読書日記– category –
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小松立人『そして物語のおわりに』- 孤島、館、バラバラ死体。極上のフルコースに混じった整いすぎない本格【読書日記】
小松立人『そして物語のおわりに』は、とてもまっすぐに本格ミステリをやっている小説だ。 しかも、ただ古典の型を大事に並べました、というだけでは終わらない。孤島、館、外部と切り離された状況、奇妙な死体、限られた容疑者たち。 こうして並べると、... -
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春海水亭『入居者全滅事故物件』- 盛りすぎ設定が最後まで本気で走り切る、暴走したホラーの怪作【読書日記】
まずタイトルからしてずるい。 『入居者全滅事故物件』。 こんなの、気にならないわけがない! 事故物件だけでも目を引くのに、そこへさらに入居者全滅まで乗せてくる。いくらなんでも盛りすぎだろう、と半分あきれながら手に取ることになるのだが、読んで... -
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饗庭淵『対怪異アンドロイド開発研究室2.0』- アンドロイド・ジョークの隙間に潜む、救いのない現実のズレ【読書日記】
怪異とアンドロイドを一緒に出されたら、そりゃ気になる。 しかも舞台は開発研究室で、タイトルの最後には2.0までついている。盛り方がかなり景気いい。こういう小説は、題名の勢いだけで走ってもおかしくないのだが、このシリーズはそこが違う。 饗庭淵『... -
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山白朝子『スコッパーの女』- 創作という名の呪い、あるいは発掘という名の加害、あるいは小説家という名の怪異について【読書日記】
山白朝子の新作が読める。その事実だけでうれしいはずなのに、同時に少し怖くもなる。 しかも今回は『スコッパーの女』である。題名だけでもう、何か掘り返してはいけないものを掘り返しそうな気配が濃い。 そして実際そうだった。かなり怖い。だが、本作... -
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蒼井碧『永久凍土の密室 マンモス殺人事件』- マンモスという大ネタを、論理で最後まで貫くという贅沢【読書日記】
蒼井碧『永久凍土の密室 マンモス殺人事件』。 この題名はずるいと思った。 マンモス殺人事件、である。こんなもの素通りできるわけがない。 しかも舞台は永久凍土、そして密室。巨大な絶滅動物、閉ざされた空間、時をまたぐ物語。 字面の段階でもうかな... -
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『犯人はキミが好きなひと』- 好きになった相手が犯人かもしれない、という最悪で最高の設定【読書日記】
阿津川辰海の新作を読むたび、この人はほんとうに「本格ミステリの気持ちいいところ」と「本格ミステリの嫌なところ」を両方知っている作家さんだな、と思う。 論理がきれいに決まる快感も知っているし、真相にたどり着くことが誰かを傷つける残酷さもよく... -
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『ホロボの神 泡坂妻夫拾遺集』- デビュー50周年の祝祭。泡坂妻夫のからくりは、いまも回り続けている【読書日記】
泡坂妻夫氏デビュー50周年記念刊行として、『ホロボの神 泡坂妻夫拾遺集』が出た。これはもう嬉しいとしか言いようがない! しかもただの記念本ではない。単行本には入っていても文庫化の機会を逃していた作品や、いわば幻に近いバージョンまで拾い上げた... -
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島田荘司『改訂完全版 奇想、天を動かす』- 傑作再び。十二円の怒りが、やがて天を動かすまで【読書日記】
島田荘司『改訂完全版 奇想、天を動かす』が3月に出たので、これは改めて読まねばと思って手に取った。 もともと強く印象に残っていた作品ではあったのだが、読み返してみると、やはりかなり変わった小説である。 何が変わっているのかといえば、使ってい... -
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南海遊『檻神館双極子殺人事件』- 館も暗号も双子も密室も盛りだくさんなのに崩れない、最も過激な館ミステリ【読書日記】
本格ミステリを読んでいていちばん楽しい瞬間のひとつは、「そんな無茶な設定を本当に論理で着地できるのか」と半信半疑で見ていたものが、最後には妙にきれいな形で収まってしまうときである。 奇抜なのに筋が通っている。過剰なのに崩れない。私はあの感... -
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北沢陶『花檻の園』- 見惚れた瞬間にもう逃げられない、美しさという檻の物語【読書日記】
北沢陶(きたざわ とう)という作家は、出てきたときからずっと気になる存在だった。 デビュー作『をんごく』で横溝正史ミステリ&ホラー大賞の三冠を達成、という時点でかなり強いのだが、実際に読んでみると、話題性だけではまったくなかったことがよく...
