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吉田恭教『龍のはらわた』- 十九年前の一家惨殺事件に繋がっていた恐ろしい陰謀とは
鏡探偵事務所の若き調査員・早瀬未央が失踪した。 早瀬の母親から捜索を依頼された探偵の槙野は、彼女に関する恐るべき事実を聞かされる。 それによると早瀬は、19年前に日野市で起こった一家惨殺事件の生き残りらしい。 その後伯母に引き取られて成長し、... -
荒木あかね『ちぎれた鎖と光の切れ端』- 無人島での殺戮と大阪での殺戮、二つの事件を繋ぐ鍵は?
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澤村伊智『ファミリーランド』- 近未来の技術に踊らされた人々をシニカルに描く短編集
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遠坂八重『死んだら永遠に休めます』- こんな真相、知りたくなかった。悪夢の社畜ミステリ
現代日本文学における注目すべきミステリー作品が登場しました。遠坂八重氏による『死んだら永遠に休めます』です。著者は2022年に『ドールハウスの惨劇』で第25回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビューした新進気鋭の作家であり、本作はその筆力を改め... -
凪良ゆう『汝、星のごとく』- 母親の呪縛に囚われた二人の純愛と試練とは
瀬戸内海の島で生まれ育った暁海(あきみ)は、夫の不倫に傷付いて立ち直れないでいる母親を支えながら高校に通っていた。 ある時、島に同い年の男の子・櫂(かい)が引っ越してきた。 櫂の母親は男性にひどく入れ込むタイプで、島に来たのも京都で出会っ... -
『短くて恐ろしいフィルの時代』- 国民が6人しかいない小国をめぐる奇想天外な物語
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西澤保彦『パズラー 謎と論理のエンタテインメント』- 謎と論理にとことんこだわったミステリ短編集
サラリーマン生活を経て、やっとの思いで小説家になれた日能克久。 高校の同窓会に出席するにあたり、幹事から衝撃の事実を聞くこととなる。 なんと交通事故で亡くなったと思っていたクラスメイト・梅木万理子が生きていたというのだ。 どうしてそんな勘違... -
神津凛子『サイレント 黙認』- 負の連鎖が忌まわしき悪夢を招く戦慄のオゾミス
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アリス・フィーニー『彼は彼女の顔が見えない』- 不仲の夫婦は閉ざされたチャペルで何を見たのか
夫婦として冷え切ってしまっているアダムとアメリア。 関係を見直すためにスコットランドへ旅行に行くが、道中も言い争いばかり。 しかも吹雪に見舞われてしまう。 ようやくたどり着いたチャペルは、古くて真っ暗で、まるでホラー映画のようだった。 引き...