人気記事
- 自作ショートショート
【自作ショートショート No.13】『死神の存在』
そのバーは、歓楽街の中心から、歩いて十五分ほどのところにあった。 ほどほどに薄暗く、心地いい音量のジャズをビージーエムに、二人の男が酒を酌み交わしている。 どうやら二人は旧知の仲らしく、久々に再開した、といった様子だった。 思い出話に花が咲... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.4】『患者』
この病院では、毎日患者ひとりひとりとの面談が行われている。 私は多くの患者を担当しているので、面談の数も多い。 その内容は人によって違うが、患者たちは皆誰もが特徴的であった。 「では、どうぞ」 私が声をかけると、最初の患者がやってきた。 「お... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.42】『世紀の大発見』
レガ氏は考古学者を生業としており、フィールドワークとしてこれまで数えきれないほどの発掘調査に携わってきた。 しかし世紀の大発見などなかなかあるものではない。 いつか歴史を覆すような発見をしたい、そう思いながら今日も退屈な発掘作業を行ってい... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.31】『食糧危機』
「……次の議題は、食糧危機についてだったな。それでは、まずは状況報告を聞こうか」 世界的に有名な超高級ホテルの会議室では、なんとも重たい空気で会談が行われていた。 重厚感のある広いテーブルの周りでは、大国の首脳たちが、本音か建て前か、みんな... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.17】『路地裏のレストラン』
「なぁ、知ってるか?路地裏のレストランの話」 大柄で太めの男が、半分ほどになったタバコをふかしながら言った。 その正面では、小柄な男が、目を細めながらタバコに火をつけている。 「路地裏のレストラン?なんだよそれ」 「繁華街の北側にある路地裏... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.6】『セケルの加護』
由美は涙をこらえて夜道を急いだ。 団内オーディションの帰りだった。 悔しくて仕方なかった。なぜ私ではなく瑞希が主役に選ばれたのだろう、と。 由美は、顔もスタイルも演技力も瑞希より自分の方が上だと思っていた。それだけに今日はプライドをひどく傷... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.11】『歴史的発明』
N博士はこの一ヶ月で一躍世界の億万長者の仲間入りを果たした。 長年研究してきた透明人間になれる薬を遂に商品化し販売したところ、爆発的なヒットと相成ったのである。 実のところ、この薬は軍隊にだけ提供するという考えもあったのだが、日本出身の生... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.34】『第一回宇宙対抗大食い選手権』
デイブは地球人代表として、スピカ星にやってきた。 代表者に選ばれたのは他に9人、みんな彼と同じ巨漢の持ち主だ。 それもそのはず、彼らはこの星で開催される大食い大会に出場するため、はるばる地球からやってきたのだから。 事の始まりは一か月前のこ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.40】『 囚人』
「クックック。今度の新入りはどんな奴なんだろうな。まぁどんな奴だろうが、前みたいにイビり倒してやるだけだけどな」 国の最果て、最高レベルの警備が敷かれる刑務所の一室で、見るからに悪そうな丸刈りの男が独り言をつぶやいていた。 男は数年前に殺... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.45】『地球をキレイに』
人類の発展に比例するように、地球の環境は悪化の一途を辿りつつあった。 工場や自動車は汚染物質を大量に吐き出し、海に漂う石油やプラスチックゴミは生態系を乱す。 人々は毎日のように物を作り出し、それらはいずれゴミとなる。このままでは地球の汚染...