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海外ミステリー小説
獣たちの都市に潜む殺意- 『動物城2333』が描くディストピアの犯罪
現代中国文学シーンから登場した注目すべき一作、荷午(カゴ)、王小和(オウショウワ)による長編小説『動物城2333』。 本作は、1992年生まれの脚本家・ゲームクリエイターである荷午氏にとって初の長編であり、ミステリ愛好家で脚本翻訳なども手掛ける王... -
国内ミステリー小説
詠坂雄二『君待秋ラは透きとおる』 – ミステリ界の異能が贈るバトルアクション&ミステリ
時間停止、鉄筋生成、猫化……、この国には唯一無二・解明不可能な超能力「匿技」を持つ者たちがいた。 そして君待秋ラ・19歳もまた、とある匿技の持ち主であった。 そんな匿技の持ち主たちを集める国家に属する組織「日本特別技能振興会」。 匿技を持つ君待... -
エッセイ
切断と再生の果てに咲くもの―― 島田荘司『眩暈』【エッセイ】
この世界にまだ「物語」が可能だとすれば、それは崩壊の果てにこそ現れるものでしょう。 瓦礫の中に転がる真理。 異形の肉体が立ち上がる地平。 うす曇りの午後、火照った脳裏に冷たい雨粒が落ちるような衝撃で『眩暈』は始まります。 青年が遺した手記――... -
読書日記
『オリエンド鈍行殺人事件』- 推理を脱線させて、笑いへ向かう。『オリエント急行の殺人』への愛ある反逆【読書日記】
雪に閉ざされた列車、見知らぬ乗客たち、突如発見される死体。ミステリファンが狂喜乱舞するクローズド・サークルの理想郷──それがアガサ・クリスティーの『オリエント急行の殺人』であり、誰もが知る名作のフォーマットである。 そんな完璧な舞台装置に、... -
海外ミステリー小説
『だからダスティンは死んだ』- 隣人が殺人犯?追跡する主婦が見たものは……
夫と共に新居に引っ越してきたヘンは、隣人マシューに食事に招かれた時、ある物を発見して愕然とする。 それは、2年半前に殺された高校生ダスティンのトロフィーだった。 犯人が現場から持ち去ったと言われていたのに、なぜマシューの家に?もしやマシュー... -
海外ミステリー小説
『優等生は探偵に向かない』- 失踪事件をソーシャルメディアで追う斬新なミステリシリーズ二弾
女子高生のピップは、友達から「失踪した兄ジェイミーを探してほしい」と頼まれる。 ジェイミーは成人しており、今までも何度か家を出たことがあるため、警察はまともに取り合ってくれないのだ。 ピップは、前回の事件で危険な目に遭ったことから及び腰だ... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.70】『幸せの青い鳥』
人魚姫はバカだ、あんなにも美しい声を自ら捨ててしまうだなんて。 まんまと魔女の口車に乗せられ、脚と引き換えに声を失ってしまった哀れな人魚。 おまけにそこまでしても恋い焦がれた王子様は手に入れられず、海の泡となって消えてしまうのだ。こんなバ... -
エッセイ
その一言が、沈黙の底を割った―― アガサ・クリスティ『葬儀を終えて』【エッセイ】
誰かの死が、すべての終わりであるとは限りません。 むしろ、それは、ある物語の静かな始まりなのかもしれません。 アガサ・クリスティの『葬儀を終えて』は、まさにそんな“余白から始まる”物語です。 コーニッシュ地方のエンダビー荘。 重々しい天蓋の下... -
短編集
『車井戸は何故軋る 横溝正史傑作短編集』- この一冊で横溝正史を堪能できる、悪夢の遊園地
横溝正史と聞いてまず思い浮かぶのは、やっぱり『犬神家の一族』や『八つ墓村』といった、金田一耕助シリーズの長編作品だろう。 霧に煙る村、血に塗れた旧家、やたらと多い遺産相続争い、そしてなによりも、ボサボサ頭の探偵・金田一耕助の活躍。あの世界... -
海外ミステリー小説
『ブラウン神父の知恵』-トップクラスの名作「通路の人影」が収録されたシリーズ第二弾
古典ミステリー語る上で欠かせないG・K・チェスタトン氏のブラウン神父シリーズの第二弾です。 「グラス氏の失踪」ではトッドハンターという男がグラスという男と何時間も話し込んでいるのを、下宿先の主の妻が聞きつけます。 しかし部屋を開けるとそこに...










