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伏尾美紀『北緯43度のコールドケース』- 江戸川乱歩賞受賞作は流石に面白い!
博士号を持ちながら、紆余曲折を経て30歳で北海道警察の警察官となった主人公・沢村依理子。 まだまだ男性社会の警察で、しかも異色の経歴を持つ彼女に、なんとなく周囲からの当たりは強い。 それでも、沢村に対して操作方法や取り調べの方法を教えてくれ... -
チョン・ヘヨン『誘拐の日』- 韓国で話題沸騰の巻き込まれ型ミステリー!
この物語は、気弱な誘拐犯「ミョンジュン」と頭脳明晰な天才少女「ロヒ」の出会いから始まる。 ある日、娘の手術費用に困っていたミョンジュンは、誘拐を試みようとして一軒の豪邸に狙いを定めた。 しかし、目的地へ向かっている最中、豪邸から突如飛び出... -
【自作ショートショート No.38】『理想の恋人』
若者に向けて、ある画期的なロボットが開発された。 それは簡単な設定をするだけで、理想の恋人に変身するというロボットだった。 見た目は人間そのもので、感情も持っている。 そのうえ、ロボットだから年は取らない。 恋人もおらず一人寂しい人生を送っ... -
辻村深月『闇祓』- うちのクラスの転校生は、何かがおかしい。
とある私立高校に、白石要という転校生がやってきた。 クラスの委員長である原野澪は彼に学校を案内するものの、彼のおかしな距離の詰め方に驚愕してしまう。 『今日、家に行ってもいい?』といきなり言われたのだ。 その場は何とかやり過ごすものの、その... -
結城真一郎『#真相をお話しします』- ギョッとせずにはいられない、違和感と衝撃に満ちた短編集
家庭教師を依頼されて訪問したのに、家の様子も母子の様子も明らかにまともではなかったり。 マッチングアプリで独身と偽って若い女の子と出会ったものの、思わぬ落とし穴が待ち受けていたり。 15年前に提供した精子で生まれてきた娘と会うことになり、驚... -
アンソニー・ホロヴィッツ『殺しへのライン』- 奇妙な殺人事件を追う作家と探偵の痛快ミステリー
作家のホロヴィッツは探偵のホーソーンと一緒に文芸フェスに参加するため、オルダニー島を訪れた。 ところが島では開発事業を巡って住民たちの争いが起こっていた上、フェスの参加者たちもどことなく不穏な様子だった。 嫌な予感がする中、案の定パーティ... -
【自作ショートショート No.37】『雪女』
「はぁはぁ、あともう少し」 雪深い山で遭難しかけていたサブロウは、寒さで意識が朦朧とする中、必死で山小屋を目指した。 「寒い。このままじゃ凍え死んじまう」 最後の力を振り絞って雪の中を進むも、とうとう足が止まってしまい、サブロウはその場に倒... -
【自作ショートショート No.36】『銀行強盗』
病院の建物を出たティー氏が振り返ると、娘がこちらに向かって手を振っているのが見えた。 病室の窓から健気に手を振る娘の姿に、ティー氏は胸が締め付けられる思いだった。 彼はもう一度、娘に笑顔を返してから、後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。 ... -
芦辺拓『名探偵は誰だ』- 変化球的なフーダニットを楽しめる本格ミステリ短編集
私が旅好きなのは、ホテルの朝食が楽しみだからだ。 今回も、気持ちの良い目覚めととびきりうまい朝食を堪能できるはずだった。 しかし私の気分は最悪で、食事どころではなかった。 この席から、いや、相席となった四人の宿泊客の前から、逃げ出したくて仕... -
五十嵐律人『六法推理』- 法律知識で事件に挑む、学生版リーガル・ミステリ
法学部4年の古城は、大学内で無料法律相談を受け付けている。 ある日、経済学部3年の戸賀が相談しに来た。 「2年半ほど事故物件に住んでいるが、今まで何もなかったのに、最近になって奇妙な現象が起こるようになった」 とのことだった。 夜中に赤ん坊の泣...