国内ミステリー小説– category –
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小西マサテル『名探偵のままでいて』- 認知症の祖父の推理が光を放つ、日常系連作ミステリー
かつては聡明で小学校の校長だった祖父も、今では認知症で介護を受ける身。 それでも昔と変わらずミステリーが好きなようで、孫娘の楓が日常で起こった謎について話すと、知性がよみがえったかのように生き生きと謎解きをする。 書斎の椅子に腰かけ、フラ... -
三日市零『復讐は合法的に』- あなたの恨み、弁護士エリスが違法スレスレの手段で晴らします
弁護士エリスの事務所には、「合法的に恨みを晴らす」という裏メニューがあった。 一般的に素人が感情に任せて復讐しても、非合法的な手段だと警察沙汰になりかねず、合法的だと効果が薄くなるきらいがある。 しかし法律の抜け穴を熟知しているエリスなら... -
倉知淳『恋する殺人者』- 想うゆえに人殺す!ラブコメに潜む驚愕の本格ミステリー
大学生の高文が幼い頃から慕っていた従姉・真帆子が、石階段で落ちて亡くなった。 警察は事故死としたが、高文は数日前に真帆子から誰かに尾けられていると相談されており、事故ではなく他殺ではないかと疑う。 真相を突き止めるため、高文は高校時代の友... -
須藤古都離『ゴリラ裁判の日』- 人の言葉を理解するゴリラが動物園を相手に裁判を起こす
ゴリラのローズは高校生並みの知能を持っており、特殊なグローブを使った手話で人間と会話もできた。 アメリカの動物園で夫のオマリと幸せに暮らしていたが、ある日事件が起こった。 オマリの檻に4歳の子供が入り込み、動物園側は子供を守るためにオマリを... -
貴志祐介『梅雨物語』- 終わりの見えない報いを受け続ける人々を描いたホラーミステリー
元中学教師で俳句部の顧問を務めていた作田のもとに、かつての教え子・萩原菜央が訪ねてくる。 話を聞くと、どうやら双子の兄の龍太郎が、自費出版した俳句集を残して自殺したらしい。 菜央は兄が詠んだ俳句の意味を知りたくて、作田に解釈を頼みに来たの... -
市川 憂人『ヴァンプドッグは叫ばない』- 厳戒態勢が敷かれた都市で、変異ウイルスと殺人鬼に挑む
U国MD州で現金輸送車襲撃事件が発生し、犯人グループが逃走。 マリア・ソールズベリー警部と部下の九条漣は、犯人確保の応援のため州都フェニックス市に駆け付けた。 しかし真の目的は全く別で、連続殺人鬼・通称「ヴァンプドッグ」を追うことだった。 ヴ... -
水生大海『最後のページをめくるまで』これぞどんでん返しの真骨頂!ラストの衝撃が凄すぎる短編集
料理好きの葉月が包丁を研いでいるところに、元カレが訪ねてきた。 元カレは数年前に葉月の友人・加奈に手を出し、そのせいで別れることになったのだが、にもかかかわらず今更ヨリを戻したいと言ってきたのだ。 ところがそれは口実で、実は元カレはお金に... -
小川哲『君のクイズ』- クイズプレイヤーの思考やテクニックを体験できる知的遊戯ミステリー
クイズプレイヤーの三島はクイズ番組「Q-1グランプリ」で決勝に進出し、タレントの本庄と戦うことになった。 決勝戦は一対一の早押しクイズ形式で、7問を先に正解した方が優勝となる。 三島も本庄も善戦し、順調にポイントを重ねたところ、終盤でなんと6対... -
稲羽白菟『オルレアンの魔女』- 映画祭の町にセレブが集うとき、連続殺人の幕が上がる
ソプラノ歌手の天羽七音美は、新作オペラ『オルレアンの聖女』の主役に選ばれた。 「黒髪のジャンヌ・ダルク役」として大抜擢されたのである。 プロモーションのために、フランスのカンヌへと向かう七音美。 しかしそこで恐ろしい事件に巻き込まれてしまう... -
『霊魂の足』- 戦後の時代背景のもとで起きた事件に迫るミステリ短編集
本作は、昭和21年に起きた事件をもとに、終戦後まもなくの複数の出来事を描いた物語です。 隣客の古いトランクを入れ替える男を尾行して、行動の動機を探る謎解き物語『怪奇を抱く壁』や、読者のミスリードへと繋げる巧妙なトリックが仕掛けられた『緑亭の...