『優等生は探偵に向かない』- 失踪事件をソーシャルメディアで追う斬新なミステリシリーズ二弾

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女子高生のピップは、友達から「失踪した兄ジェイミーを探してほしい」と頼まれる。

ジェイミーは成人しており、今までも何度か家を出たことがあるため、警察はまともに取り合ってくれないのだ。

ピップは、前回の事件で危険な目に遭ったことから及び腰だったが、友人のために力を貸すことにする。

関係者に話を聞くのはもちろん、ネットの音声コンテンツやSNSといったソーシャルメディアも駆使。

時にはダミーアカウントを作り、時には秘密のパスワードを解読しながら、徐々に真相に近づいていくが……?

読み始めたら止まらない、女子高生が現代テクノロジーを生かして難事件に挑む、斬新なミステリー!

目次

今までにない捜査方法が面白い

『優等生は探偵に向かない』は、イギリスの女子高生ピップを主人公とした青春ミステリー第二弾です。

自由研究には向かない殺人』の続編にあたり、こちらではピップは少女失踪事件を追い、犯人と対峙して見事に真相を暴きました。

そして今作では、友人からの依頼で彼女の兄ジェイミーの失踪事件を追います。

前作同様、イマドキの女子高生らしい様々なソーシャルメディアを使って捜査するところが見どころですよ。

たとえば、音声コンテンツのポッドキャスト。

これはWEBラジオの一種で、前回の活躍でちょっとした有名人になっているピップは、配信によって多くのリスナーを集めることができます。

それを利用して、ジェイミーについて情報収集するのです。

またインスタグラムでも、呼びかけると多くのフォロワーが情報を提供してくれます。

捜査が進むたびにピップが進捗を配信し、リスナーやフォロワーから新たな情報が届くので、そのやり取りに読み手はワクワク!

ネット民の力を借りて、少しずつ手掛かりを掴んでいくところがいいですよね。

プロの探偵によるキレッキレな捜査とは一味違っていて、良い意味での泥臭さがあり、読んでいてドキドキします。

またフィットビット(フィットネスなどで使う、健康管理用のデバイス)も利用し、歩数や心拍数からジェイミーの足取りを追うのですが、こういうところも斬新で興味深いです。

でも良い事ばかりではなく、ソーシャルメディアだからこその怖い点もあります。

たとえば、ジェイミーがインスタで連絡を取り合っていた「レイラ」に、ピップがダミーアカウントで接触するシーン。

レイラから返信が来るのですが、その内容がなんと、

「ハロー、ピップ。近づいてきたわね」

これですよ、これ!

ダミーアカウントなのに、ピップの正体は明かしていないのに、なぜか名前も捜査の内容もバレているという恐怖!

このように『優等生は探偵に向かない』には、現代的なスリルや面白味がたっぷり。

常にリアリティを感じながら楽しめます。

辛くても、友達と正義のために

『優等生は探偵に向かない』のもうひとつの見どころは、ピップが懸命に頑張る姿です。

ピップは今回のジェイミー失踪事件の捜査に、最初は乗り気ではありませんでした。

前作『自由研究には向かない殺人』で本当に大変な思いをし、周囲に心配をかけてしまったからです。

また前作のピップの活躍をやっかむ人々も多く、「全てはピップの自作自演ではないか」なんて言われたりもします。

女子高生が危険な目に遭ったり、周囲から否定されたり嫌な目で見られたりするのは、とても辛いことだと思います。

それでもピップは、友達のために、正義のために、勇気を出して事件を追うのです。

すごく良い子なので、読みながらどんどん応援したくなりますし、時には慰めたくなります。

でも物語は、そんな彼女にさらに追い打ちをかけます。

なんと前作で逮捕された犯人が、裁判の結果、無罪放免になってしまうのです!

あんなにもひどいことをした犯人なのに、あんなにも危ない目に遭いながら解決したのに(詳しくは、前作『自由研究には向かない殺人』をどうぞ!)、こんな仕打ちってないです……。

ピップは黙っていられず、怒りを自分なりの方法でぶつけます。

その様子がなんとも辛そうで、健気で、読んでいて胸を打たれます。

このようにピップは、幾度も辛い目に遭い理不尽な思いをしますが、その都度乗り越えて前に進んで行きます。

その姿がとても印象的で、読み手に爽やかな感動を与えてくれる作品ですので、ぜひ読んでみてください。

英国でも日本でも大絶賛されている作品

『優等生は探偵に向かない』の作者・ホリー・ジャクソンさんは、前作『自由研究には向かない殺人』で作家デビューした新鋭の作家さんです。

2019年に刊行されてから、いきなり英米でベストセラーとなり、翌年にはブリティッシュ・ブックアワードのチルドレンズ・ブック・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

日本語版は2021年に刊行されたのですが、やはり怒涛の勢いで売れて、なんと刊行直後から6ヶ月連続で重版。

さらに「ミステリが読みたい!」第1位、「このミステリーがすごい!」第2位、などなど数多くのランキングでベスト3入りしました。

これだけ脚光を浴びた作品ですから、その続編にあたる『優等生は探偵に向かない』も、面白くないはずがない!

前作以上に様々なツールが登場しますし、ピップに降りかかる困難や悲劇もますますグレードアップ。

汗も涙も流しながら突き進んでいく様子は、つい声援を送りたくなるほど読者の胸を熱くさせてくれます。

等身大の主人公が奮闘するタイプのミステリーが好きな方には、本当におすすめの作品ですよ!

また、2023年には次回作が刊行される予定になっています。

きっと、ピップにとってさらに大きな試練となる出来事が起こりますし、今作で解決しなかったいくつかの点(例の犯人がその後どうなるのか、など)も描かれると思います。

第三弾も大いに読者の血を滾らせてくれるはずですので、今から楽しみですね!

著:ホリー・ジャクソン, 翻訳:服部 京子
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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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