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自作ショートショート
【自作ショートショートNo.67】『犯罪のない国』
幼い頃に事故で両親を亡くしたエル氏は、ずっと孤独に生きてきた。 誰もがエル氏を見ると眉をひそめる。 それは醜い容姿ゆえのことだったが、誰からも相手にされず人を遠ざけているうちに、性格までひねくれてしまっていた。 容姿にも性格にも難があるとな... -
海外ミステリー小説
シヴォーン・ダウド『ロンドン・アイの謎』- 乗っていた観覧車から消えた少年の謎
人とは違った物の見方をする「症候群」の少年テッドは、ある日家族や従兄弟のサリムたちと一緒に大型観覧車ロンドン・アイに乗ることになった。 チケットを先に手に入れたサリムが最初に乗り、テッドは姉のカットと一緒に地上から見上げながら待っていた。... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.1】『訪問販売』
さびれた港町のはずれ。海沿いに並んだ平屋建ての中の一軒だった。 陽子は肉を切るのに疲れてそっと包丁を置いた。したたる汗を手の甲でぬぐった。 夏の潮風と一緒に魚を煮付ける良い匂いが漂ってきた。隣の濱田だろう。 現役漁師の家の夕飯はいつも陽子の... -
読書日記
『英国幽霊屋敷譚傑作集』- 19世紀の館に取り憑かれる。ヴィクトリア朝怪談アンソロジーの魅力【読書日記】
「イギリスには幽霊がつきもの」 こう言っても、あまり大げさじゃない。 イギリス旅行のパンフレットを開けば必ず出てくる「怪談ツアー」や「幽霊の出る館」。歴史が古いだけに、城や館の数も多く、そのどれもが「何かあっても不思議じゃない」雰囲気を漂... -
海外ミステリー小説
「思考機械」という生き物、ヴァン・ドゥーゼン教授を推したい -『思考機械の事件簿 1』
シャーロック・ホームズの爆発的な人気にあやかろうと、20世紀初頭には第二のホームズを生み出そうとする出版社が大量発生した。 読者は推理小説という知的娯楽の虜になり、各社はこぞってライバル探偵を生み出すべく筆を走らせた。 そうした中で登場した... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.68】『歪んだ愛』
大通りに面したオフィスビルの自動ドアが開き、女が現れた。 女はガードレールの切れ間で手を挙げた。タクシーが止まり、女を乗せて走り出す。 間違いない。今日で確実に女を仕留められる。俺は物陰から離れて目的地へ急ぐ。 今回の依頼主は冴えない中年の... -
国内ミステリー小説
井上悠宇『不実在探偵の推理』- 実体のない探偵とダイスで推理を構築する、斬新な謎解きミステリー
マンションの一室で、女性が手に藍の花を強く握りしめた状態で毒死していた。 そして彼女の恋人も、死を聞かされた後、後を追うように自殺してしまった。 なぜ彼女は、藍の花を持って亡くなっていたのだろうか。 そもそも彼女は自殺したのか、それとも何者... -
海外ミステリー小説
星空の下に浮かびあがる謎──『野外上映会の殺人』という名のミステリ愛好家の心をくすぐる夜
C・A・ラーマー氏が手掛ける『野外上映会の殺人』は、ミステリ愛好家の心をくすぐる魅力に満ちた一冊です。 オーストラリアの作家C.A.ラーマー氏による、人気の「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」シリーズの第三弾として、多くのファンに迎えられました... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.64】『傲慢な女』
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?それはもちろん私だわ。うふ」 そうよ、私はこの世の誰よりも美しいの。 でもこの美貌を維持するには、もっともっとお金が必要。 ううん、お金だけじゃないわ。私に釣り合うステキな王子様も必要よね。 マリアは... -
海外ミステリー小説
『危険な蒸気船オリエント号』- クリスティ愛好家の読書会、豪華クルーズで捜査に乗り出す
夜の海に浮かぶ豪華客船。 その甲板のどこかに、名もなき死の気配が忍び寄るとき、謎を解くのは名探偵ではなく、本を愛する小さな読書会の仲間たちです。 C・A・ラーマーの『危険な蒸気船オリエント号』は、そんな幻想と軽快さが見事に溶け合った、現代の...










