新着記事
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【自作ショートショート No.41】『善行ポイント』
自分のことだけを考える人間が少しずつ増えてきて、だんだん世の中がギスギスしてきていた。 犯罪も増えており、些細な喧嘩は毎日のようにあちらこちらで起こっている。 そんな世の中を憂えた政府は、善行カードなるものを作り、国民に配布した。 このカー... -
犬飼ねこそぎ『密室は御手の中』- 宗教施設で起きた密室殺人の謎に迫る
人里離れた山奥に、弱体化した新興宗教「こころの宇宙」の施設・心在院があった。 そこからさらに山を登ると瞑想室である掌室堂が存在するのだが、そこは昔修験者が消失したという逸話の残る場所でもあった―。 ある日探偵である安威和音は、取材と偽り「こ... -
『アルファベット荘事件』- トリックメーカー北山猛邦さんが贈る幻想ミステリ
巨大なアルファベットのオブジェがいたるところに置かれた『アルファベット荘』。 岩手県の美術商が所有するその屋敷には、オブジェの他に『創生の箱』と呼ばれるものが置いてあった。 『創生の箱』を所有したものはみな死ぬという不気味な伝説を持つ箱。 ... -
白井智之『死体の汁を啜れ』- 前代未聞の死体から始まる、新時代の本格ミステリ
豚の顔をした人間が死んでいる──。 なぜか人がよく殺されるこの町では、異常すぎる死体が発見される。 豚の頭を被った死体、頭と手足を切断された死体、胃袋が破裂した死体、死体の腹の中の死体……。 これらの事件の謎を解くのは、推理作家や悪徳刑事、女子... -
『ヨルガオ殺人事件』- 『カササギ殺人事件』の続編。極上の犯人当てミステリ
ミステリ編集者を辞めクレタ島でホテル経営をしていたスーザンの元に、イギリスで同じくホテル経営をしている老夫婦が訪ねてきた。 なんでも、8年前に彼らのホテルで起きた解決済みの殺人事件に関連して、ある秘密に気づいた彼らの娘が失踪してしまったの... -
『自由研究には向かない殺人』- 英米で大ベストセラーとなった謎解きミステリー
主人公の高校生ピップは、夏休みの自由研究の題材にある殺人事件を選ぶ。 ピップの町では5年前に女子高生が失踪する事件が起きており、女子高生の恋人が殺人の容疑者とされたが、彼は自殺してしまっていた。 彼の無実を信じるピップは、“失踪事件の捜査に... -
三津田信三『犯罪乱歩幻想』- 本格ミステリ大賞受賞の鬼才が乱歩に挑む
江戸川乱歩の小説世界に魅了された作者による、トリビュート5編に短編2編を加えたミステリ短編集。 “退屈病”に侵された青年が引っ越し先のアパートで体験する小さな異変の数々(「屋根裏の同居者」)。 赤い部屋に招かれたゲストが語る、猟奇的な話とその... -
麻耶雄嵩『夏と冬の奏鳴曲』- 発表当時から話題騒然の超問題作が新装改訂版で登場
真宮和音という美少女の魅力に取りつかれた6人が共同生活を営んだ「和音島」の生活は、当の和音の死で解散となっていた。 20年という歳月が過ぎたこの夏、故人をしのび和音島に集まった数人と、取材を頼まれた雑誌記者・如月烏有。 真宮の死後自殺した武藤... -
【自作ショートショート No.40】『 囚人』
「クックック。今度の新入りはどんな奴なんだろうな。まぁどんな奴だろうが、前みたいにイビり倒してやるだけだけどな」 国の最果て、最高レベルの警備が敷かれる刑務所の一室で、見るからに悪そうな丸刈りの男が独り言をつぶやいていた。 男は数年前に殺... -
【自作ショートショート No.39】『セールスマン』
閑静な住宅街を、スーツ姿の男が歩いていた。 男はあたりをキョロキョロと見まわしながら、一軒、また一軒と家を眺めては、首をひねりながら隣の家に向かって歩いていく。 どうやらこの男は、手に持ったバッグの中身を買ってくれそうな客を求めて、チャイ...