人気記事
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海外ミステリー小説
マルク・ラーベ『17の鍵』『19号室』- 映像のように疾走し、歴史の底へ沈んでいく傑作スリラー
海外スリラーには事件の謎より先に、まず光景で黙らせてくる作品がある。 マルク・ラーベの『17の鍵』と『19号室』も、その系譜に連なる二作だ。ベルリン大聖堂、映画祭、廃墟、記念碑。どの場所も美しいはずなのに、ラーベの手にかかると、たちまち犯罪の... -
読書日記
饗庭淵『対怪異アンドロイド開発研究室2.0』- アンドロイド・ジョークの隙間に潜む、救いのない現実のズレ【読書日記】
怪異とアンドロイドを一緒に出されたら、そりゃ気になる。 しかも舞台は開発研究室で、タイトルの最後には2.0までついている。盛り方がかなり景気いい。こういう小説は、題名の勢いだけで走ってもおかしくないのだが、このシリーズはそこが違う。 饗庭淵『... -
読書日記
矢野アロウ『マイボディ・オン・ザ・ムーン』- 月の裏側に置かれた首なし死体から、人類の未来まで吹き飛んでいく巨大SF【読書日記】
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『三体』に比肩する面白さの日本SFが刊行されると言ったら、信じてもらえますか? こんなキャッチコピーを見て、読まずにいられようか。 いや、無理である。少なくとも私は無理だった。 『プロジェクト・ヘイル・メア... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.66】『のっとる呪文』
冒険家のアドは古びた地図を頼りに森の中を進んでいた。 昼間だというのに、茂った木々に日光を遮られて辺りは薄暗い。 膝辺りまで伸びた草を踏み荒らしながら、ぐんぐん森の奥深くへと進んでいく。 時折、木の根に足を取られながらも、その足取りは力強い... -
読書日記
山白朝子『スコッパーの女』- 創作という名の呪い、あるいは発掘という名の加害、あるいは小説家という名の怪異について【読書日記】
山白朝子の新作が読める。その事実だけでうれしいはずなのに、同時に少し怖くもなる。 しかも今回は『スコッパーの女』である。題名だけでもう、何か掘り返してはいけないものを掘り返しそうな気配が濃い。 そして実際そうだった。かなり怖い。だが、本作... -
読書日記
真門浩平『ぼくらは回収しない』- 伏線回収という言葉の向こう側にある、回収されない感情【読書日記】
伏線回収という言葉は、いつの間にか物語を褒めるための便利な合言葉になった。 あれも回収された、これも意味があった、すべてが最後につながった。もちろん、それはミステリを読む大きな楽しみのひとつである。 だが『ぼくらは回収しない』は、その快感... -
短編集
ジャンルを越える傑作短編集。フィルポッツの『孔雀屋敷』という驚異の小部屋
ミステリの女王、アガサ・クリスティー。 その名を聞いて、まず思い浮かぶのはポアロやマープル、あるいは『そして誰もいなくなった』や『オリエント急行の殺人』といった名作たちだ。 でも、そんなクリスティーにも教えを受けた相手がいたことを知ってい... -
読書日記
米澤穂信『倫敦スコーンの謎』- 甘いお菓子の皿には、苦い論理がきれいに盛られている【読書日記】
日常の謎という言葉には、どこか軽やかな響きがある。 だが〈小市民〉シリーズに限って言えば、その日常は案外やわらかくない。 表面は甘く整えられていても、ひと口かじると、人間の見栄や憧れや意地が顔を出すからだ。 小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、小市民... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.1】『訪問販売』
さびれた港町のはずれ。海沿いに並んだ平屋建ての中の一軒だった。 陽子は肉を切るのに疲れてそっと包丁を置いた。したたる汗を手の甲でぬぐった。 夏の潮風と一緒に魚を煮付ける良い匂いが漂ってきた。隣の濱田だろう。 現役漁師の家の夕飯はいつも陽子の... -
読書日記
有栖川有栖『濱地健三郎の奇かる事件簿』- この探偵は死者の声を聞き、読者と納得をつくる【読書日記】
探偵という職業には、常に二つの顔がある。 冷徹な論理の使い手としての顔と、人の痛みに寄り添うセラピストとしての顔。濱地健三郎は、その両方を兼ね備えている珍しい探偵だ。 東京・南新宿の裏通りにある小さな事務所。ここにやって来る依頼人は、みん...
