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夕木春央『方舟』- 誰を犠牲にして生き延びる?閉ざされた地下建築物からの脱出ミステリー
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京極夏彦『百鬼夜行シリーズ』徹底解説|おすすめ・魅力・見どころ・読む順番
京極夏彦氏が『姑獲鳥の夏』で文壇に鮮烈なデビューを飾ったのは、1994年のことでした。 以来、「百鬼夜行シリーズ(あるいは京極堂シリーズ)」は、現代日本文学におけるひとつの異界として、多くの読者を魅了し続けています。 このシリーズが描き出すの... -
櫛木理宇『監禁依存症』- 目には目をでは済まない残虐非道な復讐劇
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青本雪平『バールの正しい使い方』- 全国の書店員から絶賛の声が上がった青春ミステリー
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東川篤哉『仕掛島』- 孤島の館で繰り広げられる、抱腹絶倒のユーモアミステリー
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神永学『ラザロの迷宮』- 1ページ先さえ予測不能のノンストップ・ミステリ
殺人事件の犯人を当てる脱出型の謎解きイベントが開催されると聞き、湖畔にある洋館を友人と一緒に訪れたミステリー作家の月島。 しかし男女8人の参加者たちが発見したのは、なんと本物の死体だった。 これをきっかけに参加者たちは連続殺人事件に巻き込ま... -
歌野晶午『首切り島の一夜』- 孤島の同窓会で起こった奇妙な殺人事件の真相に迫る
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『卵の中の刺殺体 世界最小の密室』- 不完全が引き起こす本格派ミステリー
龍神の卵の中には、白骨死体。 そして、無惨にも解体され人間テーブルにされた若者。 宮村は、店舗設定を任せられているコルバカフェのオーナー神谷から龍神池近くの別荘に他のコルバカフェの社員たちと共に招待された。 しかし、帰り道である道路に繋がる... -
2025年7月に読んで特に面白かった本10冊 – 夜馬裕『イシナガキクエを探しています』ほか
2025年7月に読んだ本の中から、特に面白かった10冊をピックアップした。 暑い日にゴロゴロしながら読んだものもあれば、気づけば夜更かしして一気に読み切ったものもある。 ジャンルはミステリー中心だけれど、今月はホラーが大当たりばかりだった。 そん...