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櫻田智也『六色の蛹』- 優しさが胸に沁み入る、昆虫好きの探偵の温かなミステリー
昆虫を愛し、調査のために全国を旅している青年・魞沢泉。 心優しい彼は、旅の道中で事件に遭遇した時には、傷ついた人の心に寄り添いつつ、持ち前の洞察力で謎を解き明かしてきた。 今回も魞沢は、向かう先々で様々な出来事に巡り会う。 狩猟中のハンター... -
『堕ちた儀式の記録』-「これは本当にフィクションか?」って思った時点でもう遅い【読書日記】
最初に言っておく。この本は、小説じゃない。いや、小説なんだけど、たぶん違う。 ページをめくってると、物語を読んでるって感覚がどんどん薄れていって、「これは……どこかで本当に起きたんじゃないか?」と思えてくる。それくらい、読後感が不気味に残る... -
白井智之おすすめミステリー小説10選 – 「鬼畜」と「本格」の狭間で炸裂する、特殊設定ミステリの神
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潮谷験『ミノタウロス現象』- 突然怪物が現れた!撃ち殺すと中身が政治家で…!?
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須藤古都離『ゴリラ裁判の日』- 人の言葉を理解するゴリラが動物園を相手に裁判を起こす
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米澤穂信『可燃物』- 疎まれながらも捜査能力は抜群!葛警部の鮮やかな活躍を描いた短編集
群馬県警捜査第一課の葛(かつら)警部は、ぶっきらぼうで口数が少なく、上司からも部下からも慕われてはいないが捜査能力の高さで一目置かれている。 今回も葛警部は、数々の難事件に挑む。 スキー中に遭難した男が、なぜか崖下で刺殺体となって発見され... -
芦花公園『ほねがらみ』- 怪談収集家の元に寄せられた怖い話が実は……。
大学病院に勤める医者である「私」の趣味は怪談の収集。 手元に集まるものは意味不明で不気味な知人のメールや民俗学者の手記、インタビューのテープ起こしまで様々であった。 そんな奇妙な話に登場するのは呪われた村や手足のない体、白蛇の伝説など特別... -
【自作ショートショートNo.73】『行列のできる男』
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浅倉秋成『俺ではない炎上』- なりすまし被害で殺人犯にされたサラリーマンの逃亡劇
山縣泰介は、50代のサラリーマン。 それなりに出世しており、妻子もいて、順風満帆な日々……のはずだった。 それがもろくも崩れたのは、何者かが泰介になりすまして女性を殺害し、遺体の写真をTwitterでアップしたからだ。 ツイートはたちまち拡散され、炎...