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海外ミステリー小説
『シャーロック・ホームズは引退しました』 – ホームズ不在の221Bに、事件だけがやってくる【読書日記】
シャーロック・ホームズはもう引退している。 そんなことを言われても、事件は待ってくれない。 しかも困ったことに、ホームズ本人がいないはずのベイカー街221Bには、世界中から相談の手紙が届いてしまう。 名探偵は養蜂中。なのに依頼だけは今日も郵便室... -
短編集
なぜ犯人は首吊りを選んだのか?『首吊りアクロバットの冒険』に見る、初期クイーンのロジックの鮮やかさ【傑作ミステリエッセイ】
華やかな舞台の裏側ほど、ミステリに向いている場所もない。 客席には拍手と笑い声が満ちているのに、楽屋の奥では嫉妬、欲望、屈辱、見栄が湿った空気みたいに溜まっている。 エラリー・クイーン『首吊りアクロバットの冒険』は、そんなヴォードヴィル一... -
読書日記
『ロングウォーク』- スティーヴン・キングが描いた勝者なきデスゲームの原点【読書日記】
ただ歩いているだけなのに、なぜこんなに怖いのか。 怪物が出るわけではない。幽霊が襲ってくるわけでもない。館の密室で名探偵が腕を組むわけでもない。 やっていることは、少年たちが道路を歩く。それだけである。にもかかわらず、この小説には、下手な... -
読書日記
林譲治『ゲノム・トーカー』- 生命の設計図が宇宙へのメッセージになるとき【読書日記】
宇宙人が地球にやってくる、なんて話はSFの王道中の王道である。 巨大円盤が空を覆う。謎の信号が届く。人類代表が緊張しながら交信する。そこにはいつだって、「向こうは何者なのか」「こちらはどう見られているのか」というゾクゾクがある。 だが林譲治... -
短編集
江戸川乱歩『赤い部屋』- 探偵も密室トリックもない、完全犯罪の話【傑作小説エッセイ】
江戸川乱歩が1925年に『新青年』に発表した短編『赤い部屋』は、いわゆる謎解きのミステリではない。 明智小五郎もいなければ、犯人探しもない。あるのは、「赤」という色彩に閉ざされた奇妙な部屋と、そこで語られる不気味な独白だけだ。 舞台は、ある秘... -
読書日記
『ホロボの神 泡坂妻夫拾遺集』- デビュー50周年の祝祭。泡坂妻夫のからくりは、いまも回り続けている【読書日記】
泡坂妻夫氏デビュー50周年記念刊行として、『ホロボの神 泡坂妻夫拾遺集』が出た。これはもう嬉しいとしか言いようがない! しかもただの記念本ではない。単行本には入っていても文庫化の機会を逃していた作品や、いわば幻に近いバージョンまで拾い上げた... -
短編集
『ドイツロマン派怪奇幻想傑作集』- 幻想と狂気とからくりと、200年を超える「怖い」の系譜
「創元推理文庫のくせに、犯人当てがひとつもないじゃないか!」とツッコミを入れたくなる人もいるかもしれない。 だが、この『ドイツロマン派怪奇幻想傑作集』(遠山明子編訳)は、れっきとしたミステリ文庫から出ているだけあって、「謎」の核は確かにあ... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.67】『犯罪のない国』
幼い頃に事故で両親を亡くしたエル氏は、ずっと孤独に生きてきた。 誰もがエル氏を見ると眉をひそめる。 それは醜い容姿ゆえのことだったが、誰からも相手にされず人を遠ざけているうちに、性格までひねくれてしまっていた。 容姿にも性格にも難があるとな... -
海外ミステリー小説
アビール・ムカジー『マハラジャの葬列』- 訪問中の王太子が暗殺!?藩王国に潜む陰謀とは
帝国警察のウィンダム警部とバネルジー部長刑事は、カルカッタ訪問中の藩王国王太子の一団に同行していた。 バネルジーは王太子の同窓生であり、あだ名で呼び合う親しい間柄だったのだ。 その道中で、二人は王太子から私的に相談を受ける。 王太子がカルカ... -
読書日記
トマス・リゴッティ『悪夢工場』- 世界そのものが悪夢として立ち上がる、文学的ホラーの黒い到達点
ホラー小説には、読んだあと電気を消すのが嫌になるタイプの作品がある。 背後が気になる。カーテンの隙間が気になる。廊下の暗がりが、やけに意味ありげに見えてくる。 まあ、それはそれで困るのだが、まだ生活に戻れる恐怖ではある。 だがトマス・リゴッ...
