人気記事
- 自作ショートショート
【自作ショートショート No.7】『父と子』
「ねえねえ、おとうさん、これはなあに?」 息子は大きな図鑑を抱えて、無邪気そうに私の下にやってきた。 「どうしたんだい?」 「これは、なんていうたてものなの?」 そう言うと、息子は大きな図鑑のあるページを開けて私の方に見せてくる。 そのページ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.39】『セールスマン』
閑静な住宅街を、スーツ姿の男が歩いていた。 男はあたりをキョロキョロと見まわしながら、一軒、また一軒と家を眺めては、首をひねりながら隣の家に向かって歩いていく。 どうやらこの男は、手に持ったバッグの中身を買ってくれそうな客を求めて、チャイ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.44】 『見習い天使の失敗』
エンゼはこれまでニ度の天使昇格試験に失敗した、落ちこぼれの見習い天使だ。 そして今回が三度目となる試験である。 次こそは絶対に合格してやると、勢い勇んではるばる人間たちの暮らす下界へとやってきたのだが—— 「久しぶりの下界だなぁ。前に来たのは... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.37】『雪女』
「はぁはぁ、あともう少し」 雪深い山で遭難しかけていたサブロウは、寒さで意識が朦朧とする中、必死で山小屋を目指した。 「寒い。このままじゃ凍え死んじまう」 最後の力を振り絞って雪の中を進むも、とうとう足が止まってしまい、サブロウはその場に倒... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.32】『働かない子供たち』
「ハッ、ハックション!」 自分のくしゃみの音で目が覚めてしまった。窓の外はまだ暗い。 枕元にあった時計を手に取ると、僕は一度ブルッと身震いをしてから、大声で母親を呼んだ。 「おーい、寒いじゃないか」 そのまま布団に縮こまって耳をすませていた... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.38】『理想の恋人』
若者に向けて、ある画期的なロボットが開発された。 それは簡単な設定をするだけで、理想の恋人に変身するというロボットだった。 見た目は人間そのもので、感情も持っている。 そのうえ、ロボットだから年は取らない。 恋人もおらず一人寂しい人生を送っ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.36】『銀行強盗』
病院の建物を出たティー氏が振り返ると、娘がこちらに向かって手を振っているのが見えた。 病室の窓から健気に手を振る娘の姿に、ティー氏は胸が締め付けられる思いだった。 彼はもう一度、娘に笑顔を返してから、後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。 ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.33】『実用的な掃除機』
『ゴミが消える掃除機ついに登場!』 カヨコはテレビから流れてきた声に、家事の手を止めた。 『ゴミを原子レベルにまで分解して消す画期的な掃除機「デリオ」新発売!髪の毛や埃、生ゴミはもちろん、家具や家電などの大型ゴミにも対応』 どうやら新型掃除... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.30】 『神のきまぐれ』
それは何の前触れもなく、突如、宇宙空間に現れた。 果てしなくどこまでも広がる宇宙にあって、あまりにも場違いなそれは、当初、帯状の何かに思われた。 広い宇宙にどこまでも伸びた帯状の何か、しかしよくよく観察してみると、それの両端はある地点でぶ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.16】『現実的な不老不死、または最悪の地獄について』
A県の山奥にある、とある研究所。 ここでは不老不死に関する実験が行われていた。 研究所に在席しているのは、S博士とその助手の男だけ。 小さな研究所ではあったが、博士の優れた才能により、不老不死の研究は着実に進んでいた。 「これより本日の実験...