人気記事
-
国内ミステリー小説
島田荘司『異邦の騎士』- 魂を救う物語は、探偵小説の顔をしてやって来る【傑作小説エッセイ】
島田荘司の『異邦の騎士』を初めて読んだとき、自分がどんな気持ちになったのか、いまだに言葉にしづらい部分がある。 「泣けるミステリ」なんて安直な言葉は使いたくない。けれど、これは間違いなく心を揺さぶられた読書体験だった。そう簡単に忘れられる... -
海外ミステリー小説
ジェフリー・ディーヴァー『真夜中の密室』- どんな鍵でも開けて侵入する怪人との頭脳戦
ニューヨークでは、深夜に「ロックスミス(開錠師)」と名乗る怪人が女性インフルエンサー宅に侵入するという事件が相次いでいた。 厳重に鍵をかけた部屋に入り、寝ていた女性に危害を加えることなく下着と包丁だけを盗んで去って行くのだ。 現場に残され... -
国内ミステリー小説
伊坂幸太郎 『777 トリプルセブン』- 物騒な連中が集まるホテルで不運な殺し屋が大奮闘
ツキがなく、やることなすこと全て裏目に出てしまう殺し屋・七尾。 今回の依頼は、「ウィントンパレスホテル2010号室にいる父に、プレゼントの似顔絵を届けてほしい」という簡単な仕事だった。 さっそくホテルに向かう七尾だが、やはりツキのなさが祟り、... -
国内ミステリー小説
山沢晴雄『ダミー・プロット』巧妙な替え玉トリックに翻弄される、幻の長編ミステリー
ルポライターの香子は、庁舎勤めの大幹がホテルで女性と一緒にいるところを目撃し、証拠写真を撮って金をせびろうとする。 一方服飾デザイナーの涼子は、自分と顔立ちがそっくりなOLの初子に、替え玉になるよう頼む。 また商社マンの風山は、殺人容疑をか... -
国内ミステリー小説
紺野天龍『神薙虚無最後の事件』- いくつもの真相が興味をそそる多重解決ミステリー
大学で名探偵倶楽部に所属している白兎(はくと)と志希(しき)は、ある日道端で倒れそうになっていた唯を助ける。 彼女はミステリー作家・御剣の娘で、20年前に父が著したベストセラー『神薙虚無最後の事件』に残された謎を追っていた。 この本は実在の高校... -
国内ミステリー小説
三津田信三『犯罪乱歩幻想』- 本格ミステリ大賞受賞の鬼才が乱歩に挑む
江戸川乱歩の小説世界に魅了された作者による、トリビュート5編に短編2編を加えたミステリ短編集。 “退屈病”に侵された青年が引っ越し先のアパートで体験する小さな異変の数々(「屋根裏の同居者」)。 赤い部屋に招かれたゲストが語る、猟奇的な話とその... -
読書日記
『書店怪談』- ほんとうに読んでいいのか? 本に救われた私たちが、本に呪われる夜【読書日記】
書店っていうのは、なんだかんだいって、聖域みたいなものだったと思う。 賑やかな駅前の通りを抜けて、ドアを開けた先に広がる、紙とインクの香り、整然と並ぶ背表紙。あの空間は、疲れたときにふらっと立ち寄る避難所だった。 でも、岡崎隼人の『書店怪... -
読書日記
『ハンニバル・レクター博士の優雅なお料理教室』- 食べたくないのに食べてみたい、サイコパスを極めた料理本
誰だって一度は「ハンニバル・レクター」という名前を耳にしたことがあるはずだ。 映画『羊たちの沈黙』の名優ホプキンスが演じた、あの上品で残酷なカニバリスト。彼は殺人鬼なのにやけに知的で、丁寧な言葉遣いと美食への執着が妙に魅力的だった。 そん... -
海外ミステリー小説
チョン・ヘヨン『誘拐の日』- 韓国で話題沸騰の巻き込まれ型ミステリー!
この物語は、気弱な誘拐犯「ミョンジュン」と頭脳明晰な天才少女「ロヒ」の出会いから始まる。 ある日、娘の手術費用に困っていたミョンジュンは、誘拐を試みようとして一軒の豪邸に狙いを定めた。 しかし、目的地へ向かっている最中、豪邸から突如飛び出... -
国内ミステリー小説
荒木あかね『此の世の果ての殺人』- 人類の滅亡が確定した世界で起こる猟奇的な連続殺人事件
人類は、あと2ヶ月余りで滅亡することになった。 直径7kmを超える小惑星テロスが、地球に衝突すると判明したのだ。 世界中がパニックに陥り、特に衝突地点と予測されている日本の九州地方からはほとんどの人々が逃げ出した。 生き延びる可能性は皆無だが、...
