人気記事
-
青春小説
辻村深月『この夏の星を見る』- コロナ禍ゆえの苦悩と新たな青春の形を描いた感動作
2020年、新型コロナウイルス感染症が流行し、全国の中学生・高校生たちの日常は、大きく変わった。 茨城県の高校2年生の亜紗は、天文部の合宿を楽しみにしていたが、コロナ禍におけるイベント制限により中止になり落胆する。 東京都の中学1年生の真宙は、... -
ホラー小説
芦花公園『とらすの子』- 自分の手を汚さず人を殺せるなら?憎悪に満ちたカルトホラー小説
都内で発生した無差別連続殺人事件。 どの遺体もひどく傷つけられており、人間による所業とは思えないほどだった。 ある日ライターの坂本美羽は、この事件の真相を知る少女に会った。 少女が言うには、犯人は「とらすの会」という団体であり、ここでは「マ... -
国内ミステリー小説
大滝瓶太『その謎を解いてはいけない』- その探偵が暴き出すのは事件の真相か、人の黒歴史か
アフィリエイターをしながら探偵事務所を営む暗黒院真実(あんこくいんまこと)。 その助手で、翠色に輝く左目を持つ女子高生・小鳥遊唯(たかなしゆい)。 ある日二人は、フィールドワークのためにN県の山奥に訪れたが、途中で日が暮れてしまう。 困って... -
国内ミステリー小説
阿津川辰海『入れ子細工の夜』- アイデアが光る、読み出したら止まらないミステリ短編集
ある作家が、編集者を名乗る男にひとつの提案をした。 「とっておきのミステリーを執筆してやろう。ただしリアリティを追求するために、物語の人物を一緒に演じてみてほしい」 編集者は二つ返事で了承し、さっそく作家の指示に従って演じ始める。 しかし演... -
短編集
『ほしのはじまり』- 星新一というジャンルを一冊に詰めた決定版【私の宝物】
読書人生を長く歩いていると、時折「これは特別な宝物だ」と思える本に出会うことがある。 私にとって、それが『ほしのはじまり ――決定版 星新一ショートショート――』だ。 星新一のショートショートは、たしかに文庫で読めるし、図書館にも全集が並んでい... -
国内ミステリー小説
片岡翔『その殺人、本格ミステリに仕立てます。』- 死者を出さない殺人計画VS孤島のクローズドサークル
亡くなったミステリー作家の一族が、孤島の館でマーダーミステリーを開催することになった。 しかし探偵志望のメイド・風゛(ぶう)は、これがゲームを装った殺人計画であることに気付いてしまった。 そこでミステリープランナーの豺(やまいぬ)と一計を... -
読書日記
『こどもの頃のこわい話 きみのわるい話』- 封印されたこどもの記憶が、ページの隙間から這い出してくる【読書日記】
怪談を読むとき、「怖い」と「気味が悪い」というのは、じつはちょっと違う感覚だよな、と思う。 前者はびっくり系、後者はジメジメとくるやつ。 蛙坂須美の『こどもの頃のこわい話 きみのわるい話』は、まさにその「きみのわるさ」に全振りした一冊だった... -
国内ミステリー小説
梓崎優『叫びと祈り』- ミステリが旅をはじめたとき、「動機」は世界を語りだす【傑作小説エッセイ】
梓崎優『叫びと祈り』を初めて読んだときの衝撃は、いまだによく覚えている。 それは単なる面白いミステリではなかった。読み進めるうちに、まるで地図の端っこがぐいっと引っ張られ、世界そのものの形が変わっていくような感覚があった。 収録された短編... -
読書日記
『暗殺依存症』- 最強の殺し屋が「殺さない」を選んだときに始まる、魂のロードムービー【読書日記】
世界最高の殺し屋が殺しをやめると決めたとき、彼が頼ったのは「アサシンズ・アノニマス(AA)」という、殺し屋を更生させるグループだった――この設定を聞いただけで、もう面白い。 ロブ・ハートの『暗殺依存症』は、この突き抜けた発想を基盤に、アクショ... -
国内ミステリー小説
詠坂雄二『遠海事件』- なぜ首を切断したのか?という圧倒的な魅力。佐藤誠が導き出した戦慄のホワイダニット
この『遠海事件〜佐藤誠はなぜ首を切断したのか?〜』というタイトルを目にしてまず胸に生まれるのは、強い興味と抑えられない期待だ。 通常のミステリが、犯人は誰か、どうやったかを競い合うのに対し、本作は冒頭から「犯人は佐藤誠であり、彼は首を切っ...
