人気記事
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国内ミステリー小説
荻堂顕『ループ・オブ・ザ・コード』- 混迷と絶望の現代を撃つ、弩級の近未来×ハードボイルド
新生国家イグノラビムスで、200名以上の子供たちの発作が同時期に起こった。 身体を固く折り曲げ、意識は混濁、食事を拒否し、どんどん衰弱していく。 WEO(世界生存機関)の職員アルフォンソは、現地調査要員としてイグノラビムスに赴き、この奇病につい... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.70】『幸せの青い鳥』
人魚姫はバカだ、あんなにも美しい声を自ら捨ててしまうだなんて。 まんまと魔女の口車に乗せられ、脚と引き換えに声を失ってしまった哀れな人魚。 おまけにそこまでしても恋い焦がれた王子様は手に入れられず、海の泡となって消えてしまうのだ。こんなバ... -
読書日記
フェルディナント・フォン・シーラッハ『午後』- 午後という時間に、人はふと語り出す【読書日記】
たった166ページ。なのに、読後に胸の奥に沈んでいく何かがある。 フェルディナント・フォン・シーラッハの『午後』は、文字通り「午後のような読書体験」になった。 陽はまだ高いけれど、ふと影が長くなるあの時間。そこに誰かが腰かけて、ぽつりと語り出... -
短編集
『オー・ヘンリー傑作集1 賢者の贈り物』- 短編にしかできないひっくり返しの快感と魔法
短編小説というのは、気づけば中毒になっている。 たった数ページで始まり、いつの間にか転がり、最後の数行で「そう来たか!」と頭を抱える。 これは最高の娯楽だ。ミステリを読む人間として、このひっくり返される感じには本当に抗えない。 そういう「読... -
国内ミステリー小説
乱歩長編の到達点『孤島の鬼』という怪奇と執着の傑作の話【エッセイ】
江戸川乱歩の長編は意外と数が少ない。 そのせいもあって、乱歩の長編はどれがおすすめ?と聞かれると、だいたい話題が同じところに収束する。 『孤島の鬼』だ。 これは別に通ぶりたいからでも、定番だからでもない。 理由はシンプルで、この作品には乱歩... -
国内ミステリー小説
五十嵐律人『六法推理』- 法律知識で事件に挑む、学生版リーガル・ミステリ
法学部4年の古城は、大学内で無料法律相談を受け付けている。 ある日、経済学部3年の戸賀が相談しに来た。 「2年半ほど事故物件に住んでいるが、今まで何もなかったのに、最近になって奇妙な現象が起こるようになった」 とのことだった。 夜中に赤ん坊の泣... -
国内ミステリー小説
折原一『異人たちの館』- この館は建物ではなく、文章でできている。
叙述トリックという言葉に、私は何度騙され、何度酔わされてきただろうか。 1980年代後半から90年代にかけての新本格ムーブメントは、論理の純度をひたすら高め、読者の盲点を突くというゲームを洗練させていった。 その流れの中で、クリスティ『アクロイ... -
読書日記
本物の横溝正史を浴びる幸せ – 『死仮面』オリジナル版という名の劇薬【読書日記】
横溝正史の金田一耕助シリーズといえば、ミステリ界ではもはや語り尽くされた感があるけれど、この『死仮面』だけは、ファンにとって極めて特殊な、あるいはもどかしい存在であり続けてきた。 昭和24年の連載当時、雑誌の一部が行方不明になってしまったせ... -
短編集
『舞踏病』- 老人が踊り出すとき、御手洗潔の推理も踊る【御手洗潔のダンス】
島田荘司といえば、言わずと知れた新本格ミステリの開祖。 その代表作である『占星術殺人事件』や『斜め屋敷の犯罪』など、ぶっ飛んだトリックと壮大な仕掛けで読者を驚かせてきた。 でも、長編だけがすごいわけじゃない。むしろ、彼の本質がぎゅっと詰ま... -
海外ミステリー小説
『オランダ靴の秘密』- 純粋論理型ミステリの最高峰。一足の靴から始まるエラリー・クイーンの設計美【傑作小説エッセイ】
エラリー・クイーンについて語るとき、やっぱり初期の「国名シリーズ」は避けて通れない。 舞台のユニークさ、フェアな手がかり、ミステリとしての構造美、そしてあの名物「読者への挑戦状」。これらすべてが揃っていて、黄金時代ミステリの華やかさとスト...
