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短編集
クリスチアナ・ブランド『ジェミニー・クリケット事件』- 遅れてきた巨匠が残した、最も意地の悪い短編【傑作小説エッセイ】
ミステリ好きなら一度は経験があると思うが、タイトルだけで勝手に難易度を決めてしまうことがある。 クリスチアナ・ブランド『招かれざる客たちのビュッフェ』に収録されている『ジェミニー・クリケット事件』は、まさにそのタイプではないだろうか。響き... -
海外ミステリー小説
シヴォーン・ダウド『ロンドン・アイの謎』- 乗っていた観覧車から消えた少年の謎
人とは違った物の見方をする「症候群」の少年テッドは、ある日家族や従兄弟のサリムたちと一緒に大型観覧車ロンドン・アイに乗ることになった。 チケットを先に手に入れたサリムが最初に乗り、テッドは姉のカットと一緒に地上から見上げながら待っていた。... -
国内ミステリー小説
井上悠宇『不実在探偵の推理』- 実体のない探偵とダイスで推理を構築する、斬新な謎解きミステリー
マンションの一室で、女性が手に藍の花を強く握りしめた状態で毒死していた。 そして彼女の恋人も、死を聞かされた後、後を追うように自殺してしまった。 なぜ彼女は、藍の花を持って亡くなっていたのだろうか。 そもそも彼女は自殺したのか、それとも何者... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.68】『歪んだ愛』
大通りに面したオフィスビルの自動ドアが開き、女が現れた。 女はガードレールの切れ間で手を挙げた。タクシーが止まり、女を乗せて走り出す。 間違いない。今日で確実に女を仕留められる。俺は物陰から離れて目的地へ急ぐ。 今回の依頼主は冴えない中年の... -
短編集
江戸川乱歩『赤い部屋』- 探偵も密室トリックもない、完全犯罪の話【傑作小説エッセイ】
江戸川乱歩が1925年に『新青年』に発表した短編『赤い部屋』は、いわゆる謎解きのミステリではない。 明智小五郎もいなければ、犯人探しもない。あるのは、「赤」という色彩に閉ざされた奇妙な部屋と、そこで語られる不気味な独白だけだ。 舞台は、ある秘... -
短編集
忘れられた巨匠? とんでもない! 今こそ読みたい物語の怪物だ – 『死の10パーセント: フレドリック・ブラウン短編傑作選』
フレドリック・ブラウン。 名前は聞いたことがある。でもちゃんと読んだことはない。 そんな人も多いんじゃないだろうか。 昔のSF作家? ミステリも書いていた? そんな印象のままスルーされがちなこの作家は、実はとんでもない物語の魔術師である。 とい... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.64】『傲慢な女』
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?それはもちろん私だわ。うふ」 そうよ、私はこの世の誰よりも美しいの。 でもこの美貌を維持するには、もっともっとお金が必要。 ううん、お金だけじゃないわ。私に釣り合うステキな王子様も必要よね。 マリアは... -
短編集
『ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件』- ボルヘスとビオイが本気でふざけたミステリ講義
ボルヘスとビオイ=カサーレスが組んで探偵小説を書いた──それだけで、ミステリ好きならテンションが上がるに決まっている。 そして生まれたのがこの『ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件』だ。 しかも、ただの探偵ものじゃない。安楽椅子どころか、独... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.61】『家賃の安い部屋』
「たしか、この辺りのはずなんだけどな」 街の中心部から少し離れた、降りたシャッターの目立つ商店街を、ひとりの若い男が歩いていた。 男は、手元のスマートフォンに表示された地図を何度も見ながら、あたりをキョロキョロと見まわしている。どうやら、... -
読書日記
『サプライズ・エンディングス 罠』- どんでん返しの魔術師、その短編の切れ味と騙される快感【読書日記】
ジェフリー・ディーヴァーを読むたびに思うのだが、この人はやはり、人を騙して驚かせることに異様な情熱を持った作家だ。 しかも、その騙し方が雑ではない。ただ派手に話をひっくり返すのではなく、きっちり論理を積み上げたうえで、こちらが当然だと思っ...
