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アンソニー・ホロヴィッツ『死はすぐそばに』- 高級住宅地での殺人に、住民たちは揃って口を閉ざし…
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五条紀夫『私はチクワに殺されます』- 穴から見えるのは人の死?悶絶レベルの狂気のサスペンス
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倉知淳『世界の望む静謐』- 刑事コロンボの衣鉢を継ぐ、大人気倒叙ミステリシリーズ
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遠藤かたる『推しの殺人』- 人を殺したアイドルは事実を隠蔽できるのか?
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星新一の「最高傑作」についての結論 – 12編の神ショートショート
星新一氏は、その生涯において1000編を超えるショートショート作品を世に送り出し 、日本においてこの特異な文学形式を確立し、広く大衆に普及させた不世出の作家です。 この圧倒的な作品数と、その一つひとつに凝縮された独創的なアイデア、そして簡潔で... -
詠坂雄二『5A73』- 自殺者たちの体に刻まれた幽霊文字の謎とは
東京都内の地下鉄駅で、30代男性の飛び込みがあった。 遺書らしき文書やホーム内の防犯カメラの映像から、自殺で間違いなさそうだった。 しかし二人の刑事、山本警部と早川警部補が屍体を調べると、不審な点があった。 大腿部にタトゥーシールで「暃」と描... -
紺野天龍『迷宮館の殺人』- あのソードアート・オンラインが本格ミステリーに!命がけの犯人探しが始まる
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京極夏彦『百鬼夜行シリーズ』徹底解説|おすすめ・魅力・見どころ・読む順番
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弁護士エリスの事務所には、「合法的に恨みを晴らす」という裏メニューがあった。 一般的に素人が感情に任せて復讐しても、非合法的な手段だと警察沙汰になりかねず、合法的だと効果が薄くなるきらいがある。 しかし法律の抜け穴を熟知しているエリスなら...