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【自作ショートショート No.43】『理想の惑星』
「艦長、そろそろ目的の惑星に到着します」 「うむ。事前調査では、特に危険はなさそうだったが、何があるか分からない。無事に着陸するまで、気を抜かないでくれたまえ」 「了解!着陸準備に入ります!」 一隻の宇宙船のコクピットでは、若い操縦士とあご... -
【自作ショートショート No.6】『セケルの加護』
由美は涙をこらえて夜道を急いだ。 団内オーディションの帰りだった。 悔しくて仕方なかった。なぜ私ではなく瑞希が主役に選ばれたのだろう、と。 由美は、顔もスタイルも演技力も瑞希より自分の方が上だと思っていた。それだけに今日はプライドをひどく傷... -
【自作ショートショート No.42】『世紀の大発見』
レガ氏は考古学者を生業としており、フィールドワークとしてこれまで数えきれないほどの発掘調査に携わってきた。 しかし世紀の大発見などなかなかあるものではない。 いつか歴史を覆すような発見をしたい、そう思いながら今日も退屈な発掘作業を行ってい... -
【自作ショートショート No.34】『第一回宇宙対抗大食い選手権』
デイブは地球人代表として、スピカ星にやってきた。 代表者に選ばれたのは他に9人、みんな彼と同じ巨漢の持ち主だ。 それもそのはず、彼らはこの星で開催される大食い大会に出場するため、はるばる地球からやってきたのだから。 事の始まりは一か月前のこ... -
【自作ショートショート No.17】『路地裏のレストラン』
「なぁ、知ってるか?路地裏のレストランの話」 大柄で太めの男が、半分ほどになったタバコをふかしながら言った。 その正面では、小柄な男が、目を細めながらタバコに火をつけている。 「路地裏のレストラン?なんだよそれ」 「繁華街の北側にある路地裏... -
【自作ショートショート No.14】『誘拐』
犯罪に美学や切実な事情があるなどというのは、小説や映画の世界の話に過ぎない。 いや、それは過言かもしれないが、現実に起こる犯罪の九分九厘はどうしようもない所以によって引き起こされたものだ。 この場合の犯罪というのは、不注意やそれと知らずに... -
【自作ショートショート No.38】『理想の恋人』
若者に向けて、ある画期的なロボットが開発された。 それは簡単な設定をするだけで、理想の恋人に変身するというロボットだった。 見た目は人間そのもので、感情も持っている。 そのうえ、ロボットだから年は取らない。 恋人もおらず一人寂しい人生を送っ... -
【自作ショートショート No.11】『歴史的発明』
N博士はこの一ヶ月で一躍世界の億万長者の仲間入りを果たした。 長年研究してきた透明人間になれる薬を遂に商品化し販売したところ、爆発的なヒットと相成ったのである。 実のところ、この薬は軍隊にだけ提供するという考えもあったのだが、日本出身の生... -
【自作ショートショート No.16】『現実的な不老不死、または最悪の地獄について』
A県の山奥にある、とある研究所。 ここでは不老不死に関する実験が行われていた。 研究所に在席しているのは、S博士とその助手の男だけ。 小さな研究所ではあったが、博士の優れた才能により、不老不死の研究は着実に進んでいた。 「これより本日の実験... -
【自作ショートショート No.32】『働かない子供たち』
「ハッ、ハックション!」 自分のくしゃみの音で目が覚めてしまった。窓の外はまだ暗い。 枕元にあった時計を手に取ると、僕は一度ブルッと身震いをしてから、大声で母親を呼んだ。 「おーい、寒いじゃないか」 そのまま布団に縮こまって耳をすませていた...