刀城言耶シリーズの読む順番と魅力などを語りたい【三津田信三】

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三津田信三さんのミステリー小説「刀城言耶シリーズ」の順番やあらすじ、感想などをご紹介させていただきます。

ホラー小説が好き!

ミステリー小説も好き!

ならば三津田信三さんの「刀城言耶シリーズ」を読みましょう!

このシリーズはミステリー小説でありながらも、怪奇な現象や不思議な出来事、作品全体を通して不気味な雰囲気を取り入れた非常に怖くもあるシリーズなのです。

表紙絵や作品タイトルからもなんとなくイメージできちゃいますね。

なので普通のミステリー小説じゃ物足りない!って人にはぴったりな作品なのです!まあ私は普通のミステリー小説も大好きですがこのシリーズも大好きです!

安定して面白いので出来れば全て読んで欲しいのです〜。

どうぞ参考にしてください(=゚ω゚)ノ

目次

1.三津田信三『厭魅の如き憑くもの』

シリーズ一作目。

戦争後から数年経過した日本の山奥に神々櫛村という村が存在しており、そこに立ち並ぶ谺呀治家と神櫛家は歪な関係になっていた。

そんな村に怪奇幻想作家の刀城言耶が訪れ、眼の前で次々と起こる連続怪死事件の真相へと迫っていく。

これが原点。ミステリーとホラーが両立した本格ミステリ

刀城言耶が村を訪れてしばらくすると、村の住民が次々とカカシ様の格好で死んでいるのが発見される……、というワクワクする展開に。

村に古くから伝わっている不可思議な伝承「カカシ様」が一体何なのか、得体のしれない恐怖として描かれており読んでいるだけでゾワゾワします。

また村に住んでいる谺呀治家と神櫛家の関係が微妙で、どこか影が見える感じで描かれているのも怖いポイントですね。

最後には刀城言耶が発生した一連の事件に対する真相を披露し、しっかりとしたミステリーとして締めくくっているところも見どころになっています。

ミステリー評論家や小説家から「ミステリーとホラーを両立した作品」として評されており、刊行1年後に原書房の「本格ミステリ・ベスト10」2007年版3位に入るほどの人気作品です。

2.三津田信三『凶鳥の如き忌むもの』

瀬戸内海に浮かぶ鳥坏島。そこを訪れた刀城言耶は、島内で行われた「鳥人の儀」で巫女が消失するところを目撃する。

断崖絶壁で逃げ場位のない拝殿から巫女はどのようにして消えたのか、そして次々と消えていく立会人達の謎、「鳥人の儀」の謎に迫る刀城言耶シリーズ第2弾。

過去の消失事件に繋がる人間消失

島で執り行われた「鳥人の儀」によって巫女が消失し、更に立会人が次々と消えていくホラーな展開が魅力的な本作。

儀式の前に、刀城言耶は過去の「鳥人の儀」について調べ、18年前に消失事件が発生していることを突き止めます。

目の前で起こった消失事件との因果関係もこの作品の見どころ。

18年前、巫女と立会人6人がなぜ消えたのか、「鳥人の儀」によって再び巫女と共に立会人が次々と消えていったのかすべての謎を言耶が解き明かします。

前作「厭魅の如き憑くもの」よりも、よりホラー・ミステリーの両面をパワーアップした作品内容となっています。

三津田信三先生が描く、驚きの人間消失をぜひご覧ください。

3.三津田信三『首無の如き祟るもの』

断言します。刀城言耶シリーズの最高傑作です。

奥多摩の山中にある媛首村で暮らす秘守一族には子供が13歳なると行われる「十三夜参り」という儀式が行われる。

儀式が行われたその日、井戸の中で変死した双子の妹妃女子の死体を双子の兄長寿郎と使用人斧高が発見するも、警察には届けず一守家の人々だけで火葬を行ってしまう。

「十三夜参り」の事件から10年後、成人した長寿郎が候補から花嫁を選ぶ「婚舎の集い」を行うのだが、そこで次々と首なし死体が派遣されていく。

2つに渡る事件に隠された21個の謎を怪奇幻想作家刀城言耶が解いていく、シリーズ第三弾。

全ての謎がたった1つの気づきで解ける

一守家が行う儀式「婚舎の集い」で起こった連続殺人と、10年前の「十三夜参り」で起こった変死事件がどんどん繋がり、自体が二転三転していきます。

発生した事件は2つ。しかしそれに対して謎が21個もあり、しかもたった1つのことに気がつくだけで全てが解けるようになっているんです。

三津田先生らしい二重三重の構造になった謎解きに、小説家達からは「作品内の取り組は1つの原理であり公式である」とまで言われたほどです。

もちろんお得意のホラーとミステリーの融合もしっかりと行われており、読めば読むほどゾワゾワして読むのが止められなくなります。

4.『山魔の如き嗤うもの』

怪奇幻想作家・刀城言耶の元にある日、郷木靖美から「忌み山の一夜」というタイトルの原稿が届く。

中には靖美が一夜で体験した様々な怪奇現象が書かれており、興味を持った言耶は原稿に書かれていた平山へと向かいます。

そこで言耶は前掛けを付けられて次々と人が殺される連続殺人事件に遭遇し、やがて靖美が体験した怪奇現象との全ての繋がりを解き明かしていく。

合理的な事件解決の後に残るホラー

自身のところに送られてきた怪奇現象が綴られた原稿に興味を持った言耶が、書かれている平山へと行った結果、連続殺人事件に遭遇するというストーリーです。

怪奇現象が綴られた原稿「忌み山の一夜」では一家消失が書かれており、連続殺人事件では地元の子守唄になぞって前掛けを付けられて登場人物が次々殺されていきます。

言耶は最終的に一家消失と連続殺人事件の繋がりとなる手がかりを見つけて、最終的には事件の真相を解き明かします。

三津田信三先生お得意のミステリーとホラーを融合させた本格ミステリーホラーとして、事件解決後にしっかりとホラー要素が残るようになっています。

有名小説家に「様々な魅力をたたえた傑作の1つ」とまで言わせた、大人気本格ミステリーホラー刀城言耶シリーズ第四弾作品です。

5.『密室の如き籠るもの』

猪丸家に突如後妻として現れた葦子は、なぜか狐狗狸さんのお告げを伝え始め、それと同時に彼女が現れてから不可思議な現象が周りで起こり始める。

そんな日々が続いていたある日、とうとう家の2階で密室殺人が発生、怪奇幻想作家刀城言耶が密室の謎に挑むが……。

表題作品を含めた、全4作品を収録した短編集。

4つの怪奇事件を楽しむことができる作品

表題作品である「密室の如き籠るもの」を含め、「首切の如き裂くもの」「迷家の如き動くもの」「隙間の如き覗くもの」の4つの作品が読める短編集となっています。

謎の動く家を題材にした「迷家の如き動くもの」や、特異体質で隙間から怖いものが見えてしまう女性が題材の「隙間の如き覗くもの」など、怪奇現象がもりだくさん!

各作品でそれぞれ怪奇現象が殺人事件などの事件へと発展し、すべての謎を刀城言耶がスッキリと解決してくれます。

特に「密室の如き籠るもの」では驚きのトリックが使われており、読んでる人を驚かせてくれるのでぜひ読んでみてください。

三津田信三先生らしい本格ミステリーホラー作品が4本も詰まっている贅沢な一冊です。

6.『水魑の如き沈むもの』

怪奇幻想作家・刀城言耶は、神男を務めた男が1人は行方不明、もう1人は遺体となって発見されたという「水魑様の増儀」が今年行われるという話を耳にする。

この「水魑様の増儀」に興味を持った言耶は、編集者の偲と共に儀式が行われる奈良県蛇迂郡五月夜村へと向かい、そこで連続殺人が発生に巻き込まれる。

「水魑様の増儀」に関係するかのように次々と発生する殺人事件と、過去2回発生した事件との繋がりとはなんなのか、刀城言耶が全てを解き明かします。

衆人環視の中起こった、まるで密室のような殺人

三津田信三先生が描く刀城言耶シリーズ第6弾、長編としては5作品目となる作品なのですが、今作は珍しく言耶1人ではなく、編集者の偲さんも同行しています。

これまでの作品ではあまり見られなかった男女の掛け合いなども見られて、思わず「ふふっ」と笑ってしまう場面も。

26人もの人々が見守る衆人環視状態の、まるで密室の中で殺人が発生し、その後の連続殺人や過去の事件を含めて、言耶がすべての真相を語ります。

実質密室状態の中で相手を殺すだけでなく姿まで消した、驚くようなトリックとは一体なんなのか。

2010年の第10回本格ミステリ大賞を受賞した本作品でも、三津田先生らしい後味の悪いホラー要素もしっかりと入っている読み応え抜群の作品です。

7.『生霊の如き重るもの』

奥多摩にある旧家谷生家。

そこでは、その人の死の影を指していると言われる「生霊」の目撃談が語り継がれており、刀城言耶はそれに興味を持ち谷生家を訪れる。

その谷生家で言耶は復員兵の死に遭遇し、不可解さからやがて谷生家に語り継がれる「生霊」の謎を解き明かしていく。

刀城言耶が学生時代に遭遇した5つの事件を1つに集めた、刀城言耶シリーズ短編集第2弾です。

【刀城言耶が探偵になるまでの課程がわかる作品】

表題作である「生霊の如き重るもの」「死霊の如き歩くもの」「天魔の如き跳ぶもの」「屍蝋の如き滴るもの」「顔無の如き攫うもの」の5つの作品が収録されています。

全て刀城言耶が学生時代に体験した怪奇事件で、全て彼が事件の謎を明かしていきます。

バラエティ豊かだった第1弾短編集よりも、作品が全て「刀城言耶の学生時代」というまとまりを持っており、どれもミステリーとホラーが三津田先生らしく融合されています。

本格ミステリーホラーとして、人が起こす怖さと得体のしれない怖さの両方が味わえる作品。

すべての作品を読み切れば、なぜ刀城言耶が探偵になったのかがわかる内容になっています。

8.『幽女の如き怨むもの』

刀城言耶は自分と同じく作家である佐古荘介が、「書斎の屍体」で連載していた遊女達の身投げ事件の調査記録に対して、解決編を執筆することになる。

金瓶梅楼という名前で始まった遊郭では遊女が次々と自殺・自殺未遂を繰り返し、梅遊記楼という名前に変わっても自殺・自殺未遂が続き幽女の目撃談まで発生。

更に梅園楼という特別飲食店に変わっても身投げが続いた一連の事件の真相について、言耶はとある解釈で方が付くのではないかと語り始める。

【3つの時代を跨いで起こった身投げ事件の真相とは】

刀城言耶シリーズ長編第6弾、短編集を含めると第8弾作品となる今作では、戦前・戦中・戦後3つの時代を跨いで起こった身投げ事件の真相が解き明かされます。

3つの時代全てに「緋桜」という同じ源氏名の遊女が関わっており、それぞれの時代で発生する身投げ事件をホラー感満載で描いています。

華やかな花魁の世界とは裏腹に多額の借金による生地獄も描かれており、人によっては読むのがつらくなってしまうことまであるでしょう。

幽女を目撃した怪奇事件と各時代で起こった身投げ事件の真相とは一体なんなのか、各種ミステリランキングで上位を獲得した名作です。

9.『碆霊の如き祀るもの』

5つの村でできている強羅地方は断崖に閉ざされた場所となっており、そこに「海原の首」「物見も幻」「竹林の魔」「蛇道の怪」といった四つの怪談が伝わっていて、刀城言耶はそれに興味を持つ。

早速編集者の偲と共に強羅地方へと向かった言耶は、そこで村に伝わる四つの怪談に沿ったかのような連続殺人事件に遭遇する。

連続見立て殺人に隠された驚きの動機

強羅地方に伝わる四つの怪談に興味を持った怪奇幻想作家の刀城言耶が、編集者である祖父江偲と共に強羅地方へと向かい、怪談に沿った見立て殺人に遭遇する、といった内容になっています。

今作では前半120ページに渡って四つの怪談それぞれの詳しい内容が掲載されていて、これだけでもホラー感がかなり出ています。

そこから本編では言耶を含めた三人のやり取りが面白くなっており、さらに次々と見立て殺人が起きて緊張感が高まります。

最後は言耶がすべての謎を解き明かすのと同時に驚愕の動機が発覚、更に怪異である「婆霊」が異様な存在感を放ってまさにミステリーとホラーの融合を見せてくれます。

三津田信三先生が描く刀城言耶シリーズ第9弾となる作品です。

10.『魔偶の如き齎すもの』

大学卒業後作家となった刀城言耶の前に、新興出版社の編集者・祖父江偲が現れ、彼女から魔偶と呼ばれる土偶の話を聞いて言耶は興味を持つ。

言耶と偲は2人で魔偶の持ち主の屋敷へ観に行きますが、そこで密室の殺人未遂事件が発生。

犯人はどんなトリックで被害者を殴り姿を消したのか、言耶はその謎に挑むことになります。

刀城言耶と祖父江偲が出会う前の物語

刀城言耶シリーズ短編集の第3弾作品で、刀城言耶と編集者・祖父江偲が出会う前の物語となっています。

表題作「魔偶の如き齎すもの」に加えて、「妖服の如き切るもの」「巫死の如き甦るもの」「獣家の如き吸うもの」の三編が収録。

「妖服の如き切るもの」では交換殺人、「巫死の如き甦るもの」では新興宗教、「獣家の如き吸うもの」では共通点の多い怪談、そして「魔偶の如き齎すもの」では密室がテーマになっています。

読み進めるごとに現在の刀城言耶シリーズらしい作品になっていくのが読み応えがあって面白いです。

特に「魔偶の如き齎すもの」では不意をつかれる真相で、三津田信三先生らしさを感じられる作品になっています。

長編を含めた刀城言耶シリーズとしては10作品目となります。

11.『忌名の如き贄るもの』

怪奇幻想作家・刀城言耶の先輩である発条福太は、生名鳴地方にある虫絰村の出身である李千子と結婚することになる。

福太との結婚報告のため村へと行くことになる李千子ですが、その前日から村では事件が発生し始めます。

李千子が子供の頃から受けていた「忌名の儀式」で起こる怪異の謎と、村で起きた事件の真相とはなんなのか、刀城言耶が全てを解き明かします。

最後の最後に現れる事実に驚くこと間違いなし

今回は言耶の先輩である福太の婚約者・李千子の出身「虫絰村」で行われる「忌名の儀式」と、2人が結婚報告で村に行った際に起きた事件に言耶が挑みます。

今作では先輩とその婚約者の仲人的な立ち位置で、刀城言耶が付き添って一緒に村へと行き、事件へと遭遇する流れになっています。

長編シリーズの中でもかなり遅いペースでの進行となっており、最初の事件が起こるまでが長く前半はこれといった怪異も感じられないです。

フワッとした解決編に肩透かしを食らいそうになりますが、そこから二転三転する多重推理が始まり、最後の最後には驚きの事実が現れます。

三津田信三先生が描く本格ミステリーホラー刀城言耶シリーズ第11弾となる作品です。

おわりに

この刀城言耶シリーズは、ホラーもミステリーも好きな人ならたまらないシリーズです!

どれか一冊でも読んでみて、好きな雰囲気であれば、それはもう全作品好きということです

特に3作目は最高傑作すぎるのでぜひ読んでみてください。

1作目『厭魅の如き憑くもの

2作目『凶鳥の如き忌むもの

3作目『首無の如き祟るもの

4作目『山魔の如き嗤うもの

5作目『密室の如き籠るもの

6作目『水魑の如き沈むもの

7作目『生霊の如き重るもの

8作目『幽女の如き怨むもの

9作目『碆霊の如き祀るもの

10作目『魔偶の如き齎すもの

11作目『忌名の如き贄るもの

それでは、良い読書ライフを!(=゚ω゚)ノ

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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