短編集– category –
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芦沢央『あなたが正しくいられたとき』- いいことをしているつもりの怖さについて【読書日記】
芦沢央は、人が善意の顔をしたまま誰かを傷つけてしまう瞬間を、ミステリの仕掛けで鮮やかに見せてくる。 どこかで視界がひっくり返されるかもしれない。信じていた人物の印象が変わるかもしれない。何気なく読んでいた場面が、あとから別の意味を持って迫... -
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『フレドリック・ブラウンSF短編全集2 星ねずみ』- 小さなねずみが宇宙へ飛び、活字機械が世界を書き換える【読書日記】
フレドリック・ブラウンの短編を読むと、毎回脳内に小さな爆竹を投げ込まれたような気分になる。 しかも、その爆竹がやたら精密に作られている。導火線は短い。火花は一瞬。 だが、鳴ったあとに残る煙の形が妙に忘れがたい。本来、短編SFってこういう危な... -
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米澤穂信『倫敦スコーンの謎』- 甘いお菓子の皿には、苦い論理がきれいに盛られている【読書日記】
日常の謎という言葉には、どこか軽やかな響きがある。 だが〈小市民〉シリーズに限って言えば、その日常は案外やわらかくない。 表面は甘く整えられていても、ひと口かじると、人間の見栄や憧れや意地が顔を出すからだ。 小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、小市民... -
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筒井康隆『ジャックポット』- 言葉が暴走し、死の川辺までたどり着く前衛短編集【読書日記】
小説というものは、ふつう何かを伝えるために言葉を使う。 物語を進める。人物を描く。世界を立ち上げる。まあ、だいたいそういうものだと思っている。 ところが筒井康隆『ジャックポット』を開くと、その前提がいきなり足元から外される。 言葉が意味を運... -
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『法月綸太郎の不覚』- 令和の名探偵は、まだ論理で世界に抗えるのか【読書日記】
名探偵という存在は、もしかすると現代社会でいちばん肩身の狭い職業なのかもしれない。 いや、もちろん現実に「名探偵」という職業欄があるわけではない。 だが本格ミステリの世界では、事件が起これば名探偵が現れ、警察が拾いきれなかった違和感を拾い... -
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『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』- 死の向こう側ではなく、生きた時間の内側を覗き込むキング中編の凄み【読書日記】
https://300books.jp/stephenking/ スティーヴン・キングという作家を、いまだに「ホラーの帝王」という肩書きだけで語るのは、さすがにもったいないのではないかと思う。 もちろん怖い。そりゃ怖い。墓の下からスマホが鳴るなんて、普通に考えて嫌すぎる... -
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小田雅久仁『禍』- 怖いのに目をそらせない、奇妙に美しい災厄【読書日記】
新刊情報を追っていて小田雅久仁の名前が見えると、私の中の空気が毎回ちょっと空気が変わる。 待ってました、という気持ちもあるし、今度はどこまで連れていかれるのかという妙な緊張もある。 この人はたくさん書くタイプではない。むしろ寡作で、そのぶ... -
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トマス・リゴッティ『悪夢工場』- 世界そのものが悪夢として立ち上がる、文学的ホラーの黒い到達点
ホラー小説には、読んだあと電気を消すのが嫌になるタイプの作品がある。 背後が気になる。カーテンの隙間が気になる。廊下の暗がりが、やけに意味ありげに見えてくる。 まあ、それはそれで困るのだが、まだ生活に戻れる恐怖ではある。 だがトマス・リゴッ... -
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マルセル・シュオッブ『黄金仮面の王』- 博識が悪夢の仮面をかぶったら、幻想文学はここまで濃くなる【読書日記】
幻想文学にはときどき、何を食べたらこんなものが書けるんだ?と言いたくなる作家がいる。 マルセル・シュオッブは、まさにそのタイプだ。 歴史、神話、古文書、伝説、犯罪史、終末幻想、海賊、仮面、死体、顔の喪失、奇跡。材料だけ並べると、だいぶ物騒... -
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『呪いの☒☒』- 令和の呪いは、井戸からではなくインフラと紙と職場からやってくる【読書日記】
呪いという言葉を聞くと、古びた藁人形、丑の刻参り、封印された村の祠、絶対に開けてはいけない箱、みたいなものを思い浮かべがちだと思う。 もちろん私はそういうタイプのホラーも大好物だ。できれば旧家の蔵から、何かよくない巻物の一本くらいは出てき...
