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自作ショートショート
【自作ショートショート No.62】『悪魔のちから』
街灯ひとつない、夜の路地。 仕事帰りの青年は、とぼとぼと帰路についていた。 彼は一流企業の社員だが、まだ新卒二年めで、毎日、上司にこっぴどく叱られていた。 こんなことなら、車にでも轢かれたい。 そう思って横断歩道をわたっていると、急に角から... -
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【自作ショートショート No.58】『音痴』
オリエント大学で教授を務めるエフ氏、彼はその筋では名の知られた言語学の権威である。 しかし学生時代の彼の成績はビリから数えたほうが早く、決して優秀とは言えなかった。 いや、包み隠さず言ってしまえば落ちこぼれだった。 そのため学者として成功し... -
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【自作ショートショート No.49】『ある怪盗の悲劇』
どんな時代、どんな国にも、他人から金や物を盗むことを生業にする、迷惑な泥棒が一定数は存在するものだ。 そんな泥棒の中でも、世界的に価値のある絵画や装飾品などを狙う大泥棒のことを、人々は怪盗と呼ぶ。 この国でも、Kと呼ばれる怪盗が巷を騒がせ... -
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【自作ショートショート No.12】『コレクター』
人というものは、おうおうにして、何かを集めたくなる生き物のようだ。 小さい頃には、きれいな丸い石やいろいろな形の落ち葉を、誰に言われるでもなく集める子どもが多いし、大人になってからは、お気に入りのアーティストのグッズや、子どもの頃には少し... -
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【自作ショートショート No.60】『毒殺夫婦』
ある夫婦がいた。 大きな屋敷に、多くのメイド。広い庭園に、ズラッと並ぶ高級車。 まさに裕福そのもの。誰もがうらやむ暮らしぶりだった。 しかしこの夫婦は、お互いに恨み合っていた。 度重なる浮気、軽蔑、無関心。 そんなものが積み重なり、もはや憎し... -
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【自作ショートショート No.55】『ダイエットサプリ』
「あーあ、また太っちゃったわ」 ポチャ美は昔から食べることが大好きだった。 特に甘い物には目がなく、食後のデザートは欠かせなかったし、それ以外にもおやつに夜食にと隙あらば口が動いていた。その結果がこれ。 いよいよ体重は百キロの大台に乗りそう... -
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【自作ショートショート No.40】『 囚人』
「クックック。今度の新入りはどんな奴なんだろうな。まぁどんな奴だろうが、前みたいにイビり倒してやるだけだけどな」 国の最果て、最高レベルの警備が敷かれる刑務所の一室で、見るからに悪そうな丸刈りの男が独り言をつぶやいていた。 男は数年前に殺... -
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【自作ショートショート No.2】 『宇宙人がやってきた』
ボクは半信半疑でX君と丘を登っていた。 前を行くX君はワクワクしているのだろう、いつもよりも余計に浮いている。 時間は夜、見たところ周囲の様子におかしなところは少しもない。 ボクはやはりからかわれているのではないかと思って彼に尋ねた。 「X君... -
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【自作ショートショート No.50】『生物学者エス博士の発見』
「これが例の魚ですか?」 「えぇ」 エス博士は水槽を漂う魚を眺めつつ、取材に来た科学雑誌の記者に答えた。 「ここにプラスチックゴミを入れると……」 エス博士がプラスチックゴミを水槽に投げ入れる。 たちまち魚が群がり、みるみるうちにゴミは消えてい... -
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【自作ショートショート No.53】『正しい行き先』
「あら、お父さんどこ行ったのかしら。大変、探しに行かなくちゃ」 リョウコはごく一般的な主婦だったが、父の認知症が分かってからは一緒に暮らすようになっていた。 幼い息子の育児だけでも大変なところへ父の介護まで加わって、毎日息つく暇もない。 「...










