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読書日記
『乙一デビュー30周年記念自選短編集1996-2026』- 乙一の30年を、暗闇の中でたどり直す【読書日記】
乙一という名前には、青春の記憶と、物語に足をすくわれる予感が一緒にまとわりついている。 怖い話を書く人。切ない話を書く人。ひねりの効いたミステリを書く人。 白乙一、黒乙一、中田永一、山白朝子。いろいろな呼び方や名義があり、そのたびに作風も... -
読書日記
『英国幽霊屋敷譚傑作集』- 19世紀の館に取り憑かれる。ヴィクトリア朝怪談アンソロジーの魅力【読書日記】
「イギリスには幽霊がつきもの」 こう言っても、あまり大げさじゃない。 イギリス旅行のパンフレットを開けば必ず出てくる「怪談ツアー」や「幽霊の出る館」。歴史が古いだけに、城や館の数も多く、そのどれもが「何かあっても不思議じゃない」雰囲気を漂... -
短編集
『ウは宇宙船のウ【新訳版】』 レイ・ブラッドベリが夢見る少年に託した、17の時間旅行【読書日記】
「さよならをいうのは嫌いなの」 この一文にピンときたら、もうあなたはブラッドベリの魔法に片足を踏み入れている。 今回読んだのは、東京創元社から刊行された『ウは宇宙船のウ【新訳版】: ブラッドベリ自選傑作集』。 新刊といっても、もとは1962年に出... -
読書日記
『壁から死体?』- 謎とスパイスの香り漂う屋敷で、壁から死体がこんにちは!【読書日記】
子供の頃、夢見たことがある。 たとえば、本棚がスーッと横に動いて、奥に秘密の書斎が現れるとか、古びた柱時計の中に人が入れる秘密通路があるとか、壁に「ひらけごま!」と唱えるとクルッと回転して隠し部屋が登場するとか。 あれだ。アニメや絵本の中... -
読書日記
『漂泊の星舟』- 宇宙船という密室で、自分が何者かまで疑わしくなるSFミステリ【読書日記】
宇宙船というのは、ミステリの舞台として反則気味に魅力的である。 館なら逃げ道を探せる。孤島なら海を眺めて絶望できる。雪山の山荘なら、とりあえず暖炉の前で誰かが意味ありげな顔をする。 だが宇宙船は違う。外に出たら即アウト。窓の向こうには、助... -
読書日記
H・G・ウェルズ『タイム・マシン【新版】』- 未来へ行ったはずなのに、見えてくるのは人間の古さだった
未来へ行く話のはずなのに、この小説が本当に見せてくるのは、人類のいちばん古くて厄介な癖なのかもしれない。 H・G・ウェルズ『タイム・マシン』を【新版】で読み返して、あらためてそう思った。 タイムトラベルSFの元祖としてあまりにも有名なので... -
読書日記
『#ニーナに何があったのか?』- ハッシュタグが裁く真実、親たちが背負う地獄【読書日記】
大学生のニーナとサイモン。あの週末、誰もが想像するような若いカップルの休暇だったはずだ。山間の別荘、恋人同士、自然の中でのんびりと過ごす休日。 でも、その週末が終わったときに帰ってきたのはサイモンだけだった。ニーナは姿を消した。そしてそれ... -
読書日記
ゆっくり歩くこと、ゆっくり読むこと。『本と歩く人』が教えてくれた、もう一つの時間の流れ【読書日記】
ページをめくる指の感触。 少し重たいハードカバーの端っこ。 読みかけの文庫の間に挟んだ栞。 そういう本にまつわる記憶というのは、ふとしたときに蘇るものだ。 カルステン・ヘンの『本と歩く人』を読んで最初に感じたのは、そんな懐かしさだった。でも... -
読書日記
『謎ときエドガー・アラン・ポー』- 200年越しの挑戦状。誰も気づかなかった、もうひとつの完全犯罪【読書日記】
「なぜポーは、たった3本でデュパン終わらせたのか?」 ミステリ好きなら一度は疑問に思ったことがあると思う。 探偵小説の元祖、エドガー・アラン・ポー。あの『モルグ街の殺人』で世界初の名探偵オーギュスト・デュパンを登場させた伝説の作家だ。 しか... -
読書日記
qntm『反ミーム部門は存在しない』- 忘れたことすら忘れさせるSFホラーの怪物について【読書日記】
怖いものから逃げるには、まず相手の存在に気づく必要がある。 姿を見つけ、特徴を覚え、名前をつける。対策を考えるにも、記録を残すにも、すべては「そこに何かがいる」と認識するところから始まる。当たり前の話だ。 ところが、qntm『反ミーム部門は存...
