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短編集
クリスチアナ・ブランド『ジェミニー・クリケット事件』- 遅れてきた巨匠が残した、最も意地の悪い短編【傑作小説エッセイ】
ミステリ好きなら一度は経験があると思うが、タイトルだけで勝手に難易度を決めてしまうことがある。 クリスチアナ・ブランド『招かれざる客たちのビュッフェ』に収録されている『ジェミニー・クリケット事件』は、まさにそのタイプではないだろうか。響き... -
国内ミステリー小説
『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』- 紙とプラモデルの専門知識で謎を追うミステリ
紙の銘柄を鑑定する渡部の事務所に、なぜか浮気調査の依頼が来た。 依頼主の女性はどうやら「紙鑑定」を「神探偵」と間違えたらしい。 話を聞いてみると、浮気を疑っている理由は、彼氏が急にプラモデルに凝り始めたこと。 渡部は小遣い稼ぎのつもりで依頼... -
国内ミステリー小説
『紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪』- 紙とフィギュアの蘊蓄が真相を暴き出す
紙の銘柄、厚み、密度など、紙のことなら何でもござれの紙鑑定士・渡部のもとに、新たな依頼が来た。 小学3年生の女の子からの依頼で、「紙粘土の鑑定をしてほしい」というもの。 紙は紙でも、紙粘土はさすがに専門外。 しかし依頼の目的が、 「可愛がって... -
短編集
『舞踏病』- 老人が踊り出すとき、御手洗潔の推理も踊る【御手洗潔のダンス】
島田荘司といえば、言わずと知れた新本格ミステリの開祖。 その代表作である『占星術殺人事件』や『斜め屋敷の犯罪』など、ぶっ飛んだトリックと壮大な仕掛けで読者を驚かせてきた。 でも、長編だけがすごいわけじゃない。むしろ、彼の本質がぎゅっと詰ま... -
読書日記
『修道女フィデルマの慧眼』- 中世アイルランドは、こんなにもミステリに向いている【読書日記】
歴史ミステリに手を出すとき、「難しそう」「知識が必要そう」と一歩引いてしまう人もいるかもしれない。 でも、もし最初の一冊で世界観に一気に引き込まれ、「歴史×ミステリってめちゃくちゃ面白いじゃん!」と感動したいなら、この『修道女フィデルマの... -
短編集
入ってはいけない部屋に入ってしまった -『奥の部屋:ロバート・エイクマン短篇集』
ホラーでもない。怪談でもない。 けれど、読んでいると確かに怖い。 ジャンルの枠にきっちり収まる作品もいいけれど、たまにはその枠ごと吹き飛ばしてくるやつに出会いたくなる。 そんなとき脳が勝手に反応してしまうのが、20世紀イギリスの最も分類不能な... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.65】『平等な国』
この小さな国ではすべての国民が、そっくり同じ形の家に暮らしている。 違っているのは扉にでかでかと刻まれた番地だけ。 外観だけでは区別がつかないので、この番地で自分の帰る家を見分けているのだ。 幼い子供たちの間では、番地の数字を頼りに友達の家... -
短編集
その愛は、皮膚の上に書かれた – 江戸川乱歩『芋虫』【傑作小説エッセイ】
江戸川乱歩といえば、少年探偵団シリーズか、『D坂の殺人事件』のような本格ものか。そんなイメージが先に来る人も多いと思う。 でも、乱歩の核心を本当に味わいたいなら、どうしても外せないのが『芋虫』だ。 発表は1929年。今から100年近く前の短編なの... -
短編集
『ドイツロマン派怪奇幻想傑作集』- 幻想と狂気とからくりと、200年を超える「怖い」の系譜
「創元推理文庫のくせに、犯人当てがひとつもないじゃないか!」とツッコミを入れたくなる人もいるかもしれない。 だが、この『ドイツロマン派怪奇幻想傑作集』(遠山明子編訳)は、れっきとしたミステリ文庫から出ているだけあって、「謎」の核は確かにあ... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.63】『死ねない男』
「う、うわあああ」 ふぅ、た、助かった。どうにか雪崩には巻き込まれずに済んだようだ。 「だ、誰か助けてくれー。おーい」 何時間経ったんだろうか。雪崩を避けたはいいものの、俺は崖から転がり落ちてしまっていた。 「おーい、誰かいないかー。俺はこ...
