国内ミステリー小説– category –
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『交番相談員 百目鬼巴』- そのおばさん、尋常じゃない。『教場』の著者が描く新たな警察ミステリ【読書日記】
長岡弘樹(ながおか ひろき)という作家の名前を聞くと、まず思い出すのはやっぱり『教場』。 あの、警察学校を舞台にした緊張感たっぷりの物語は、多くの読者の心に残っているはず。そんな彼が次に選んだ舞台が「交番」だなんて、ちょっと驚きじゃない? ... -
五条紀夫『町内会死者蘇生事件』- 殺したはずのクソジジイが、生きてラジオ体操に現れた朝【読書日記】
「誰だ! せっかく殺したクソジジイを生き返らせたのは!?」 ――これがこの物語の第一声であり、読者への宣戦布告でもある。 こんなにパンチの効いた書き出し、なかなかない。 五条紀夫の『町内会死者蘇生事件』は、タイトルも設定もぶっ飛んでる。そのくせ... -
2025年6月に読んで特に面白かった小説7冊 – 小倉千明『嘘つきたちへ』ほか
今月は25冊本を読んだ。 その中から「特に」面白かったおすすめ小説を7作品に絞ってご紹介するよ。 小倉千明『嘘つきたちへ』 小倉千明『嘘つきたちへ』は、「嘘」をテーマにした5編から成る短編集だ。デビュー作ながら第1回創元ミステリ短編賞を受賞して... -
【徹夜本】読み始めたら止まらない、寝不足確実の超面白い一気読み小説50作品
睡眠は大切だ。 それは誰もが知っている。 睡眠不足が体に悪いことも、翌日のパフォーマンスに響くことも、頭ではしっかり分かっている。 しかし、夜更けに手に取った一冊の小説が、そんな理性を軽やかに飛び越えてしまう瞬間がある。 「そろそろ寝なきゃ... -
結城真一郎『どうせ世界は終わるけど』- 希望という名の小惑星が落ちてくる、そのとき僕らは何をするのか。【読書日記】
結城真一郎という名前を聞いて、まず思い出すのはあの鋭利な〈どんでん返し〉と、社会を映す冷徹な視線だ。 『#真相をお話しします』の読後に味わう、軽いめまいのような感覚。ミステリの文法を知っている者ほど深くえぐられる“黒結城”の毒。それは確かに... -
麻耶雄嵩『メルカトル鮎シリーズ』徹底解説|おすすめ・魅力・見どころ・読む順番
麻耶雄嵩氏は、日本のミステリ界において、常に挑戦的な「問題作」を世に問い続けてきた、極めて稀有な作家です。 読者の予測を鮮やかに裏切り、既存の枠組みを意図的に攪乱するその作風は、しばしば「異端」と評されながらも、ひときわ強い光を放ち続けて... -
飛鳥部勝則『堕天使拷問刑』- 禁断の問題作にして幻の傑作、再び。
飛鳥部勝則氏は、1964年に新潟県に生まれ、新潟大学大学院教育学研究科を修了された異色の経歴を持つ作家です。 1998年、『殉教カテリナ車輪』にて第9回鮎川哲也賞を受賞し、以来、ミステリという形式の中に独自の美学と倒錯を織り込んだ作品群で、多くの... -
京極夏彦『百鬼夜行シリーズ』徹底解説|おすすめ・魅力・見どころ・読む順番
京極夏彦氏が『姑獲鳥の夏』で文壇に鮮烈なデビューを飾ったのは、1994年のことでした。 以来、「百鬼夜行シリーズ(あるいは京極堂シリーズ)」は、現代日本文学におけるひとつの異界として、多くの読者を魅了し続けています。 このシリーズが描き出すの... -
有栖川有栖『国名シリーズ』徹底解説|おすすめ・魅力・見どころ・読む順番
有栖川有栖氏は、現代本格ミステリの世界において揺るぎない地位を築き上げ、多くの読者を魅了し続けている作家です。 論理という名の美を、ひたむきに追い求めるその筆致は、まさに知の迷宮を描く職人芸の域に達しています。 とりわけ、「新本格ミステリ... -
井上夢人おすすめ小説10選 – 読後に“世界がズレる”作家、唯一無二の傑作選
現実と虚構の境目が、ふいに曖昧になる瞬間。 それは、井上夢人という作家の世界に足を踏み入れたときに訪れます。 緻密な構成、ユニークな着想、柔らかでありながら鋭さを帯びた筆致。 彼の小説は、ジャンルを横断しながらも一貫して「読む者の常識を揺さ...