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【自作ショートショート No.5】 『キカイな看護師』
この頃、病院は看護師が不足してきている。 近年の感染症騒ぎやらで離職者が増え、新たに看護師になる人数も減少傾向にある。 看護師がいなくなれば、病院の業務は回らなくなる。 看護師の減少は病院の危機でもあるのだ。 そこでS大附属病院はある奇手を... -
【自作ショートショート No.35】『記憶喪失の男』
「ん!?」 男はゆっくりと起き上がり、周囲を見回す。 「ここは……?」 見覚えのない部屋だった。男には自分がなぜそこにいるのか、全く記憶になかった。 室内は薄暗く、窓にはカーテンがかかっている。 「なんだここは?俺はいったい……」 なぜこんなとこ... -
【自作ショートショート No.9】『殺し屋の需要』
殺すのは簡単である。 しかし、その後に関してはそうはいかない。 当然警察が殺人について捜査を始め、殺めた側を突き止めんと追ってくる。 隠すにも、今日人が足を踏み入れない場所も少なくなってきている。 探す側の技術が日進月歩の一方で、探される側... -
【自作ショートショート No.47】『天使になりたい』
あるところに、一人の悪魔がいた。 この悪魔は正真正銘生まれながらの悪魔であり、これまで何百年間も、悪魔らしく生き、悪魔らしく働いてきた。 悪魔の仕事と言えば、もちろん人間の世界に紛れて悪さをすることだ。 人間が急いで探しものをしている時に、... -
【自作ショートショート No.52】『身代わりロボット』
ある国でロボットの研究をしているこの博士には、特別苦手なことがある。 それは、他人とコミュニケーションをとること。 彼は、人と面と向かって話すのが昔から大の苦手だったのだ。 そんな博士には、大きな困りごとがあった。 それは、研究資金の援助を... -
【ショートショート No.8】『万能殺虫剤噴霧装置』
「……F博士! ようやく……ようやく完成しましたね!」 計らずも僕の口から溢れ出た歓喜の雄叫びは、上擦ってしまった。 長年に渡る試行錯誤。心が折れかけたことだって、一度や二度ではない。 そんな悠久にも思えた終わりの見えない研究に、ついに終止符が... -
【自作ショートショート No.51】『遭難』
まさか自分が遭難するとは夢にも思わなかった。 いや、思ったことはある。 小説や映画のように、前人未到の孤島に難破して、大自然を相手に悪戦苦闘しながらサバイバルして生き抜く妄想を。 実際には苦難の連続であろうが、どこかそういった行為にあこがれ... -
【自作ショートショート No.48】『空飛ぶ泥棒』
ドロンは金に困っていた。 情けないことに明日の食事にも事欠く有様で、今朝から何も食べていない。 「ちくしょー、腹減ったな」 ぐぅっと大きな音を立てる腹をさすりながら、ドロンはそっと辺りを伺う。 「今夜はどの家を狙おうか」 そう、彼の職業は泥棒... -
【自作ショートショート No.57】『魔法のスパイス』
魔法のスパイスなる発明品が発売された。 魔法を名乗るだけあり、その効能はすごい。 例えどんなに不味い料理であっても、魔法のスパイスをかけるとあら不思議。 なんと三ツ星シェフも驚きの絶品料理に変わってしまうのだ。 当初は広告も特になく、ひっそ... -
【自作ショートショート No.4】『患者』
この病院では、毎日患者ひとりひとりとの面談が行われている。 私は多くの患者を担当しているので、面談の数も多い。 その内容は人によって違うが、患者たちは皆誰もが特徴的であった。 「では、どうぞ」 私が声をかけると、最初の患者がやってきた。 「お...