。ここにやって来る依頼人は、みん... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.66】『のっとる呪文』
冒険家のアドは古びた地図を頼りに森の中を進んでいた。 昼間だというのに、茂った木々に日光を遮られて辺りは薄暗い。 膝辺りまで伸びた草を踏み荒らしながら、ぐんぐん森の奥深くへと進んでいく。 時折、木の根に足を取られながらも、その足取りは力強い... -
短編集
『ドイツロマン派怪奇幻想傑作集』- 幻想と狂気とからくりと、200年を超える「怖い」の系譜
「創元推理文庫のくせに、犯人当てがひとつもないじゃないか!」とツッコミを入れたくなる人もいるかもしれない。 だが、この『ドイツロマン派怪奇幻想傑作集』(遠山明子編訳)は、れっきとしたミステリ文庫から出ているだけあって、「謎」の核は確かにあ... -
読書日記
潮谷験『ふしぎな凶器博物館』- 投石機、下着、特撮武器、メロンパンで殺人を【読書日記】
『ふしぎな凶器博物館』 著者:潮谷験 意外性 : (4.0) 技巧性 : (4.0) 論理性 : (5.0) 独創性 : (4.5) この作品を一言でいうと 奇妙な凶器の選択理由を手がかりに、犯人と事件の全貌へ迫る連作短編集。 Amazonで見てみる 殺人事件... -
海外ミステリー小説
『シャーロック・ホームズは引退しました』 – ホームズ不在の221Bに、事件だけがやってくる【読書日記】
シャーロック・ホームズはもう引退している。 そんなことを言われても、事件は待ってくれない。 しかも困ったことに、ホームズ本人がいないはずのベイカー街221Bには、世界中から相談の手紙が届いてしまう。 名探偵は養蜂中。なのに依頼だけは今日も郵便室... -
読書日記
呉勝浩『蒼羽さん事件』- 未解決事件を追うほど、書かれた言葉まで信用できなくなる【読書日記】
『蒼羽さん事件』 著者:呉勝浩 没入度 : (4.0) 考察欲 : (5.0) サスペンス: (3.0) 後味の重さ: (4.0) この作品を一言でいうと 女子高生の未解決殺害事件を追ううち、取材記録そのものの信頼性まで揺らいでいく疑似ルポ。 Amazonで見て... -
短編集
江戸川乱歩『赤い部屋』- 探偵も密室トリックもない、完全犯罪の話【傑作小説エッセイ】
江戸川乱歩が1925年に『新青年』に発表した短編『赤い部屋』は、いわゆる謎解きのミステリではない。 明智小五郎もいなければ、犯人探しもない。あるのは、「赤」という色彩に閉ざされた奇妙な部屋と、そこで語られる不気味な独白だけだ。 舞台は、ある秘... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.1】『訪問販売』
さびれた港町のはずれ。海沿いに並んだ平屋建ての中の一軒だった。 陽子は肉を切るのに疲れてそっと包丁を置いた。したたる汗を手の甲でぬぐった。 夏の潮風と一緒に魚を煮付ける良い匂いが漂ってきた。隣の濱田だろう。 現役漁師の家の夕飯はいつも陽子の...
