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澤村伊智『怪談小説という名の小説怪談』- 怖いのに読むのをやめられない震恐のホラー短編集
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『恐るべき太陽』- 鬼才が放つクリスティへの挑戦作。最後に残るのは誰なのか
フランスの大人気作家ピエールが、セミナー「創作アトリエ」を開催した。 場所は南太平洋、太陽に照らされ輝くヒバオア島。 この小さな楽園に、セミナーの参加者として、5人の作家志望の女性がやって来た。 3万以上という応募者の中から選ばれた彼女たちは... -
今村昌弘『明智恭介の奔走』- 退場した探偵の知られざるエピソードを詰め込んだ短編集
あの明智恭介にまた会える!? 神紅大学3回生、ミステリ愛好会の会長にして名探偵、いやトラブルメーカーと言うべきか? とにかくミステリーが大好物で、古今東西のミステリーを読み漁り、日々推理力を鍛え、大学内で事件が起こっては首を突っ込み、華麗に... -
逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』- 復讐と葛藤から見出した真の敵とは
1940年代、ソ連とドイツが血みどろの戦いを日夜繰り広げていた時代。 モスクワ近郊の農村が、突如ドイツ兵に襲撃される。 たった一人生き残った少女セラフィマは、強姦寸前のところを赤軍の女兵士イリーナに救われた。 「戦いたいか、死にたいか」 との問... -
『真っ白な嘘』-新訳版が登場!『後ろを見るな』だけは、必ず最後にお読みください。
ショートショートの名手であるフレドリック・ブラウンにより書かれ1962年に出版された短編集。 江戸川乱歩が編集したアンソロジー「世界推理短編傑作集」にも選出された「危ないやつら」など、確かな読み応えの短編ミステリが18篇収録されています。 「笑... -
五十嵐律人『魔女の原罪』- 法律で縛る学校、血を抜かれた遺体、この街に潜む秘密とは?
宏哉の通う鏡沢高校には校則がなく、髪を染めるのも、ピアスをつけるのも、派手な服装で登校するのも個々の自由だった。 その代わり「法律」だけは絶対に守らなければならず、生徒は入学時に分厚い六法全書を渡されており、校内には監視カメラがあちこちに... -
有栖川有栖『日本扇の謎』- 記憶喪失の青年と美しい扇に隠された悲劇を追う
京都府北部の布引浜で、記憶を失い怪我をした青年が保護された。 名前も覚えておらず、財布も持っておらず、なぜこの場所にいたのかもわからない。 唯一持っていたのは、美しい富士山の絵が描かれた扇。 調べると著名な日本画家による特注の扇で、これによ... -
『ブラウン神父の童心』-「見えない男」「折れた剣」は必読だと思うのです。
大泥棒とそれを追う警察官とブラウン神父を描く、ブラウン神父初登場作「青い十字架」。 多彩なトリックが使われており、現代でも影響されたミステリー小説が多い「見えない男」。 その他「秘密の庭」、「奇妙な足音」、「飛ぶ星」、「見えない男」、「イ... -
白井智之『名探偵のいけにえ』- 教団内での連続殺人事件と集団自殺に隠された謎とは?
1978年、ガイアナ共和国。 ここでは新興宗教団体「人民教会」の教祖ジョーデンが「ジョーデンタウン」を作り、大勢の信者と暮らしていた。 表向きは病気や怪我のない奇蹟の楽園とのことだが、実際には信者への暴行や強制労働が行われている可能性があった... -
南海遊『永劫館超連続殺人事件』- 繰り返される悲劇を止めるため、魔女と幾度も死に戻る
山奥に佇む永劫館。 没落貴族ブラッドベリ家の長男であるヒースクリフは、3年ぶりにこの館に戻って来た。 ところが嵐による土砂崩れで、町と永劫館とを繋ぐ道が塞がれてしまう。 館に取り残されるヒースクリフと最愛の妹コーデリア、牧師や使用人たち、そ...