人気記事
- 自作ショートショート
【自作ショートショート No.19】 『始まりと終わり』
いくつもの惑星が浮かぶ銀河、その暗黒の中を一隻の宇宙船が航行している。 その周りには無数の小さな隕石が行き交っていたが、自動航行システムのおかげで航行には何の危険もなかった。 宇宙船を操縦するのは二体の宇宙人。この二体に性別はないが、ここ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.15】『悪魔のささやき』
「ようやくお前ともお別れだな」 「はい、お世話になりました。これからは真面目に働きます」 五、六メートルはあろうかという灰色の塀の下では、ワイシャツ姿の男が、紺色の制服を着た男に向かって頭を下げていた。 「そうだぞ。やっと刑期を終えたんだか... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.27】『海色のドリンク』
太陽が傾き始めた頃、遠藤進は外回りの営業から会社へ戻った。 疲れた体中に汗が染み、今日も体中が悲鳴をあげている気がしていた。 暑い夏を通り過ぎ、日が沈むのが早くなってきたとはいえ、まだ最高気温は30度をこえるときがある。 ただ今日は気温が下が... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.25】『致命的失敗』
博士は激怒した。 愛する妻の浮気現場を目撃してしまったのだった。 それも浮気相手は博士の助手ではないか。信頼する二人の裏切りに、博士の怒りは頂点に達した。 「く、くそっ、あいつらめ、ワシを裏切ってこのままで済むと思うなよ。必ず報いを受けさせ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.26】 『記憶を提供します』
古城のような邸宅だった。 黄昏時の淡い光に黒く浮かび上がったそれは、否応のない威圧感を放っていた。 ヒロコは息をのんでそれを見上げ、やがて意を決して重々しい扉を叩いた。 老婆が姿を現し、黙ってヒロコを邸内に招き入れた。 長く暗い廊下を老婆の... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.29】『幸せテレビ』
テレビ局に勤めるアス氏が、しばらくぶりの休日に街をぶらぶらしていた時のこと。 道行く人々の顔が揃いも揃って元気のないことに気づいた。 誰もがみんな疲れた顔で下を向いて歩いているのだ。 大人も子供もおじいさんもおばあさんも。 元気なのは赤ちゃ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.24】『天気の神様』
あるところに、一人の少年がいた。 ごく普通の家庭に産まれ、ごく平凡に育っていったその少年は、ある日、自分がとある能力を持っていることに気づいた。 それは、自分の好きなように天気を操る力。 この少年が力を自覚したのは、小学校高学年になったころ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.23】『ある商品』
ピンポーン。 チャイムの音が鳴り響き、家事に勤しんできた主婦は玄関に向かう。 玄関のドアについたのぞき穴から外を覗くと、そこには紺色のスーツを着たセールスマンと思しき男が立っていた。 「訪問販売かしら?」 主婦は出るかどうか迷っていた。 ピン... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.21】『完璧な家』
街角にある家が売り出されていた。 なんでもその家は、近未来の技術を使った実験的な建物であるとのことだった。 そして『常に完璧な状態に保たれる非常に優れた家』というのが謳い文句であった。 どのようにして完璧な状態を保つのかというと、家の中を機... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.22】『前借り』
「くそっ!また負けちまった……」 悲鳴と歓声がひろがる競馬場では、中年の男が、悔しそうに馬券をクシャっと握りつぶしていた。 「うーん、俺も負けだ。八番の馬がもう少しがんばってくれたらよかったんだけどな」 「けっ、お前はさっきのレースで大勝ちし...