人気記事
-
米澤穂信『冬期限定ボンボンショコラ事件』-シリーズ最大の事件を描く、四部作掉尾を飾る冬の巻
小鳩と小佐内は、平穏無事な日々を過ごすために小市民を目指している高校3年生。 大学受験を控えた12月のある日、小鳩が轢き逃げに遭う。 小鳩は迫ってくる車から小佐内を体当たりで逃がし、自分が轢かれてしまったのだ。 脳震盪に全身打撲、右足の骨折に... -
阿津川辰海『午後のチャイムが鳴るまでは』- 本格ミステリ大賞受賞作家の最高到達点
九十九ヶ丘高校のある日の昼休み、2年の男子ふたりが体育館裏のフェンスに空いた穴から密かに学校を脱け出した。 タイムリミットは65分、ラーメンを食べるという彼らのミッションは達成できるのだろうか? 文化祭で販売する部誌の校了に追いつめられた文... -
2025年6月に読んで特に面白かった小説7冊 – 小倉千明『嘘つきたちへ』ほか
今月は25冊本を読んだ。 その中から「特に」面白かったおすすめ小説を7作品に絞ってご紹介するよ。 小倉千明『嘘つきたちへ』 小倉千明『嘘つきたちへ』は、「嘘」をテーマにした5編から成る短編集だ。デビュー作ながら第1回創元ミステリ短編賞を受賞して... -
島田荘司『ローズマリーのあまき香り』- 死してなお踊り続けたバレリーナの謎を御手洗潔が解き明かす
1977年、マンハッタンのバレエシアターでの公演中、主役のクレスパンが何者かに殺された。 調べによると、彼女の死亡推定時刻は二幕と三幕の間。 しかし奇妙なことに、彼女は三幕以降も舞台に上がり、最後まで踊りきったとのこと。 では死亡推定時刻が間違... -
辻村深月『傲慢と善良』- 忽然と姿を消した婚約者に隠された秘密とは
婚活アプリで出会い、2年の交際を経て婚約した西澤架と坂庭真実。 ところが一緒に暮らし始めたある日、真実が唐突に姿を消した。 架が贈った婚約指輪が部屋に残されていたことから、警察はこの失踪を事件ではなく他の男との駆け落ちではないかと仮定した。... -
川上未映子『黄色い家』- 善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作
2020年、惣菜店に勤め“普通の暮らし”を送る主人公・花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。 60歳となっていた黄美子は、若い女性に対する監禁・傷害の罪に問われているのだった。 その記事を読んだことで、20年前の忘れていた記憶を思い出す花──17... -
滝川さり『ゆうずどの結末』- 少しでも読んだら呪い殺される、禁忌のホラー小説
大学の文芸サークルに所属する菊池と日下部は、メンバーの宮原が飛び降り自殺するところを目撃した。 血溜まりに沈んでいく彼女の遺体のそばには、ホラー小説『ゆうずど』が落ちていた。 彼女は最近、「紙の化け物が見える」と悩んでいたらしいが、それと... -
『8つの完璧な殺人』- 古典ミステリーの手口を模倣したかのような連続殺人事件
ミステリー専門書店を営むマルコムのもとに、FBIの女性捜査官グウェンがやって来た。 10年前にマルコムがブログで紹介した、巧妙かつ成功確実な殺人を描いた犯罪小説を8作品と、似た手口の連続殺人事件が起こっているという。 グウェンは、犯人がマルコム... -
矢樹純『マザー・マーダー』- 全方位に仕掛けられた罠に、あなたは何度も騙される
ある日、中古住宅に引っ越してきた瑞希は、来月で1歳半になる陽菜の育児で忙しい日々を送っていた。 瑞季が住んでいる地域には高齢者の住人が多かったため、時間帯によっては車通りも少なく、静かな空間を作り出していた。 そんなとき、隣の家に住んでいる... -
『ブラックサマーの殺人』-『ストーンサークルの殺人』に続く期待の英国ミステリシリーズ第二作
今作は、M・W・クレイヴン著の英国推理作家協会賞最優秀長篇賞(ゴールド・ダガー賞)受賞作『ストーンサークルの殺人』の続編となる、ワシントン・ポーシリーズ第二作。 前作の『ストーンサークルの殺人』同様、物語の舞台はカンブリア州。 過去に主人公...