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短編集
宮内悠介『超動く家にて』- ミステリとSFのくだらなくて幸福な衝突【読書エッセイ】
宮内悠介『超動く家にて』を読んでいると、なんとも言えない妙な気分になってくる。 これはSFなのか、それともミステリなのか。 いや、たぶんどちらでもあるし、どちらでもない。むしろもっと厄介で、もっと楽しい何かだ。 宮内悠介という作家は、デビュー... -
読書日記
近藤史恵『ねむりねずみ【新装版】』- 梨園という見えない壁に囲まれた、最も美しく最も閉ざされたミステリ
華やかな世界を描いた小説のはずなのに、読んでいるうちに妙に息が詰まってくることがある。 しかもその息苦しさが、露骨な陰惨さではなく、美しさとほとんど見分けがつかないかたちで迫ってくるタイプのやつだ。 近藤史恵『ねむりねずみ【新装版】』は、... -
読書日記
井上雅彦『竹馬男の犯罪 新装版』- 竹馬に乗った怪奇と論理が、サーカスの暗闇で握手する【読書日記】
竹馬に乗った男。 高い位置からこちらを見下ろす影。 人間の身体なのに、人間の高さから少しずれている存在。足音も、視線も、移動の仕方も、どこか普通の世界の寸法から外れている。 この時点で勝ちである。ミステリのタイトルとして、あまりにも強い。 ... -
ホラー小説
大舟『三重県津市西区平山町3-15-7』- 存在しない住所が、現実のふりをして迫ってくる【読書日記】
三重県津市西区平山町3-15-7。 まず、この住所が嫌である。いや、住所そのものに嫌も何もないはずなのだが、口に出した瞬間、どこか変な引っかかりが生まれる。 三重県津市までは現実にある。だが、津市に「西区」は存在しない。「平山町」も、少なくとも... -
国内ミステリー小説
井上悠宇『不実在探偵の推理』- 実体のない探偵とダイスで推理を構築する、斬新な謎解きミステリー
マンションの一室で、女性が手に藍の花を強く握りしめた状態で毒死していた。 そして彼女の恋人も、死を聞かされた後、後を追うように自殺してしまった。 なぜ彼女は、藍の花を持って亡くなっていたのだろうか。 そもそも彼女は自殺したのか、それとも何者... -
読書日記
『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』- 死の向こう側ではなく、生きた時間の内側を覗き込むキング中編の凄み【読書日記】
https://300books.jp/stephenking/ スティーヴン・キングという作家を、いまだに「ホラーの帝王」という肩書きだけで語るのは、さすがにもったいないのではないかと思う。 もちろん怖い。そりゃ怖い。墓の下からスマホが鳴るなんて、普通に考えて嫌すぎる... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.68】『歪んだ愛』
大通りに面したオフィスビルの自動ドアが開き、女が現れた。 女はガードレールの切れ間で手を挙げた。タクシーが止まり、女を乗せて走り出す。 間違いない。今日で確実に女を仕留められる。俺は物陰から離れて目的地へ急ぐ。 今回の依頼主は冴えない中年の... -
読書日記
似鳥鶏『新学期にだけ見える星座』- 市立高校に戻ってきたら、後輩たちが星をつないでいた【読書日記】
長く続いているシリーズの新刊を読むとき、少し変な気分になる。 久しぶりに母校へ遊びに行ったら、知っている廊下や部室はそのままなのに、そこにいる生徒は少し入れ替わっている。懐かしいのに、新しい。安心するのに、ほんの少しだけ知らない場所にも見... -
海外ミステリー小説
シヴォーン・ダウド『ロンドン・アイの謎』- 乗っていた観覧車から消えた少年の謎
人とは違った物の見方をする「症候群」の少年テッドは、ある日家族や従兄弟のサリムたちと一緒に大型観覧車ロンドン・アイに乗ることになった。 チケットを先に手に入れたサリムが最初に乗り、テッドは姉のカットと一緒に地上から見上げながら待っていた。... -
読書日記
『修道女フィデルマの慧眼』- 中世アイルランドは、こんなにもミステリに向いている【読書日記】
歴史ミステリに手を出すとき、「難しそう」「知識が必要そう」と一歩引いてしまう人もいるかもしれない。 でも、もし最初の一冊で世界観に一気に引き込まれ、「歴史×ミステリってめちゃくちゃ面白いじゃん!」と感動したいなら、この『修道女フィデルマの...
