『カラス殺人事件』- 英国で18.6万部を突破した、先の見えない超絶ミステリ

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イギリスの片田舎にある古いマナー・ハウスの地下トンネルで、館の持ち主であるソフィ・クロウズの撲殺死体が発見された。

警察がまず聞き込みに向かったのは、ちょうど彼女が殺されたと思しき時間帯に、同じ地下トンネルにいた生態学者のネル・ワード博士だった。

ネルは付近の開発計画に伴い、ソフィから依頼を受けて周辺の動植物の生態を調査していたのだ。

ネルは自分の調査記録を提出することでアリバイを証明しようとするが、警察は容疑者扱いをやめない。果たしてネルは自らの潔白を証明することができるのか。

そしてソフィを殺した真犯人は誰なのか。ネルは同僚のアダムとともに真実を追うことになる。

目次

コージーミステリーとしての読みやすさと親しみやすさ

著:サラ・ヤーウッド・ラヴェット, 著:法村 里絵
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本書は海外ではコージーミステリーとして紹介されており、他のミステリー作品に比べて入り込みやすいのが特徴の一つとなっています。

コージーミステリーとは、探偵役が警察官や探偵などではなく、いわゆる一般人が推理をしていくというミステリーのことで、日本でも数多く出版されているジャンルのこと。

本作では生態学者の博士であるヒロイン・ネルが生態学の知識を駆使しつつ、自らにかけられた殺人の容疑を晴らしていくという内容になっていて、「素人が探偵役を務める」という点で感情移入がしやすい設定となっています。

その分、殺人の第一容疑者として警察に追い込みをかけられる部分はつらいものがありますが、それだけ主人公に入り込んで読める作品になっている証拠でもあるでしょう。

また、主人公を中心とした恋愛パートが充実しているのも本作のポイントの一つ。

主人公の捜査に協力してくれる同僚のアダムといい感じになりつつ、ネルに容疑をかけている側の刑事・ジェームズもネルに一目ぼれをしてしまうのです。

コージーミステリーは、人間模様や地域模様も生き生きと描かれるのが魅力の一つ。

普段やミステリーを読まないという方でも、ミステリーの第一歩として気軽に読み始められる作品となっています。

生態学者としての著者の知識に裏打ちされたリアルな描写

本書の面白さと特徴を最大にしているのが、主人公の専門である生態学の分野のリアルな描写です。

ネルはコウモリを専門とする生態学者であり、生態学者がどうやって調査をするのか、保護したコウモリの世話の様子、土地の開発プロジェクトへのかかわり方など、生態学者としてのネルの姿が生き生きと描かれています。

これが一種の職業小説のような面白さを作品に付与しているのです。

なぜこんなにリアルな描写ができるのかと言えば、ずばり著者自身が生態学者の博士だから。

動物の研究をするためにイギリス全土はもちろん世界中で現地調査をしており、そんな著者の経験が本作に反映されているのです。

本作の終盤には生態学者が法廷に立つシーンがありますが、これも著者自身の経験から書かれた場面と、リアルさの追求はかなり徹底されています。

もちろん謎解きには生態学者ならではの専門知識がかかわってくるので、大きな見どころと言えるでしょう。

その他生物トリビアを楽しみながら読める作品となっています。

イギリスで発売されるやいなやベストセラー。日本での続編の発売も待たれる作品

本書は、本国イギリスで発売されるやいなやシリーズ累計18.6万部を突破した大人気ミステリー作品です。

イギリスの片田舎のマナー・ハウスを舞台とし、捜査に関しては素人の生態学者が自らの潔癖を証明するために奔走するという、ザ・コージーミステリーと言うべきわかりやすさ・親しみやすさと、謎解きの面白さ・先の見えなさが両立されており、人気となる理由がよくわかる内容となっています。

主人公をめぐる恋愛模様や人間模様も鮮やかに描かれていて、普段ミステリーを読まない人や凄惨な場面が苦手という人でも楽しめる作品だと言えるでしょう。

もちろんコージーミステリーだからと言ってミステリー部分が易しいというわけでは決してなく、むしろ専門分野を生かした超絶技巧のトリックが仕込まれていて、ミステリーファンの方が読んでも大満足できる作品となっています。

著者のサラ・ヤーウッド・ラヴェットさんは、16年間生態学者として動物の研究をした後、殺人に興味を抱くようになったという異色のミステリー作家です。

本書が初出版ですが、自身の専門分野を効果的にトリックに落とし込むことに成功しており、多くの人気を獲得するに至りました。

イギリスではすでにシリーズ四作が発行されていて、六作目までの出版も決まっており、今後日本でもシリーズ全体の発売が待たれる作品と言えるでしょう。

アガサクリスティーの名作・ミスマープルの系譜に連なる新たなシリーズとして、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか(*゚∀゚*)

著:サラ・ヤーウッド・ラヴェット, 著:法村 里絵
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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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