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五十嵐律人『六法推理』- 法律知識で事件に挑む、学生版リーガル・ミステリ
法学部4年の古城は、大学内で無料法律相談を受け付けている。 ある日、経済学部3年の戸賀が相談しに来た。 「2年半ほど事故物件に住んでいるが、今まで何もなかったのに、最近になって奇妙な現象が起こるようになった」 とのことだった。 夜中に赤ん坊の泣... -
浅倉秋成『俺ではない炎上』- なりすまし被害で殺人犯にされたサラリーマンの逃亡劇
山縣泰介は、50代のサラリーマン。 それなりに出世しており、妻子もいて、順風満帆な日々……のはずだった。 それがもろくも崩れたのは、何者かが泰介になりすまして女性を殺害し、遺体の写真をTwitterでアップしたからだ。 ツイートはたちまち拡散され、炎... -
【自作ショートショート No.35】『記憶喪失の男』
「ん!?」 男はゆっくりと起き上がり、周囲を見回す。 「ここは……?」 見覚えのない部屋だった。男には自分がなぜそこにいるのか、全く記憶になかった。 室内は薄暗く、窓にはカーテンがかかっている。 「なんだここは?俺はいったい……」 なぜこんなとこ... -
【自作ショートショート No.34】『第一回宇宙対抗大食い選手権』
デイブは地球人代表として、スピカ星にやってきた。 代表者に選ばれたのは他に9人、みんな彼と同じ巨漢の持ち主だ。 それもそのはず、彼らはこの星で開催される大食い大会に出場するため、はるばる地球からやってきたのだから。 事の始まりは一か月前のこ... -
【自作ショートショート No.33】『実用的な掃除機』
『ゴミが消える掃除機ついに登場!』 カヨコはテレビから流れてきた声に、家事の手を止めた。 『ゴミを原子レベルにまで分解して消す画期的な掃除機「デリオ」新発売!髪の毛や埃、生ゴミはもちろん、家具や家電などの大型ゴミにも対応』 どうやら新型掃除... -
『チェスナットマン』-手首のない死体の側には、栗の人形(チェスナットマン)が残されていた
1989年10月31日、斧を使った一家惨殺事件の発生から、物語は幕を開ける。 凄惨な事件から長い年月が経ち、コペンハーゲン警察重大犯罪課の女性刑事である主人公のナヤ・トゥリーンは、パートナーのマーク・ヘスとともに、若いシングルマザーを狙った連続殺... -
辻村深月『傲慢と善良』- 忽然と姿を消した婚約者に隠された秘密とは
婚活アプリで出会い、2年の交際を経て婚約した西澤架と坂庭真実。 ところが一緒に暮らし始めたある日、真実が唐突に姿を消した。 架が贈った婚約指輪が部屋に残されていたことから、警察はこの失踪を事件ではなく他の男との駆け落ちではないかと仮定した。... -
『あれは子どものための歌』- 本格ミステリの興趣を巧みに織り込んだ、異色のミステリ連作集
美しい声の代わりに「賭けに必ず勝つ魔力」を手に入れたエミリア。 大金を稼ぐことが可能になったが、それゆえに父親が殺されたり仲間に恐れられたりと、うまくいかないことも増えた。 ある時エミリアは、上流階級のタシットと恋に落ち、結婚を意識する。 ... -
近藤史恵『ホテル・ピーベリー』- いわくありげな宿泊客が次々に死んでいく
小学校教諭だった木崎は、不祥事から退職した後、日々を無気力に過ごしていた。 ある日友人からハワイ島の小さなホテル「ピーベリー」を紹介され、興味を抱く。 そこは、一度利用したら二度目はないという、リピーターお断りのホテル。 さっそく泊まりに行... -
【自作ショートショート No.32】『働かない子供たち』
「ハッ、ハックション!」 自分のくしゃみの音で目が覚めてしまった。窓の外はまだ暗い。 枕元にあった時計を手に取ると、僕は一度ブルッと身震いをしてから、大声で母親を呼んだ。 「おーい、寒いじゃないか」 そのまま布団に縮こまって耳をすませていた...