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『ボタニストの殺人』- シリーズ最高傑作か。「毒殺」と「雪の密室」の二つの不可能殺人に迫る
英国の作家M・W・クレイヴン氏が手掛ける「刑事ワシントン・ポー」シリーズは、一度読み始めたら止まらない、中毒性の高い人気ミステリーシリーズとして確固たる地位を築いています。 その物語の中核を成すのは、型破りな言動の裏に揺るぎない信念を秘めた... -
潮谷験『伯爵と三つの棺』- 犯人は三つ子の中の誰?伯爵が迷推理を繰り広げる歴史ミステリー
時は18世紀後半、フランスで革命が勃発し、ヨーロッパは情勢が不安定。 そんな中、継水半島のとある小国で、元吟遊詩人のアダロが殺された。 アダロはフランスから帰国し、貴族の娘との間に生まれた三つ子の兄弟に会いに来たところだった。 三兄弟が伯爵か... -
清涼院流水『コズミック』- 本格ミステリ史上、最もバッシングを受けた鬼才の世紀末を揺るがした超問題作
清涼院流水氏のデビュー作『コズミック 世紀末探偵神話』は、1996年の発表以来、日本のミステリ界に激震をもたらし、今なお語り継がれる伝説的な作品です。その前代未聞のスケール、奇抜な設定、そして既存のジャンル規範を大胆に踏み越える内容は、熱狂的... -
寝舟はやせ『入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください』- 住み込み先で出会ったそいつは□□だった!
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渡辺優『私雨邸の殺人に関する各人の視点』- 複数の視点を組み合わせて真相を暴く新感覚ミステリー
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吉田恭教『MEMORY―螺旋の記憶』- 眠っていた過去を呼び覚ますと惨劇が待っていた
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島田雅彦『パンとサーカス』- 世直しのために政府の要人を標的にする若者たちの物語
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衣刀信吾『午前零時の評議室』- 法廷×デスゲーム×本格ミステリ×どんでん返し
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芦花公園『異端の祝祭』- カルト教団の不気味な背景に迫る新感覚ホラー
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