木爾チレン 『二人一組になってください』- 誰と組んで誰を見捨てる?特別授業という名のデスゲーム

  • URLをコピーしました!

   超おすすめ記事  

この記事を書いた人

悠木四季
ただのミステリオタク
年間300冊くらい読書するミステリ好き人間。

本を読み、本に人生を食われながら、今日もどうにか人間の形を保っている。

もはや読書は趣味ではなく、生活習慣であり、呼吸であり、呪いである。

幸せだね。
悠木四季は『Kindle Unlimited』を激推しする。
この記事で紹介している作品・関連ミステリーも読み放題対象かも?
悠木四季
四季
悠木四季
Kindle Unlimitedなら、対象になっている名作ミステリや話題の小説が読み放題だ。

初回なら30日間無料でお試しできる。

死ぬほど読書が捗るのでぜひチェックしてみてほしい。
※30日間の無料体験期間中に解約すれば費用は一切かかりません。

卒業式の朝、私立八坂女子高校の3年1組27名は、教室に入った途端、唖然とした。

黒板に奇妙なルールが書かれていたのだ。

【特別授業】

・二人一組になること。

・誰とも組めなかった者は失格。

・失格者が確定したら、残った生徒たちで次の回を始める。

・一度組んだ相手とは再度組んではいけない。

・これを繰り返し、最後まで失格せずに残った者が卒業式に出席できる。

これは特別授業という名のデスゲームだった。

仲の良い者同士で組めば済む話ではない。

メンバーが奇数だった場合、誰かがあぶれることになるからだ。

それに回ごとに相手を変えているうちに、いつかは組める友達の数も尽きるだろう。

何より彼女たちを震撼させたのは、「失格者には死が与えられる」というルール。

あぶれたが最後、人生そのものに幕を下ろすことになるのだ。

助かるには誰かと組まなければならず、そしてそれは誰かを失格させること、つまり死に追いやることを意味する…。

卒業を賭したこのデスゲーム。

最後に残り、無事に教室を出ることができるのは誰?

目次

緻密で豊富な心理描写

誰しも「ぼっち」になることを恐れて、気の合いそうな人と交流を持とうとした経験があると思います。

でもそれが、自分以外の誰かを「ぼっち」にする行為だとしたら?

しかも死なせてしまうとしたら?

『二人一組になってください』は、そんな状況に陥った女子高生27名を描いた物語です。

卒業式を控えた朝、突如としてデスゲームが始まり、27名は必死に生き残る術を探ります。

もしも二人一組になれなければ、胸のコサージュの仕掛けが作動して死ぬことになるため、文字通り死に物狂い。

友達の多い人気者は順調に二人一組になっていきますが、友達が少なめの人は比較的良好な関係を築けていた人と組んだり、中には「友達だったと言える?」と疑問になるような相手と組む人も。

正真正銘の友達だったとしても、その人が既に他の相手と組んでしまっていた場合、断られます。

断る側も、相手が死んでしまうことを覚悟して断らなければなりません。

コサージュによってもたらされる死は、美しさも惨たらしさも鮮烈です…。

そんな極限のストレスと葛藤に苛まれた27名が、群像劇のようなスタイルで描かれるのですが、心理描写のリアリティがすごい!

「友達を死なせるのは嫌!でも自分が死ぬのはもっと嫌!」というエゴが交錯し、それぞれが命がけで組む相手を探します。

「あんな人と組むなんて死んでも嫌!」というパターンも出てきます。

人間関係における心理のバリエーションが豊富で緻密なので、読者はグイグイ引き込まれること間違いなし!

舞台が教室で馴染み深いため、感情移入しやすい点もポイント。

その分、ハラハラドキドキの度合いがすごいです!

これはいじめ?それとも…

27名はそれぞれ個性的なのですが、中でもとりわけインパクトがあるのが、水島美心。

美心は自他共に認める三軍女子で、体育の授業でペアを組む時にいつも余ってしまい、やむなく教師と組んでいる子。

別に嫌われているわけではなく、周囲と馴染めずにいたら、クラスの中でなんとなく出来上がっていったスクールカーストの最下位に定着してしまった感じです。

これって、いじめだと思いますか?

作中ではこの問いかけが度々行われるのですが、そのたび読者は考えさせられます。

悪意がなくても、周囲が無関心でいて、本人が疎外感や居心地の悪さを感じていたら、いじめになってしまうのでしょうか?

んな美心も、デスゲーム中にあぶれてしまった人からは「組もう」と誘われます。

もちろん我が身可愛さからの誘いです。

これって、本当に友達と言えるのでしょうか?

美心は、こんな関係を望んでいたでしょうか?

このように『二人一組になってください』では、「いじめと友達」について深掘りされています。

相手を利用するだけの「にわか友達」が次々に結成されていくのですが、その裏側にどんな気持ちが隠れているのか、読みながらハッとさせられることが多いです。

一見仲良さげな「二人一組」に潜む、残酷で恐ろしい人間関係。

一体誰がこれを乗り越え、無事に「卒業」できるのか。

ラストには、予想外のゲーム結果と大号泣の展開とが待っています。

身につまされる奥深いドラマ

『二人一組になってください』は、『みんな蛍を殺したかった』で大ブレイクした木爾チレンさんの作品です。

『みんな蛍を~』でもそうでしたが、木爾さんの心理描写は絶妙です!

押し寄せる不安、劣等感、自己否定。

そこから逃れるために己を磨いたり、勉学に励んだり、時にはマウントを取ることで安心したり、かえって自己嫌悪に陥ったり。

本書ではそういった心理が、27名の姿を通じて赤裸々に描かれています。

これらはヒューマンドラマとして興味深いのはもちろん、時として痛烈な皮肉となって、読者に自分自身の過去を思い出させます。

「あんなことをしてしまったな」

「こんな目にも遭ったな」

「もっと他にやりようがあったかも」

など、読者には色々な思いが渦巻き、読みながら胸が痛むこともあるかもしれません。

でもそれこそが、この作品の醍醐味だと思います。

過去を振り返り、いじめ、友達、無関心、信頼などを改めて見つめ直すことができるのです。

もちろん辛い内容ばかりではなく、安心感や温もりといった、人間関係のポジティブな部分も描かれています。

それらも含めて、とても奥の深い読み応えのある作品です。

デスゲーム物ですが、その枠では収まりきらない魅力がありますので、ぜひ!

この記事を書いた人

悠木四季
ただのミステリオタク
年間300冊くらい読書するミステリ好き人間。

本を読み、本に人生を食われながら、今日もどうにか人間の形を保っている。

もはや読書は趣味ではなく、生活習慣であり、呼吸であり、呪いである。

幸せだね。
Amazonの聴く読書『Audible(オーディブル)』で聴ける神ミステリ10選
① 綾辻行人『Another
② 有栖川有栖『月光ゲーム
③ 森博嗣『すべてがFになる
⑤ 今村昌弘『屍人荘の殺人
⑥ 殊能将之『ハサミ男
⑦ 青崎有吾『体育館の殺人
⑧ 知念実希人『硝子の塔の殺人
⑨ 夕木春央『方舟
⑩ アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった
悠木四季
四季
悠木四季
あの傑作ミステリを聴けるという奇跡!

私も利用しているけれど、読むのとはまた違った良さがある。

何より、寝ながら聴いたり、散歩中に聴いたりと便利すぎるのだ。

この10作品以外の名作もたくさんあるので、ぜひ一度体験してみてほしい。
※30日間の無料体験期間中に解約すれば費用は一切かかりません。
悠木四季は『Kindle Unlimited』をさらに激推しする。
この記事で紹介している作品・関連ミステリーも読み放題対象かも?
悠木四季
四季
悠木四季
Kindle Unlimitedなら、月額980円で500万冊以上が読み放題!

気になった本を片っ端から読めるのは本当に最高だ。

初回30日間は無料だから、ぜひ気軽に試してみてほしい。
※30日間の無料体験期間中に解約すれば費用は一切かかりません。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次