読書日記– category –
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読書日記
林譲治『ゲノム・トーカー』- 生命の設計図が宇宙へのメッセージになるとき【読書日記】
宇宙人が地球にやってくる、なんて話はSFの王道中の王道である。 巨大円盤が空を覆う。謎の信号が届く。人類代表が緊張しながら交信する。そこにはいつだって、「向こうは何者なのか」「こちらはどう見られているのか」というゾクゾクがある。 だが林譲治... -
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久永実木彦『雨音』- 惨劇のあとに鳴り続ける音を描いた、痛切な喪失の物語【読書日記】
日常が壊れる音というものがある。 それは爆発音かもしれないし、ガラスの割れる音かもしれない。あるいは、何の前触れもなく鳴り響く銃声かもしれない。 久永実木彦『雨音』は、その音を聞いてしまった人間たちの物語である。しかも本作が恐ろしいのは、... -
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阿津川辰海 『デッドマンズ・チェア』- コトダマ犯罪捜査がたどり着いた、異能力本格ミステリの次なる地平【読書日記】
異能力と本格ミステリは、相性が悪そうで、実はめちゃくちゃ相性がいい。 なぜなら、本格ミステリとはそもそも「何ができて、何ができないのか」を見極めるジャンルだからだ。 密室なら、出入りできたのか。アリバイなら、その時間に移動できたのか。毒殺... -
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くわがきあゆ『先生と罪』- 学校という聖域に、いちばん嫌な種類の罪が棲んでいる【読書日記】
「助けて、あおられてる」 この一言から始まる時点で、もう空気が最悪である。最高に嫌な入口だ。 嫌なのに、気になる。気になるのに、できれば関わりたくない。なのにページの向こうから、こちらの袖をぐいっと引っ張ってくる。 この引力が、くわがきあゆ... -
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『天狗岳怪死事件まとめファイル』- そのファイルを開いた瞬間、もう事件の外側にはいられない【読書日記】
山の怪死事件。 失踪した登山サークルの男女六人。 警察が早々に幕を引いた事故扱い。 そして、一年後に浮かび上がる新聞記事の小さな食い違い。 もう、この並びだけで嫌な予感(ワクワク)がする。しかも舞台は八ヶ岳連峰の天狗岳である。 天狗岳。名前か... -
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『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』- 死の向こう側ではなく、生きた時間の内側を覗き込むキング中編の凄み【読書日記】
https://300books.jp/stephenking/ スティーヴン・キングという作家を、いまだに「ホラーの帝王」という肩書きだけで語るのは、さすがにもったいないのではないかと思う。 もちろん怖い。そりゃ怖い。墓の下からスマホが鳴るなんて、普通に考えて嫌すぎる... -
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下村敦史『ネタバレあり 双紋島の殺人』- 先に真相を見せられて、それでも迷う反則級の本格ミステリ【読書日記】
ミステリ小説にとってネタバレとは本来、吸血鬼にとっての日光みたいなものだ。 浴びた瞬間に楽しみが灰になる。犯人、トリック、動機、死者の数、隠された過去。 そういうものは最後まで隠されているからこそ、こちらはページの上で疑心暗鬼になり、犯人... -
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小田雅久仁『禍』- 怖いのに目をそらせない、奇妙に美しい災厄【読書日記】
新刊情報を追っていて小田雅久仁の名前が見えると、私の中の空気が毎回ちょっと空気が変わる。 待ってました、という気持ちもあるし、今度はどこまで連れていかれるのかという妙な緊張もある。 この人はたくさん書くタイプではない。むしろ寡作で、そのぶ... -
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トマス・リゴッティ『悪夢工場』- 世界そのものが悪夢として立ち上がる、文学的ホラーの黒い到達点
ホラー小説には、読んだあと電気を消すのが嫌になるタイプの作品がある。 背後が気になる。カーテンの隙間が気になる。廊下の暗がりが、やけに意味ありげに見えてくる。 まあ、それはそれで困るのだが、まだ生活に戻れる恐怖ではある。 だがトマス・リゴッ... -
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月影朔『とある村の奇妙な求人広告』- 求人票が異界への入口になるモキュメンタリーホラー【読書日記】
求人広告というものは、本来であれば現実的な情報である。 勤務地、勤務時間、給与、福利厚生、必要なスキル。そこに並んでいるのは、あくまで生活のための条件だ。 時給はいくらか。交通費は出るのか。週何日から働けるのか。怖い要素など普通はない。む...
