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読書日記
『ポルターガイストの囚人』- それって本当に幽霊のしわざ? 傑作『深淵のテレパス』に続くシリーズ第二弾【読書日記】
襖(ふすま)が勝手に開く。電気が消える。落下する遺影。壁の向こうから、誰もいないはずの足音が響く。 けれど本当に怖いのは、そんな現象じゃない。この家にいるのは、もしかすると私自身なのかもしれない。 上條一輝の『ポルターガイストの囚人』は、... -
ホラー小説
澤村伊智『ファミリーランド』- 近未来の技術に踊らされた人々をシニカルに描く短編集
AIで常に嫁を監視し、いびる義母。 優秀な子供を計画的に出産できる薬。 配偶者のあらゆる行動をモニタリングできる結婚指輪。 ロボットばかり大切にする娘に殺意を抱く母親。 介護の手間を減らすための、非人道的な処置。 バーチャルで行われる葬儀。 シ... -
海外ミステリー小説
『チェスナットマン』-手首のない死体の側には、栗の人形(チェスナットマン)が残されていた
1989年10月31日、斧を使った一家惨殺事件の発生から、物語は幕を開ける。 凄惨な事件から長い年月が経ち、コペンハーゲン警察重大犯罪課の女性刑事である主人公のナヤ・トゥリーンは、パートナーのマーク・ヘスとともに、若いシングルマザーを狙った連続殺... -
国内ミステリー小説
阿津川辰海『録音された誘拐』- 令和のテクノロジーを欺く誘拐犯との頭脳戦
探偵事務所の所長・大野が誘拐された。 大野の家は資産家ではあるが、なぜよりによって探偵事務所の所長をターゲットにしたのか。 どうも15年前に起こった誘拐事件が関係しているらしいが……。 助手の美々香は、特殊能力である抜群の聴力を生かして事件に挑... -
国内ミステリー小説
伏尾美紀『北緯43度のコールドケース』- 江戸川乱歩賞受賞作は流石に面白い!
博士号を持ちながら、紆余曲折を経て30歳で北海道警察の警察官となった主人公・沢村依理子。 まだまだ男性社会の警察で、しかも異色の経歴を持つ彼女に、なんとなく周囲からの当たりは強い。 それでも、沢村に対して操作方法や取り調べの方法を教えてくれ... -
海外ミステリー小説
【乱歩の10選】江戸川乱歩が選んだ海外ミステリ小説ベスト10
日本ミステリの原点にして最大の推進力、それが江戸川乱歩という存在だ。 「日本の探偵小説の父」と呼ばれるのは伊達じゃない。作家としての実績はもちろん、評論家としての先見性、そして何より、海外の傑作ミステリを日本に紹介し続けた情熱。そのすべて... -
国内ミステリー小説
『●●にいたる病』- その病は読者にも感染する。我孫子武丸から始まる地獄のアンソロジー
1992年に発表された我孫子武丸の『殺戮にいたる病』は、もはやただの小説じゃない。あれは、ジャンルというジャンルの奥底にウイルスを仕込んでいった文学的病原体だ。 構造が異常、語りが異常、結末が異常。30年以上経っても、いまだにこの作品の症状は日... -
その他小説
『短くて恐ろしいフィルの時代』- 国民が6人しかいない小国をめぐる奇想天外な物語
あまりにも小さすぎる国・内ホーナー国と、周辺を取り囲む国・外ホーナー国には、様々な住人が暮らしている。 両国の中でも内ホーナー国にはわずか6人しか住んでおらず、その領土は「国民が1人しか入れないほどの広さ」だという。 自国の領土に入れない残... -
国内ミステリー小説
芦辺拓『乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび』- 幻の未完作品が90年の時を経てついに完結!
作家の「私」が売りつけられた2冊の犯罪記録。 心霊マニアの祖父江という人物が書いたものらしい。 そこには、祖父江の仲間である美しき未亡人・姉崎曽恵子の奇怪な死について記されていた。 姉崎未亡人の遺体は、鍵のかかった土蔵に全裸で横たわっていた... -
国内ミステリー小説
森バジル『なんで死体がスタジオに!?』- 出演俳優が殺され、爆破予告まで!生放送は一体どうなる?
ドジっ子プロデューサーの幸良には、もう次がなかった。 今回任されたゴールデンタイムの2時間特番バラエティ、ここで失敗すると、今後は制作から降ろされてしまうのだ。 幸良にとっては、絶対にコケるわけにはいかない、命運のかかった番組。 幸い大物俳...
