メフィスト賞おすすめ歴代作品まとめ。面白ければ何でもアリなのだ!

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さて、今回は「メフィスト賞」のおすすめ小説をご紹介させていただきましょう。

メフィスト賞とは、ジャンルを問わず「面白ければ何でもアリ」をテーマとした新人賞のこと。

どんなに癖があろうが、内容がぶっ飛んでいようが、面白ければ良いのです。

なのでこの「メフィスト賞」というのは個性的な作品が非常に多い。つまりは、万人ウケするような作品が少ないのです(そもそも万人ウケなんて狙っていない!?)。

でもでも、受賞するってことは結局面白いからです。

今回はそんなメフィスト賞受賞作の中で、「これは特に面白いよ!」というおすすめ作品を選びました。

ぜひご参考にしていただければ幸いです(* >ω<)=3

目次

2020年/第62回 『法廷遊戯』

ロースクールの同級生3人を中心とした法廷ミステリ。

捻りに捻ったストーリー展開は非常に丁寧に作り込まれており、最後には二転三転する展開が楽しめる良作です。

さすがメフィスト賞なので賛否両論ありそうなラストですが私は好き。

これがデビュー作との事で、次作がとても楽しみな作家さんです。

2018年/第58回 『異セカイ系』

ネットに小説を投稿している男性が、ある日自分の小説内に入り込めることを発見し、現実世界と架空の世界を行き来するSFミステリ。

例えるなら、舞城王太郎さんと西尾維新さんを足して2で割った感じです。このヤバさ伝わりますかね。

さらには「読者への挑戦状」ではなく「作者への挑戦状」があるのです。

「作者への挑戦状」って何?と思ったら、ぜひ読んでみてください。

2018年/第57回『人間に向いてない』

人間がある日突然に異形の姿へと変貌してしまうという病、『異形性変異症候群(ミュータント・シンドローム)』が発生し始めた日本。

この病は若者の中でも引きこもりやニートと呼ばれる層のみに発症した。

本作は、一人息子が『異形性変異症候群』によって虫なってしまった母と子の物語。

ミステリー小説ではないですが、全メフィスト賞作品の中でもトップクラスに面白い作品です。

何より『異形性変異症候群』の設定が逸材で、一度読み始めたら最後、徹夜を覚悟しましょう。

不可解な病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた引きこもりの息子を持つ一人の母親がいた。あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか?

2018年/第55回『閻魔堂沙羅の推理奇譚』

死んだ人を天国か地獄のどちらかに送るのか、を決める仕事をしている閻魔大王の娘・沙羅が出会った4人の運命を描いた連作短編集。

「じゃあ、こうしよう。

霊界のルール上、私が犯人を教えるわけにはいかない。でも、あなた自身が推理して当てる分にはかまわない。犯人をみごとに言い当てることができたら、特別に生きかえらしてあげましょう」

「犯人を?でも……」

「一応言っておきますが、今のあなたの頭の中にある情報だけで、それを正しく組み合わせれば、犯人を言い当てることができます」

「つまり情報は出そろっているというわけね」

P.50より引用

名付けて、死者復活・謎解き推理ゲーム。

死んでしまった被害者自身が、どうやって自分が殺されたか、犯人は誰なのか?を自分自身で推理していきます。

犯人となる手がかりは読者にも全て伝わっている状態なので、「読者への挑戦」ともなっているわけですね。

ぜひ挑戦してみてください。

自分の命を奪った殺人犯を推理することができれば蘇り、わからなければ地獄行き。犯人特定の鍵は、死ぬ寸前の僅かな記憶と己の頭脳のみ。生と死を賭けた霊界の推理ゲームが幕を開ける―。

2017年/第53回『NO推理、NO探偵?』

催眠術をかけられて「推理ができなくなってしまった」女子高生探偵・アイと、その助手であり熱烈な応援団である取手ユウが活躍する連作短編集。

推理ができない探偵がいろいろ事件を解決していくわけですが、正直言って196ページまでは「あんまり面白くないかもなあ」なんて思っていました。

ところが196ページを読み始めた時、思い出す。これが、メフィスト賞であると。

これまでのメフィスト賞の中でも特にぶっ飛んでいます。間違いなく賛否あるでしょう。

でも私は、この試みが大好き。

「推理って、別にいらなくない―?」NO推理探偵VS.絶対予測不可能な真犯人、本格ミステリの未来を賭けた死闘の幕が上がる!

2014年/第50回『○○○○○○○○殺人事件』

これぞ、メフィスト賞。

読者が推理するのは、犯人でもなく、トリックでもなく、「タイトル」なのです。

そんなバカな!と言わせてくれる「バカミス」としても有名ですが、孤島を舞台にした本格ミステリの一面もあってちゃんとミステリとして面白いんです。

良く言えば「遊び心満載」。悪く言えば「ふざけすぎ」。個人的な感想は「お見事」。そうくるか!と言わざるをえませんでした。

良くも悪くも「やられた」感を味わえるミステリがお好きなら、これがメフィスト賞であることを覚悟してぜひ挑戦してみましょう。

間違いなく、当てられません。

アウトドアが趣味の公務員・沖らは、フリーライター・成瀬のブログで知り合い、仮面の男・黒沼が所有する孤島で毎年オフ会を行っていた。沖は、今年こそ大学院生・渚と両想いになりたいと思っていたが、成瀬が若い恋人を勝手に連れてくるなど波乱の予感。

2013年/第47回『眼球堂の殺人 〜The Book〜』

周木律さんによる「堂シリーズ」の第一弾。

狂気の天才建築学者が建てた「眼球堂」を舞台に起こる殺人事件を描きます。

もうまさに「ああ、懐かしい本格ミステリだ」という感想。館モノがお好きならぜひ読んでおきたいところですね。

ただ一つ忠告が。

もしこれから読むのであれば、2013年に講談社ノベルスとして刊行されたものではなく、2016年に講談社文庫さんから刊行された方を読むようにしましょう。

文庫刊行に当たって加筆修正されており、より作品のクオリティが上がっております(*´ェ`*)

神の書、“The Book”を探し求める者、放浪の数学者・十和田只人が記者・陸奥藍子と訪れたのは、狂気の天才建築学者・驫木煬の巨大にして奇怪な邸宅“眼球堂”だった。

2010年/第45回『図書館の魔女』

メフィスト賞といえばミステリーのイメージが強いかもしれませんが、この『図書館の魔女』は濃厚ファンタジー。

ファンタジーといっても「剣と魔法でドラゴンだ!エルフだ!」というものではなく、圧倒的な「言葉」に打ちのめされるような独特な世界観を持った物語です。

大陸最古の図書館に暮らし、「高い塔の魔女」などと呼ばれるマツリカの元に仕えることになった少年キリヒト。しかし「魔女」と恐れられていたマツリカはまば幼き少女であり……。

その圧倒的な「言葉」と世界観の濃厚さゆえ、気軽にサクッと、とはいきませんが、長い時間をかけてじっくりと読み込みたいタイプの作品です。

鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。

2009年/第42回『プールの底に眠る』

今のところ、白河三兎(しらかわ みと)さんの作品の中でいちばん好き。

少年と少女の物語、いわゆるボーイミーツガールものなんだけど、ちょっと他の作品とは雰囲気が違う。

一応青春ミステリーと言えますが、ミステリー小説として読む作品ではないです。が、物語がすごくいい。幻想的で、つい飲み込まれてしまう独特な世界観。

終盤の収束感や読後感など含めグッと心に残る物語で、メフィスト賞の中でも「読んでよかったなあ」って気持ちになれる希少な作品なんですよねえ。

13年前の夏休み最終日、僕は「裏山」でロープを首に巻いた美少女を見つける。自殺を思いとどまった少女は、私の命をあなたに預けると一方的に告げた。それから7日間、ばらばらに存在する人や思いや過去が繋がりはじめた。

2004年/第31回『冷たい校舎の時は止まる』

辻村深月さんのデビュー作。

いつものように学校へ登校した高校生8人が、なぜか異空間となった校舎へ閉じ込められてしまう。

そこで話は「学園祭の最終日に飛び降り自殺した生徒」の事に移り変わるのですが、ここにいる誰もが「自殺した生徒の顔も名前も思い出せない」という状況に陥ります。

一体誰が自殺したのか。その人物はこの中に……?

とにかく登場人物一人ひとりをしっかり描いているのが辻村さんらしくて好き。

ミステリー小説としてはもちろん、青春小説として読ませてくれる辻村さんの魅力が存分に堪能できる作品です。

雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。

2002年/第26回『死都日本』

九州霧島の破局的大噴火。それが現代の日本に起きたら、という自然の脅威を描いたパニック小説。

何がすごいってそのリアルさ。火山が噴火した!大変だ!逃げましょう!という単純な物語ではないのです。

結局人間は自然に勝てないよね……。って落ち込みます。

しかも火山に対する知識量がハンパなく、まるで実際に体験してきたかのような書きっぷり。

専門用語も多くて「気軽に読める」とは言い難いですが、その圧倒的スケールな物語に飲み込まれ一気読みしてしまいました。

西暦二〇XX年、有史以来初めての、しかし地球誕生以降、幾たびも繰り返されてきた“破局噴火”が日本に襲いかかる。噴火は霧島火山帯で始まり、南九州は壊滅、さらに噴煙は国境を越え北半球を覆う。

2002年/第24回『「クロック城」殺人事件』

北山猛邦さんによる「城シリーズ」の一作目。

「過去」「現在」「未来」を表す三つの時計がある『クロック城』を舞台とした連続殺人を描きます。

メインとなる衝撃トリックには賛否あるようですが、館モノが好きな私としては全然アリ。むしろ好物。

しかも同シリーズの二作目『『瑠璃城』殺人事件 (講談社文庫)』、三作目『『アリス・ミラー城』殺人事件 (講談社文庫)』、四作目『『ギロチン城』殺人事件 (講談社文庫)』がこれ以上に面白い。

特に『アリスミラー城』、続いて『ギロチン城』が個人的にはおすすめ。ぜひご覧あれ!

現在、過去、未来。別々の時を刻む三つの大時計を戴くクロック城。そこは人面樹が繁り、地下室に無数の顔が浮き出す異形の館。謎の鐘が鳴り響いた夜、礼拝室に首なし死体、眠り続ける美女の部屋には二つの生首が。

2002年/第23回『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』

『化物語』をはじめとした「物語シリーズ」でお馴染み、西尾維新さんによる「戯言シリーズ」の一作目。

各界の天才たちが集まった孤島で「密室」&「首なし」殺人事件が起きちゃう、という本格古典なミステリです。

殺人が起きても重々しい雰囲気はなく、個性豊かなキャラクターや独特な世界観も相まって終始楽しく読むことができます。

絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする。

2001年/第19回『煙か土か食い物』

まさに「これぞ舞城王太郎!」という作品。とにかく文章の勢いがすごい。「圧倒的文圧」なんてよく言われてます。

スピード感ありすぎの文章でとにかくテンポよく読める。一度読み初めてしまったら最後、終始ハイテンションのまま一気読みでしょう。

私は小説を読むとき内容が「映像」として浮かび上がるのですが、この『煙か土か食い物』は他の作品と比べて1.5倍速くらい早送りされてましたもん。

ミステリーはミステリーなのですが、もはやそんなのどうでもいい。

腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!

2000年/第18回『日曜日の沈黙』

非常にメフィスト賞らしいミステリ。

密室で死んだ作家・来木来人が残したという「お金では買えない究極のトリック」とは何なのか?という謎を、主人公と女子高生ミリア&ユリが解決していくというもの。

三人のやりとりが面白くユーモアたっぷりだし、殺人も起きないので楽しく読むことができます。

とはいえ、推理合戦や”究極のトリック”も結構見ものですよ(゚∀゚*)

「ミステリィの館」へようこそ。もともと当ホテルは密室で死んだ作家・来木来人(らいきらいと)の館。これから行われるイベントでは、彼が遺したという「お金では買えない究極のトリック」を探っていただきます。

1999年/第13回『ハサミ男』

「やられた!」ミステリでおなじみ、殊能将之さんの『ハサミ男』も実はメフィスト賞受賞作。

連続殺人鬼「ハサミ男」が次に殺そうとしていた人物が、自分の殺し方を真似た別の誰かに殺されてしまった。一体誰が何のために?

説明不要、ミステリ好きなら読んでおいて間違いないやつです。

いろんなレビューはあまり見ずに、なるべく知識ゼロの状態で読みましょう。

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。

1999年/第13回『ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ』

霧舎巧(きりしゃ たくみ)さんによる「あかずの扉」研究会シリーズの一作目。

研究会のメンバー6人が、「流氷館」という奇妙な館で連続殺人に巻き込まれる王道の館モノです。

数々の伏線回収に終盤の二転三転。そしてあのメイントリックに驚かされましょう。

また、メンバー同士のユーモラスやりとりもこのシリーズの面白ポイント。おかげで一緒に楽しみながらサクサク読むことができます。

北沢大学新入生のぼく=二本松翔は、サークル“あかずの扉”研究会に入会した。自称名探偵、特技は解錠などクセ者ぞろいのメンバー六人が、尖塔の屹立する奇怪な洋館“流氷館”を訪れた時、恐るべき惨劇の幕が開く。

1998年/第5回『記憶の果て』

浦賀和宏(うらが かずひろ)さんのデビュー作にして「安藤直樹シリーズ」シリーズの一作目。

父の突然の自殺に戸惑う安藤直樹は、ある日父の部屋にあるパソコンを起動した。

するとそこには「裕子」と名乗る謎の女性の人格があり、安藤は次第に「裕子」と心を通わせていく。

なかなか奇妙な設定ですが物語は面白いです。

ミステリっぽくて、SFっぽくて、いかにもメフィスト賞らしい作品でしたね。万人受けはしないでしょうが、好きな人は絶対好き。

しかも続編を読みたくなるような終わり方する。ずるい!こんなのシリーズ読破しちゃうでしょう!

次は『時の鳥籠(上) (講談社文庫)』へと続くんですが、これがまた面白いんですよねえ。

「この子は近い将来、自殺する」。初対面の少女の運命をなぜか私は知っていた。少女に出会った瞬間意識を失った私は、心肺停止から奇跡的に蘇生するが、見るのも聞くのも全て昔のものだ。

1997年/第3回『六枚のとんかつ』

伝説のおバカミステリ短篇集。

くだらない、実にくだらない。下品でアホ丸出しなのです。しかしここまで突き抜けていると逆に笑ってしまう。

ミステリ好きならば、一度はこの「くだらなさ」を味わってみて欲しいという強い気持ち。

というわけでかなりオススメしたいのですが、どんな感想を抱いたとしても怒らないでね。

空前絶後のアホバカ・トリックで話題の、第3回メフィスト賞受賞作がついに登場!

1996年/第1回『すべてがFになる』

記念すべき第1回メフィスト賞受賞作は、森博嗣(もりひろし)さんによる「S&Mシリーズ」の第1弾『すべてがFになる』です。

もはや説明不要の名作ですね。

孤島に佇む研究所を舞台に、両手両足を切断されウエディング・ドレスを身にまとった死体が現れるという何とも魅力的な事件の始まり。

最強の密室に秘められたまさかの真実と壮大なトリックに圧巻されましょう。

個人的にも非常に大好きなシリーズです。ぜひ全部読んじゃってくださいな。

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。

今回はここまで

というわけで「メフィスト賞」のオススメ作品をご紹介させていただきました。

基本的にクセの強い作品が多いメフィスト賞ですが、今回は「流石にこれは面白いだろう!」という作品を選びました(一部を除いて)。

ぜひぜひ、メフィスト賞らしい独特の雰囲気を楽しんでくださいな(* >ω<)=3

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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