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読書日記
『毛糸のズボン』- 焼け跡から蘇った恐怖。直野祥子のトラウマ少女漫画に飲み込まれて
「幻の一冊」という言葉はよく使われるけど、直野祥子『毛糸のズボン』ほど、この言葉がぴったりくる本も珍しい。 筑摩書房から『毛糸のズボン』が復刻されたと聞いたとき、正直「まさか」という気持ちになった。だって、この作品群は阪神・淡路大震災で原... -
国内ミステリー小説
『●●にいたる病』- その病は読者にも感染する。我孫子武丸から始まる地獄のアンソロジー
1992年に発表された我孫子武丸の『殺戮にいたる病』は、もはやただの小説ではない。あれは、ジャンルというジャンルの奥底にウイルスを仕込んでいった文学的病原体だ。 構造が異常、語りが異常、結末が異常。30年以上経っても、いまだにこの作品の症状は日... -
海外ミステリー小説
『恐るべき太陽』- 鬼才が放つクリスティへの挑戦作。最後に残るのは誰なのか
フランスの大人気作家ピエールが、セミナー「創作アトリエ」を開催した。 場所は南太平洋、太陽に照らされ輝くヒバオア島。 この小さな楽園に、セミナーの参加者として、5人の作家志望の女性がやって来た。 3万以上という応募者の中から選ばれた彼女たちは... -
国内ミステリー小説
有栖川有栖『日本扇の謎』- 記憶喪失の青年と美しい扇に隠された悲劇を追う
京都府北部の布引浜で、記憶を失い怪我をした青年が保護された。 名前も覚えておらず、財布も持っておらず、なぜこの場所にいたのかもわからない。 唯一持っていたのは、美しい富士山の絵が描かれた扇。 調べると著名な日本画家による特注の扇で、これによ... -
国内ミステリー小説
北山猛邦『月灯館殺人事件』- 七つの大罪により処刑される作家たちを描く本格ミステリー
作家デビュー後、二作目をなかなか執筆できずにいた弧木。 編集者から勧められて、「月灯館」に住み込んで原稿を書くことになった。 そこは本格ミステリー作家の天神が所有する館で、天神自身を始め、多くの作家が執筆しながら共同生活をしていた。 早速向... -
国内ミステリー小説
南海遊『永劫館超連続殺人事件』- 繰り返される悲劇を止めるため、魔女と幾度も死に戻る
山奥に佇む永劫館。 没落貴族ブラッドベリ家の長男であるヒースクリフは、3年ぶりにこの館に戻って来た。 ところが嵐による土砂崩れで、町と永劫館とを繋ぐ道が塞がれてしまう。 館に取り残されるヒースクリフと最愛の妹コーデリア、牧師や使用人たち、そ... -
国内ミステリー小説
逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』- 復讐と葛藤から見出した真の敵とは
1940年代、ソ連とドイツが血みどろの戦いを日夜繰り広げていた時代。 モスクワ近郊の農村が、突如ドイツ兵に襲撃される。 たった一人生き残った少女セラフィマは、強姦寸前のところを赤軍の女兵士イリーナに救われた。 「戦いたいか、死にたいか」 との問... -
読書日記
『マーブル館殺人事件』- ホロヴィッツがまたやってくれた!探偵小説を素材に作られた、最高の犯人当てミステリ【読書日記】
アンソニー・ホロヴィッツの名前を見るたびに、毎回うれしいため息が出る。 どうせまた面倒くさい仕掛けを仕込んできてるに違いない、と思いつつ、それでもページを開かずにはいられない。そして案の定、今回もとんでもないものを読まされてしまった。 『... -
国内ミステリー小説
井上 真偽『アリアドネの声』三重苦の女性を危険エリアからドローンで誘導する超高難度の救出劇
ハルオは少年時代、兄を助けることができなかった。 兄の向かった岩場がなんだか怖くて離れている間に、兄は海に落ちて死んでしまったのだ。 兄はきっと助けを求め、ハルオを何度も呼んだはずだった。 もう少し勇気を出して近くにいれば、声に気付き、状況... -
読書日記
荒木あかね『ちぎれた鎖と光の切れ端』- クリスティーへのオマージュを超えてゆく、新時代の本格ミステリが到達した場所
孤島、無人島、海上コテージ、過去の事件でつながった男女、逃げ場のない閉鎖空間。 本格ミステリが好きなら、もうこの時点で脳内で不穏なBGMが鳴り始める。 しかもそこに、舌を切り取られた死体だの、第一発見者が次の犠牲者になるだの、かなり物騒なルー...
