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読書日記
恒川光太郎20年目の異端作『ジャガー・ワールド』- 地獄の王国で、僕らは「生贄」だった【読書日記】
恒川光太郎と聞いてまず思い浮かぶのは、『夜市』のあの幻想的な切なさだとか、『秋の牢獄』の静かな異界感とか、そういう「短めだけど濃いやつ」だと思う。 私もそうだった。「恒川光太郎=短編」と、脳に刷り込まれていた。 だからだ。この『ジャガー・... -
国内ミステリー小説
恩田陸『薔薇のなかの蛇』- 英国の館で起きる怪事件を描く、理瀬シリーズ17年ぶりの最新長編
イギリスに留学中のリセ・ミズノはとあるパーティーに招かれる。 それは薔薇をかたどった“ブラックローズハウス”と呼ばれる館で催されるものであり、そこには貴族であるレミントン一家が住んでいた。 リセはパーティーに招いてくれた友人・アリスやその家... -
読書日記
『ハンニバル・レクター博士の優雅なお料理教室』- 食べたくないのに食べてみたい、サイコパスを極めた料理本
誰だって一度は「ハンニバル・レクター」という名前を耳にしたことがあるはずだ。 映画『羊たちの沈黙』の名優ホプキンスが演じた、あの上品で残酷なカニバリスト。彼は殺人鬼なのにやけに知的で、丁寧な言葉遣いと美食への執着が妙に魅力的だった。 そん... -
読書日記
『書店怪談』- ほんとうに読んでいいのか? 本に救われた私たちが、本に呪われる夜【読書日記】
書店っていうのは、なんだかんだいって、聖域みたいなものだったと思う。 賑やかな駅前の通りを抜けて、ドアを開けた先に広がる、紙とインクの香り、整然と並ぶ背表紙。あの空間は、疲れたときにふらっと立ち寄る避難所だった。 でも、岡崎隼人の『書店怪... -
国内ミステリー小説
結城真一郎『救国ゲーム』- 陰謀とテクノロジーが日本を襲う!新世代ミステリー
時は202X年、日本は地方の過疎化と少子高齢化により、経営破綻の危機に陥っていた。 そんな折、動画投稿サイトに謎の仮面人物パトリシアが現れ、テロを予告。 「日本政府は60日以内に地方を切り捨て、資本を大都市に集中させろ。さもなくば地方を無差別に... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.72】『娯楽依存症』
あるところにとても平和な国があった。 この国は働かなくても暮らしていくことができるくらい豊かだったので、国民たちはみんな毎日を楽しく遊んで暮らしていた。 子供はもちろんのこと、若者も老人もみんな仕事をしていないので、時間だけはたっぷりある... -
国内ミステリー小説
結城真一郎『名もなき星の哀歌』- 記憶の断片から真実を見つ出す、切なさの募る青春ミステリー
銀行員の良平と漫画家を目指す健太は、「店」で記憶を売買する裏稼業をしている。 人から記憶を買い取り、欲しがっている人に売るのだ。 ある日二人は、謎のシンガーソングライター・星名の歌を路上ライブで聴いた。 不思議と涙がこぼれた良平。 興味を抱... -
国内ミステリー小説
高田崇史『QED 恵比寿の漂流』- 対馬で連続殺人事件発生!川に海に流れてくる首無し死体の謎とは!?
長崎県対馬、浜に乗り上げた小舟で、首無し死体が発見された。 舟の中で死体は、首からどす血を大量に流し、半ば浸かるように仰向けに横たわっていた。 通報を受けた警察署の雁谷巡査長は、現場に赴き、開口一番に叫んだ。 「またかい」 雁谷が叫ぶのも、... -
国内ミステリー小説
『真珠郎』- 戦前の雑誌から飛び出した、横溝怪奇ミステリの原点
横溝正史(よこみぞ せいし)といえば「金田一耕助シリーズ」のイメージが強い人が多いと思う。 でも実は、その前段階で横溝の作風を決定づけた原点がある。 それが『真珠郎』だ。 1936年に雑誌『新青年』で連載され、翌年には単行本化されたんだけど、こ... -
海外ミステリー小説
『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』- スパイとマフィアが絡む大事件に、老人探偵たちが挑む
高齢者施設クーパーズ・チェイスに住む木曜殺人クラブのメンバーたちは、毎週木曜日に集まり、過去の未解決事件を推理して楽しんでいた。 その一人である元諜報員エリザベスのもとに、死んだはずの元夫ダグラスから連絡がきた。 どうやらダグラスは、二千...










