自作ショートショート– category –
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【自作ショートショート No.31】『食糧危機』
「……次の議題は、食糧危機についてだったな。それでは、まずは状況報告を聞こうか」 世界的に有名な超高級ホテルの会議室では、なんとも重たい空気で会談が行われていた。 重厚感のある広いテーブルの周りでは、大国の首脳たちが、本音か建て前か、みんな... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.30】 『神のきまぐれ』
それは何の前触れもなく、突如、宇宙空間に現れた。 果てしなくどこまでも広がる宇宙にあって、あまりにも場違いなそれは、当初、帯状の何かに思われた。 広い宇宙にどこまでも伸びた帯状の何か、しかしよくよく観察してみると、それの両端はある地点でぶ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.29】『幸せテレビ』
テレビ局に勤めるアス氏が、しばらくぶりの休日に街をぶらぶらしていた時のこと。 道行く人々の顔が揃いも揃って元気のないことに気づいた。 誰もがみんな疲れた顔で下を向いて歩いているのだ。 大人も子供もおじいさんもおばあさんも。 元気なのは赤ちゃ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.27】『海色のドリンク』
太陽が傾き始めた頃、遠藤進は外回りの営業から会社へ戻った。 疲れた体中に汗が染み、今日も体中が悲鳴をあげている気がしていた。 暑い夏を通り過ぎ、日が沈むのが早くなってきたとはいえ、まだ最高気温は30度をこえるときがある。 ただ今日は気温が下が... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.26】 『記憶を提供します』
古城のような邸宅だった。 黄昏時の淡い光に黒く浮かび上がったそれは、否応のない威圧感を放っていた。 ヒロコは息をのんでそれを見上げ、やがて意を決して重々しい扉を叩いた。 老婆が姿を現し、黙ってヒロコを邸内に招き入れた。 長く暗い廊下を老婆の... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.25】『致命的失敗』
博士は激怒した。 愛する妻の浮気現場を目撃してしまったのだった。 それも浮気相手は博士の助手ではないか。信頼する二人の裏切りに、博士の怒りは頂点に達した。 「く、くそっ、あいつらめ、ワシを裏切ってこのままで済むと思うなよ。必ず報いを受けさせ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.24】『天気の神様』
あるところに、一人の少年がいた。 ごく普通の家庭に産まれ、ごく平凡に育っていったその少年は、ある日、自分がとある能力を持っていることに気づいた。 それは、自分の好きなように天気を操る力。 この少年が力を自覚したのは、小学校高学年になったころ... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.23】『ある商品』
ピンポーン。 チャイムの音が鳴り響き、家事に勤しんできた主婦は玄関に向かう。 玄関のドアについたのぞき穴から外を覗くと、そこには紺色のスーツを着たセールスマンと思しき男が立っていた。 「訪問販売かしら?」 主婦は出るかどうか迷っていた。 ピン... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.22】『前借り』
「くそっ!また負けちまった……」 悲鳴と歓声がひろがる競馬場では、中年の男が、悔しそうに馬券をクシャっと握りつぶしていた。 「うーん、俺も負けだ。八番の馬がもう少しがんばってくれたらよかったんだけどな」 「けっ、お前はさっきのレースで大勝ちし... - 自作ショートショート
【自作ショートショート No.21】『完璧な家』
街角にある家が売り出されていた。 なんでもその家は、近未来の技術を使った実験的な建物であるとのことだった。 そして『常に完璧な状態に保たれる非常に優れた家』というのが謳い文句であった。 どのようにして完璧な状態を保つのかというと、家の中を機...