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未分類
島田荘司『切り裂きジャック・百年の孤独[改訂完全版]』- ロンドンの霧とベルリンの壁、その暗い線を追いかける【読書日記】
切り裂きジャックという名前には、ミステリ好きの神経を妙にざわつかせるものがある。 未解決事件、霧のロンドン、ホワイトチャペル、猟奇殺人、新聞報道、都市伝説。そんな単語を並べるだけで、暗い路地裏の入口が開いてしまう。 しかもそこへ島田荘司で... -
短編集
『ウは宇宙船のウ【新訳版】』 レイ・ブラッドベリが夢見る少年に託した、17の時間旅行【読書日記】
「さよならをいうのは嫌いなの」 この一文にピンときたら、もうあなたはブラッドベリの魔法に片足を踏み入れている。 今回読んだのは、東京創元社から刊行された『ウは宇宙船のウ【新訳版】: ブラッドベリ自選傑作集』。 新刊といっても、もとは1962年に出... -
読書日記
野宮有『殺し屋の出世術』- 営業マンが挑むどんでん返しだらけの頭脳戦【読書日記】
『殺し屋の出世術』 著者:野宮有 おすすめ度: (5.0) 読みやすさ: (4.5) おもしろさ: (5.0) ストーリー: (4.5) この作品を一言でいうと 殺し屋会社の社長の座をめぐり、営業マンがどんでん返し連発の頭脳戦に挑むクライム・エンタメ。 Amazon... -
国内ミステリー小説
阿津川辰海『入れ子細工の夜』- アイデアが光る、読み出したら止まらないミステリ短編集
ある作家が、編集者を名乗る男にひとつの提案をした。 「とっておきのミステリーを執筆してやろう。ただしリアリティを追求するために、物語の人物を一緒に演じてみてほしい」 編集者は二つ返事で了承し、さっそく作家の指示に従って演じ始める。 しかし演... -
読書日記
澤村伊智『ざんどぅまの影』- 比嘉姉妹シリーズの過去に沈む、海水と差別の記憶【読書日記】
澤村伊智の比嘉姉妹シリーズを追ってきた身として、『ざんどぅまの影』には妙な緊張感を覚えた。 なにしろ、比嘉琴子と真琴の物語でありながら、舞台は彼女たちが生まれる前の1981年。主役として前面に立つのは、姉妹の祖母である比嘉勝子だ。 つまりこれ... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.70】『幸せの青い鳥』
人魚姫はバカだ、あんなにも美しい声を自ら捨ててしまうだなんて。 まんまと魔女の口車に乗せられ、脚と引き換えに声を失ってしまった哀れな人魚。 おまけにそこまでしても恋い焦がれた王子様は手に入れられず、海の泡となって消えてしまうのだ。こんなバ... -
読書日記
『グデリアの死んだ家』- 死体が流れる夜、グデリアは家を離れない【読書日記】
濁流の中を、見知らぬ男女の死体が流れていく。 窓の向こうでそんな光景を目にしながら、81歳のグデリアは家を離れようとしない。 村には避難勧告が出ている。停電で周囲は闇に沈み、水は家のすぐ脇まで迫っている。 それでも彼女は動かない。なぜ、そこま... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.69】『悪魔より』
ソイツは紛れもなく僕の目の前にいる。 体は病人のように瘦せ細り、肌は青白いを通り越して黒と紫色の中間のような毒々しく不健康な色。 その様だけを見ると、まさしく病人のような有様だ。 だが、血走った赤い瞳に、どんなものでも八つ裂きにしてしまいそ... -
読書日記
ゆっくり歩くこと、ゆっくり読むこと。『本と歩く人』が教えてくれた、もう一つの時間の流れ【読書日記】
ページをめくる指の感触。 少し重たいハードカバーの端っこ。 読みかけの文庫の間に挟んだ栞。 そういう本にまつわる記憶というのは、ふとしたときに蘇るものだ。 カルステン・ヘンの『本と歩く人』を読んで最初に感じたのは、そんな懐かしさだった。でも... -
読書日記
フェルディナント・フォン・シーラッハ『午後』- 午後という時間に、人はふと語り出す【読書日記】
たった166ページ。なのに、読後に胸の奥に沈んでいく何かがある。 フェルディナント・フォン・シーラッハの『午後』は、文字通り「午後のような読書体験」になった。 陽はまだ高いけれど、ふと影が長くなるあの時間。そこに誰かが腰かけて、ぽつりと語り出...
